鉄道マニアも涼しい7つの「極寒駅」

鉄道マニアも涼しい7つの「極寒駅」

(c)鼠入昌史

 夏である。暑いのである。

 青春18きっぷを握りしめて鉄道の旅に出ても、うかつに田舎の無人駅に降り立ってしまえば、ギンギラギンの太陽に照らされながらいつやってくるともしれないディーゼルカーを待つ……なんて展開になりかねない。あな恐ろしや。

 となれば、こんな夏だからこそ真冬の雪に埋もれた駅の姿を思い出し、少しでも涼を取りたいものである。というわけで、少しでも涼しさ、寒さを感じるべく、真冬の雪国で氷点下の寒さに凍える駅を紹介しよう。

■寒さと寂しさがつのるばかり

■稚内駅(JR北海道/宗谷本線)

 言わずと知れた日本最北端の駅である。ここにたどり着くまでに、氷点下の駅なんていくらでも経験してしまっているから体も麻痺してしまうけれど、もちろん気温は氷点下。港にも近く、冬の宗谷海峡の荒波も寒さを際立てる。寒さに耐えかねたら駅ビル「キタカラ」で暖を取れるあたりは実にありがたい。


■音威子府駅(JR北海道/宗谷本線)

 宗谷本線の各駅停車が長時間停車(バカ停)することでおなじみ。天塩山地の中ほどにあり、読み方は“おといねっぷ”である。かつては天北線と分岐していた交通の要衝も、さすがに1時間半もここで待たされるのはチトきつい。そばの実をまるごと挽いた駅そば“音威子府そば”が名物だが、営業時間は10〜15時半。訪問時は開店前で、寒さと寂しさがつのるばかりであった。

■森の中の板張りホームに積もる雪

■豊ケ岡駅(JR北海道/札沼線)

 森の中の板張りホームに積もる雪。ホームから少し離れた小さな駅舎への道筋も、駅周辺のどの道をとっても除雪なんてされていないから恐ろしい。ちょっと雪が続けば腰まで埋まるほどに雪が積もってしまう。言葉にするとどうってことないけれど、東京生まれがそれを体験するとちょっと命の危険を感じてしまうのだ。その上、この駅にやってくるのは1日わずか6往復。本当に時間通りに列車が来るのか、それすら不安になってしまう雪に包まれた静寂の秘境駅である。

■夕張駅(JR北海道/石勝線夕張支線)

 こぢんまりとした小さな終着駅だが、歴史をたどればかつては石炭輸送でこの世の春を謳歌した、夕張炭田の大ターミナル。もちろんそんな面影はなく、件の夕張市の財政破綻もあってなんだか寂しさばかりが漂う駅である。降る雪の多さから今では駅の裏手にはリゾートスキー場が鎮座しているが、廃止も決まった夕張支線の列車でやってくる人はほとんどいない。駅の隣の小さな横丁(商業施設)で名物のカレーそばを食べて暖を取るべし。

■行くぜ、東北。極寒駅

■青森駅(JR東日本/奥羽本線)

 かつて、青函連絡船の現役時代は船に乗り継ぐ人で賑わい、連絡船廃止後も青函トンネルを通過する特急列車はすべて青森駅を経由していた。だからそれなりのターミナル感はあったのだけれど、北海道新幹線が開通した今はそれもない。上野発の夜行列車もこごえそうな鴎を見つめる連絡船もなくなり、変わらないのはしんしんと降り続く、ベタ雪だけである。青森駅は、今も雪の中なのだ。

■小国駅(JR東日本/米坂線)

 米沢から山の間を縫うように走って日本海側、羽越本線の坂町駅までを結んでいるローカル線・米坂線。全線単線の路線で、だいたいが小国駅ですれ違いをする。そこで長めの停車時間があって、雪の降り注ぐ山間部の小さな駅を味わうことができる。ホームの端っこ、屋根のないところには新雪が積り、そこを歩けば小国駅に来た証の足跡。と、まあそんな情緒どころか凍てつく寒さに、とっとと車内に戻ってしまうものだけれど。

■十日町駅(JR東日本/飯山線)

 日本一の豪雪地帯は、北海道でも青森でもなくて、ここ新潟は十日町。毎年2mの積雪は当たり前だとか。本来は長岡市と長野市を結ぶ飯山線も、冬場は十日町〜戸狩野沢温泉間で運転を見合わせるのが日常というから、いかに雪が物凄いのかがよくわかる。筆者が訪れた日は、たまたま雪は降っていなかったものの積雪量はご覧のとおりである。だから駅の構内にもラッセル車が走る。線路上に積もった雪を跳ね飛ばすラッセルの躍動感は、雪国の鉄道最大の見所である。


 いかがだろうか。真夏の灼熱地獄に滝のような汗を流しつつ、こんな雪国の駅の寒さと寂しさを見る。それだけで、なんだか涼しくなった気持ちにならないだろうか。筆者も、この原稿を書きながら訪問時の寒さを思い出し、少しブルブルと震えてしまったくらいだ。あ、それは冷房の効きすぎのせいですか?

写真=鼠入昌史

(鼠入 昌史)

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