「援交」を芸能事務所が斡旋も “韓国のジャニーズJr.”たちが直面する“奴隷契約”

「援交」を芸能事務所が斡旋も “韓国のジャニーズJr.”たちが直面する“奴隷契約”

男性練習生に対するセクハラ行為を報じるテレビ番組(「チャンネルA」公式YouTubeより)

 ジャニー喜多川氏の没後、各メディアとも故人の業績を辿るニュースで溢れ返った。そこで注目された点の1つが、喜多川氏がスターの原石を見つけて育て上げる手法だ。氏は多忙ななかでも、とりわけジャニーズJr. の育成に力を入れたといわれている。

 一方で快進撃がめざましいお隣・韓国のK-POPも、新人の発掘〜トレーニングこそビジネスの要。デビュー前のジャニーズJr. に相当する「練習生」制度も知られているが、その裏側ではさまざまな事件やトラブルが絶えない。

 今年7月には、男性練習生6人に対するセクハラ行為が韓国メディアの注目を集めた。加害者とされるのは、所属事務所代表の女性(53)とその妹だ。訴え出た男性は昨年9月、東京の寿司店で同僚の練習生とともに下半身をまさぐられるなどの被害にあったという。被害男性のなかには、未成年者もいたとされている。ソウル江南警察署は7月24日、この代表と妹を性暴力特別法違反容疑で検察に送致したと発表。ただし事務所側は訴えを否定しており、真っ向から争う模様だ。

 昨年12月には、当時17歳の女性練習生に性的暴行を働いた事務所代表の実刑判決が確定している。K-POP業界ではリスク管理としてセクハラ防止に努めているというが、報道で社名も出ない小さな芸能事務所までは徹底できていないらしい。

 練習生といえばまた、援交の誘いが多いことも根深い問題の1つだ。練習生はアイドル並みのルックスを持ちながら、収入が乏しくカネに困っていることが多い。そこにつけ込んで援交を持ちかけられるのが、日常茶飯事なのだ。さらに弱小の芸能事務所には、マージンを取って援交を斡旋するブローカーまがいのところもあるという。

■「ギャラ配分」問題と「奴隷契約」

 辛い練習生生活を抜け出してデビューを飾れるのは、ひと握り。だがそこに至っても、まだ成功にほど遠いのが現実だ。

 現地紙によると2015年デビューのある5人組グループは、2年の活動を通じて一度も収益が配分されなかったと報じられている。それどころか所属事務所代表は「1食抜いたくらいで死なない」と、満足な食費も渡さなかったという。このグループは裁判の末、昨年6月にようやく専属契約を打ち切って事務所から解放された。

 吉本興業を巡っても注目を集めていた、ギャラの配分問題。韓国では芸能人が強いられるこうした不公平な取り決めを、「奴隷契約」と呼ぶ。

 とりわけK-POPアイドルや練習生を巡る「奴隷契約」は、早い時期から問題になっていた。背景にあるのは、練習生に長期間のトレーニングを受けさせるK-POPのビジネスモデルだ。時間をかけて先行投資しても、デビュー後に成功できなければ負債しか残らない。そのため資金力やマネジメント力の弱い中小芸能事務所ほど、売れるまでの待遇は過酷になる。また時間とカネをかけて育てた人材を他社に引き抜かれては、ビジネスが成り立たない。そこで巨額の違約金と長期間の専属契約で、アイドルを拘束する仕組みだ。

■アイドルと所属事務所を巡る確執の数々

 2009年には東方神起が13年間もの専属契約を結んでいることが報じられ、「奴隷契約」として非難を浴びた。ただし韓国の公正取引委員会はそれと前後して、専属契約期間を制限する「大衆文化芸術家標準契約書」を公示。以後K-POPアイドルの専属契約は、最長7年に抑えられている。

 公取委はまた2017年3月、芸能事務所と練習生との契約についても是正を行った。それまで例えば練習生の都合で事務所を辞めると、投資額の2〜3倍、平均1億〜1億5000万ウォン(約920万〜1380万円)の違約金を請求されたという。また契約期間があいまいなまま拘束状態だけが続く例もあり、対策が求められていた。もっとも公取委の是正は強いペナルティをともなわず、実効性を疑う声も上がっている。

 海をはさんで耳目を集める日韓それぞれの芸能界。カネと羨望が集まる世界に、ゴタゴタが尽きることはない。

(高月 靖/週刊文春)

関連記事(外部サイト)