『天気の子』は新海誠監督とRADWIMPSの関係から読み解くと何倍も面白くなる!

『天気の子』は新海誠監督とRADWIMPSの関係から読み解くと何倍も面白くなる!

左から新海誠監督、野田洋次郎さん、武田祐介さん、桑原彰さん

『天気の子』の快進撃が止まらない。

 封切りから25日で動員580万人、興行収入78億円を突破した(8月13日時点)。

『天気の子』は、邦画史上第2位を記録した『君の名は。』(2016年公開)以来の新海誠監督の最新作。劇中音楽を担当するのは、ロックバンドのRADWIMPS(野田洋次郎さん〈Vo/G/Pf〉、武田祐介さん〈Ba〉、桑原彰さん〈G〉)。再びタッグを組んだ今作は、ストーリー作りから深く関わり、主題歌5曲を含む全31曲を作り上げた。

■初めて試写を観たRADWIMPSの感想は

「文藝春秋」編集部は、7月12日、映画が完成したばかりの新海誠監督とRADWIMPSを直撃。RADWIMPSは、前日に試写を鑑賞したばかりで、野田さんは興奮してほとんど眠れなかったという。

野田 この1年半やってきたことが、全て報われる映画でした。

武田 くわ(桑原)は、観たあと目が赤かった。

桑原 メンバーがいなかったら、もうちょっとちゃんと泣けたんですけど(笑)。

 新海監督は、脚本を書き終わったとき、まず野田さんに読んでもらいたいと思ったという。その脚本から2、3ヶ月後、映画の主題歌になる「愛にできることはまだあるかい」と「大丈夫」の2曲が送られてきた。

新海 完成までの道のりを、洋次郎さんは「長い旅をしてきた」と表現していましたが、本当に僕たちは長い旅のようなことを、ずっと一緒にやってきたんだと思います。まさに旅をするように、何かあるたびに映画はちょっとずつその形を変えていく。僕の場合、一番大きく作品が変わるのは音楽をもらった時なんです。

 一番大きく作品が変わるのは、音楽をもらった時――。そう、新海監督は、音楽からインスピレーションを受け、物語を膨らまし、音楽を聞かせるために画づくりまで変える。出来上がった脚本に見合う音楽を求めるのではなく、脚本をより豊かにするためにRADWIMPSの音楽を必要としたのだ。

■2人の“蜜月”が分かるツイッターのやりとり

 2人の“蜜月”ぶりはツイッターからも見てとれる。映画が完成したのは公開まで2週間を切った今年の七夕(7月7日)だが、その2日前に2人はこんなやりとりをかわしている。

 まずは新海監督のツイッターから。

?

「洋次郎さんのお誕生日ですね。おめでとうございます!なんだか自分にまで良いことがありそうだなーって思えるくらい、彼はひとになにかをあげる人だなあといつも思います。」

 それを受けての野田さんのリプライがこちら。

「ありがとうございます!
僕も新海さんにたくさんもらっています、ありがとうございます?いつもいつも。
これからもよろしくです。」

 完成したときのツイッターも面白い。

「終わったー!!完成です!」(新海)

「愛。」(野田)

■「天気の子」の劇伴は映画音楽の理想のかたち

 ツイッターからも2人の信頼関係がみて取れるが、映画のために2人がやり取りしたメールの数は350通にも及んだ。「この1年半はおそらく、そんじょそこらのカップルより頻繁にやり取りをした」(野田)という。

 特に、新海監督が悩んだのがラストシーンだった。主人公の2人が何をするのか。そして、音楽をどのように入れるのか。新海監督がビデオコンテ(動く絵コンテ)をRADWIMPSに投げかけ、RADWIMPSが音楽を監督に渡す。それをまるでピンポンラリーのように繰り返したという。ここまでの関わり方は、『君の名は。』ではしていなかった。

 新海監督は言う。

「『天気の子』の劇伴は、映画音楽の一つの理想のかたちになる気がしています」

 新海監督と、RADWIMPSの才能と真摯さがぶつかりあって初めて、『天気の子』は完成したのだ。

 新海誠監督とRADWIMPSの、映画完成にいたるまでの妥協ないやりとりの詳細や、野田さんが音楽監督としてついに「怒りのメール」を送った日、RADWIMPSがバンド活動を続けながら劇伴を作っていた頃の苦労、そしてラストシーンを作り上げるまでの物語は、 「文藝春秋」8 文藝春秋9月号 ">月10日発売号(9月号) 「『天気の子』ラストシーンで起きた奇跡」に掲載されている。

写真=文藝春秋/深野未季

(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2019年9月号)

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