「女性が女性に抱く強い感情は百合」 いまこそ“百合マンガ”を読むべき理由【名作リストつき】

「女性が女性に抱く強い感情は百合」 いまこそ“百合マンガ”を読むべき理由【名作リストつき】

唯一の専門誌『コミック百合姫』の2019年9月号

女性性に注目が集まるなか、百合マンガが人気を集めている。そもそも1970年代に、『薔薇族』の編集長が男性同性愛者を指す“薔薇族”の対義語として提唱したとされる“百合族”だが、現在の“百合”が意味するところは少し違うようだ。多様化の時代に花開いた百合マンガの今に迫った。

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■花開く百合マンガ市場。少年誌や青年誌にも進出

 近年、ドラマや映画といったエンターテインメントの領域で、女性同士の恋愛を描いた作品が目立つ。昨年12月には百合SFの特集が組まれた『SFマガジン』2月号に予約が殺到し、異例の出版前重版に踏み切った。それに先駆けて良作を生みだし続け、いままさに花開こうとしているのが百合マンガの世界だ。

 その勢いは少年誌や青年誌にも飛び火。『月刊コミック電撃大王』連載の『 やがて君になる 』(仲谷鳰)はシリーズ累計85万部のスマッシュヒット。書泉の古川航貴さんは、「ここ2年で百合マンガの棚が0から5つに増えました」と語り、元々は専門レーベルを持っていなかった出版社も次々に市場に参戦。アニメイト池袋本店の三枝謙介さんは、「最近は新規タイトルが増え、2年前は余裕があった百合棚3棚もいつの間にか全タイトル出しきれなくなりました」と嬉しい悲鳴をあげる。

 ブームを支えるのは、現在刊行中の唯一の専門誌『コミック百合姫』。その創刊は2005年に遡り、合併や隔月刊を経て16年に月刊化している。同誌の梅澤佳奈子編集長が、ターニングポイントとして挙げるのは、11年に百合レーベルの作品として初めてアニメ化された『 ゆるゆり 』(なもり)。現在のブームについては、次のように捉えているという。

「百合という単語がジャンルとして認知され、広く楽しまれるようになったのは、ここ2〜3年のことでしょうか。弊誌でいうと昨年の『 citrus 』(サブロウタ)、またKADOKAWAさんの『やがて君になる』のアニメ化も大きい。一般誌にも当たり前のように百合作品が存在していて、読者が違和感なく読める状況になってきたのだと思います」

■“百合”とは女性が女性に抱く強い感情

 11年放送の『魔法少女まどか☆マギカ』や13年『ラブライブ!』といった百合的要素を持つTVアニメの爆発的ヒットやアイドルブームにより、百合について語りやすい素地が生まれたこともこの現象と無関係ではないと梅澤さん。確かに先述の作品には、女の子同士の濃い感情が描かれているが、その範囲は友愛に羨望、嫉妬に憧れといった具合に広い。では、百合の定義って?

「仲のいい子のマネをしたいとか、他の子と仲良くしているのをみて独占欲が湧いたりを、一度でも経験したことがある女性は多いのではないでしょうか。私は女性同士の恋愛だけでなく、女性が女性に抱く強い感情は百合だと思っています。そこに性愛を含めたものまで百合とおっしゃる方もいれば、思春期の友情や友達を独占したいと思う気持ちこそ百合と捉える方もいて、作家にしても読者にしても捉え方が千差万別なのが百合の難しいところ。私達はそれぞれの感情を大切に出来たらと考えているので、『これは百合』『百合ではない』といった定義はあえてしないよう心がけています」(梅澤さん)

 厳密な定義づけをやんわりはねのけつつ、多くの女性が一度は経験したことがある繊細な感情を描く百合マンガの世界。幅広い意味を内包していることに加え、“百合”という文脈が可視化されたことで既存の作品に百合的なものを見いだす層も出現。これらが合わさり、多様性の時代に花開いたのだろう。

■いま百合マンガを読むならこの6作品

 思春期ならではの切ない想いや社会人同士の気心の知れた関係性など、女性同士の繊細な心の交流を描いた百合マンガは、大人の女性にこそ沁みる名作ぞろい!

■百合マンガの潮流を変えた!

■超リアルな友情物語!

■兄の奥さんに恋する女子高生

■クール小学生、ミーツ女子高生

■好きだった親友の娘と同居生活

■はがゆくも尊い社会人百合

※その他5作品の紹介、記事の続きは「 週刊文春WOMAN 2019夏号 」でご覧ください。

(山脇 麻生/週刊文春WOMAN 2019夏号)

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