【楽天】高校球児たちに希望を与える福山博之の生き様

【楽天】高校球児たちに希望を与える福山博之の生き様

©かみじょうたけし

■高校野球ファンにはたまらないオリックスのドラフト

 オリックスのドラフトが好きだ。2016年度で言えば山岡泰輔投手、黒木優太投手のようにルーキーながらオールスターに出場するような素晴らしい選手を獲得しているが、そういう事ではない。僕を含め高校野球ファンにとってはたまらないところをついてくれているのがいいのだ。

 2015年度で言えば、5位でその年全国制覇した東海大相模の右のエース吉田凌投手を指名したかと思えば、6位で準優勝の仙台育英のエース佐藤世那投手を選択。あの年の伝説の決勝戦がよみがえってくるではないか! そして4位で青山大紀投手を獲ったわけだが、翌年の育成ドラフト5位で中道勝士選手を獲得している。高校野球ファンなら智弁学園の二年生青山−中道バッテリーでのぞんだ2011年夏の選手権、横浜高校戦で9回ツーアウトから8点取って大逆転勝利した試合を思い浮かべてしまう。

 あの時の横浜には柳裕也投手、近藤健介選手、乙坂智選手、田原啓吾投手と後のプロ野球選手が4人もいたことを考えると、とんでもない試合だし、いつかアメトークの高校野球大好き芸人で話してやろうと思っている。そして新チームになり春のセンバツ出場をかけ挑んだ秋の近畿大会で青山、中道が率いる智弁学園は見事優勝! この時、あの藤浪晋太郎投手を擁して春夏連覇する大阪桐蔭も出場していたのだから、価値ある優勝であったと言えるだろう。完全に話がズレてしまったが、オリックスのドラフトが個人的に刺さるというお話でございました。

 ただ甲子園で活躍したからといってプロ野球選手になれる訳ではなく、逆に甲子園とは無縁の高校生活を送ろうがプロ野球選手になり活躍する選手はいる。ホークスの千賀滉大投手は蒲郡高校で最後の夏の愛知大会三回戦で敗れるも、地元のスポーツ店の方が小川一夫スカウトに「いい球投げる子がいるから観に行ってみたら」と声をかけたのがキッカケであるのは有名な話であるが、それがなければ野球を続けていたかもわからないと考えるとゾッとする。

■福山博之は野球少年の夢であり希望である

 現在高校野球の地方大会真っ只中、本日7月19日は奈良大会をチェックに佐藤薬品スタジアムに来ているが、五條高校の四番手に出てきたピッチャーなんて球に力があり、大学に行けば伸びしろがあるのでは? と思ったり、ほかにも生駒高校や磯城野高校にも楽しみな選手はいた。ただ彼らが今後野球を続けるのかは疑問である。もう自分の高校野球はやりきったと完全燃焼して引退するなら、何も言うことはないのだが、もしも彼らの中に「自分の力はこんなもん。どうせ強豪私学の甲子園組にはどう転んでもかなわない」と思う選手がいるなら、それは違うと教えてあげたい。

 皆さんは知っていますか? 島根県の山あいにある公立高校出身で、高校までは内野手、大学へも一般入試で入学し、野球部への入部のしかたさえわからなかった選手が大学からピッチャーを始め、今シーズン開幕から一軍で一度も抹消される事なく36試合に登板して防御率0.00(ちなみに5勝0敗15ホールド1セーブ)のプロ野球界唯一無二の記録を継続していることを(7月20日、37試合目で自責点がつき、防御率0.00ではなくなる)。そう、その男とは楽天イーグルス中継ぎのエース、福山博之投手である。

 福山投手は2010年にドラフト6位で横浜に入団するも、わずか2年で戦力外通告を受けてしまう。身体能力の高さをいかし野手登録なら育成枠で受け入れるという横浜の打診を断り、ピッチャーにこだわった。そして2012年秋に楽天が見事に獲得したのだが、そこからの活躍が凄まじい。2013年楽天初年度に22試合に登板し日本一に貢献、シーズン中はその身体能力をおおいに発揮し代走としても出場、翌2014年にはとうとうオールスターにも出場し、2015、2016年と中継ぎの屋台骨を支え3年連続60試合以上登板している。

 2014年シーズン前のキャンプの声だしでは、先発での二桁勝利か中継ぎでの60試合登板を達成できなければ、台湾でダンサーになると宣言したり、今シーズン開幕前の自主トレでは賞味期限切れの食べ物を食べて胃袋を鍛えている(よい子のみんなは絶対真似しないで下さい)と告白したりと独特な感性の持ち主ではあるが、一つだけ確かな事は人生のどの場面でも決して野球をあきらめなかったということだ。そんな男の生き様が今シーズンの成績につながっていると思う。

 甲子園に行けなかったから、高校でレギュラーじゃなかったから、そんな理由で野球を終わらせるなら断固反対だ。自分の小さな物差しで自分を計るのはやめてくれ。そして福山投手にはどこまでも突き進んでほしい。その活躍が楽天ファンを越え全国の野球少年の夢であり希望であるからだ。

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(かみじょう たけし)

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