忘れられない夏の夜 福浦和也がマリンで見せたはじめての「WE ARE」

忘れられない夏の夜 福浦和也がマリンで見せたはじめての「WE ARE」

拡声器でファンを沸かせた福浦和也 ©梶原紀章

 一軍が仙台でのビジターゲームを戦っていた8月4日の夜。本拠地・ZOZOマリンスタジアムでイースタン・リーグのイーグルス戦が行われた。観衆4200人。内野席一階はファンで埋め尽くされていた。

 夏休みのナイターであること。そして一軍の本拠地で将来を渇望される若手を見ることが出来ることなど様々な要因はあったが、一番の目的はやはり今季限りで現役を引退する福浦和也内野手兼打撃コーチの存在。ZOZOマリンスタジアムでの雄姿を一目見たいファン心理だったはずだ。そんなファンにとっては一生忘れることが出来ない溜まらない試合となった。

■二軍スタッフの粋な計らい

 福浦の出番は7回裏。この回に同点に追いつくと、なおも一死満塁。「いい場面で出したい」と展開を呼んでいた今岡真訪二軍監督は満を持して代打を告げた。場内アナウンス担当は一軍で1800試合担当を記録している谷保恵美さんがこの日は特別に担当。名物となっている美声で登場がコールされると待ちわびていたファンの大歓声が響く。打席に入る際の定番の登場曲の一つであるATSUSHIの「願い」が木霊する中、ゆっくり、ゆっくりといつものルーティンで背番号「9」が打席に向かった。

 カウント3―1からイーグルス5番手・木村の外寄りのボールにバットを合わせると打球はセンター方向へと伸びていった。背走する中堅手。スタンドは総立ちで打球の行方を見守った。あわやスタンドイン。もしくは中越えを期待された打球は残念ながら外野手のグラブに収まったが犠牲フライには十分。勝ち越しの1点が入り、これが決勝点となった。ファンにしてみればこれでも十分満足だが、喜びの演出は試合後に待っていた。

「一軍の雰囲気を二軍の選手たちにも感じてもらいたい」との今岡二軍監督の意向で開催されたZOZOマリンスタジアムでの二軍ナイター。この日はさらに長谷川努二軍管理担当と相原勝幸二軍マネージャーの粋な計らいで、一軍で行われる様々なセレモニーも準備されていた。試合前にはマリンフェスタのイベント試合日では恒例となっているファンサービス(福浦はサイン会とハイタッチ)。試合後にはヒーローインタビュー、そして一軍では名物となっている試合後の「WE ARE」の演出もあった。選手が拡声器を手に「WE ARE」と叫び、これにスタンドのファンが「WE ARE」と呼応するZOZOマリンスタジアム名物の儀式。この日は外野スタンドにはファンを入れていなかったこともあり内野スタンドで行われ、当初は香月一也内野手が拡声器を手にした。

「きょうは福浦さんのおかげで勝ちました。福浦さん、WE AREをお願いしてもいいですか!」

■「最初で最後」の「WE ARE」

 香月の突然の振りに戸惑った大ベテランだが笑顔で拡声器を受け取ると「今日は今岡監督の配慮でボクがヒーローになる事が出来ました。ありがとうございます。そしてたくさんのご声援ありがとうございます。これからも未来のロッテを背負っていく若い選手にご声援宜しくお願いします」と駆け付けたファンに後輩たちへの温かい声援をお願いした。そして本人いわく「最初で最後」の「WE ARE」が行われるとファンは歓喜乱舞。球場は一軍さながらの興奮のるつぼと化した。

 それだけで終わりではない。その後、行われたヒーローインタビューに呼ばれお立ち台に。最後に伊志嶺翔大外野手が水の一杯に入ったバケツを手に現れるも、かけることは出来ずに自らが頭から被って笑いをとると、一連のセレモニーは盛大に終わりを告げた。

「本当はね。若い子たちがあの場で目立って欲しいけど、ボクのために演出してくれてね。ありがたいというしかないよね」 

 43歳ベテランは恥ずかしそうに、しかし嬉しそうに振り返った。この日、一軍も仙台でイーグルス相手に11−2で勝利。そして千葉の二軍戦も7−6で勝利。蒸し暑い夏の夜もマリーンズファンにはとっては清々しい風が吹き続けた最高の1日となった。いつかきっと2019年8月4日はファンの間で語り継がれることになるであろう。そう感じる1日だった。

梶原紀章(千葉ロッテマリーンズ広報)

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(梶原 紀章)

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