ライオンズを引っ張る男・源田壮亮 投手にかける言葉がとにかくすごい

ライオンズを引っ張る男・源田壮亮 投手にかける言葉がとにかくすごい

堀口氏は8月23日の楽天戦で、テレビ埼玉の「テレ玉スペシャルナイター」の副音声に出演。取材の裏話などを喋る予定とのことで、要チェック! ©中島大輔

 埼玉県生まれのライオンズ大好きタレントで、テレビ埼玉の「LIONS CHANNEL」でMC を務める、あさりどの堀口文宏。記者に勝るとも劣らない観察眼を備え、メットライフドーム の記者室で文春野球の西武監督代行・中島大輔をよくうならせている。

 こんなに面白い話を記者室(時々ゴールデン街)で独り占めしていてはライオンズファンに申し訳ない――そう考えて文春野球の代打をオファーすると、メヒアや山川穂高を上回るほどの気合で握り拳に力を込めた。

 行け、堀口! 打倒・文春野球日本ハムへ、「た〜まらん」話を披露してこい!!

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 今シーズンも残り30試合ほどになり、ライオンズは1試合も負けられない戦いを繰り広げています。今後は極端に言えば、20対19でもいいから相手を1点上回ればいい。相手を1点上回って勝つために必要なのは、チームをまとめる力だと思います。

 ライオンズにはキャプテンの秋山翔吾選手がいますが、チームを一人で引っ張るのは大変。追随する誰かが必要です。それができる男こそ、源田壮亮です。

 ルーキーから連続フルイニング出場を続けて今季、長嶋茂雄さんの記録を更新した後、2度の戦線離脱がありました。2度目はハムストリングの負傷でしたが、1度目はデッドボール。こういう出来事って、その年のその人の運命なんだろうなって感じるんですよね。

 長嶋さんの記録を超えるところまで、神様はちゃんと成し遂げさせてくれました。そこから女性アイドルとのロマンスが立ち上がった途端……デッドボールで離脱ですよ。

 面白いのは、源田選手はこれまで地道に努力してきた人間だということです。

 本人いわく、高校でも大学でもプロを一切意識せず、社会人でトヨタ自動車に入ってようやく高いレベルでプレーできてプロを意識した。それで2016年ドラフト3位でプロに入りましたが、それまであまりチャンスを与えられなかった人間だから、プロに行けるとなっても、「いやいやいや、俺は最初からプロに行くようなキャリアを送ってきたわけじゃないから、努力を延々としなきゃいけない」って思ってきたはずなんですよ。

 プロ1年目の後半に「盗塁王、どうですか?」と聞いたら、「いやいや、自分はタイトルとか獲る人間じゃありませんから」。絶対そういうことを言うんです。

「打率3割は?」と聞いたら、「3割なんか打てる人間じゃないです。狙えても狙いません。僕は1試合1試合、必死にやるだけです」。

 そうやって2年間続けてきて今年、ロマンスが発覚したら、神様は記録をパンって切るんだなって。しかも299試合連続出場っていう、何ともキリの悪いところで……。

 でも、「人生っていいことを一挙両得できない」と、源田選手が教えてくれた気がします。やっぱり、人はみんな平等なんだなって。本人もそう感じているんじゃないかな。

 だって本人からしたら、普通に一人の女性と出会って普通の恋愛なのかもしれないけど、周りから見たら100%羨むことしかない恋愛じゃないですか。そこも実感しつつ、その人と付き合っているという責任の大きさも感じつつ、プレーしているんじゃないかな。

■不安を抱かせた入団1年目の春季キャンプでの言葉

 プロ野球ファンによく知られているように、12球団のショートで源田選手を上回る人はなかなかいないと思います。

 今でも思い出すのが、入団1年目の春季キャンプです。チームのメニュー表を見ると、源田選手のところに「特守」と書かれていました。

 入団したときから守備力が評判だったから、「どんなにうまいんだろう?」って見に行くと、馬場(敏史)コーチが1メートルの距離からちょっと右に、左に、ボールを転がして捕る練習を20分くらいしているんです。特守なのに、馬場コーチは待てど暮らせどノックバットを握らない。

「基本です。社会人を出た子とはいえ、1年目なので基礎をやったまでです」

 馬場コーチにそう聞いた後日、源田選手にも聞きに行きました。

「捕球してから1塁に投げるまでのステップが、1、2歩多い。その分、送球が遅れてしまうんです」

 無駄な動きがあったので、それをなくすためにステップの練習ではなく、まずは捕る練習をしていたんです。

 さかのぼるんだ! 送球をよくするためには、捕るところを見直すんだ! プロってそんな細かいところまでやるの!? すげえな! って思いました。

 当時のライオンズはショートのレギュラーが決まっていなくて、ここを埋めることが急務でした。そんなときに「守備の人」として入ってきた源田選手が基礎練習をしていて、果たして3月下旬の開幕に間に合うんだろうか? 素人ながらに一抹の不安を覚えたのも事実です。

 さらに不安を抱かせたのは、春季キャンプのインタビューで「バッティングはどうですか?」と聞いたら、「周りの人から、『お前、やべえぞ』って直接言われているんで、やばいんだと思います。頑張ります(笑)」って言うんです。

 でも、そんな状況でも気負いはない感じがしました。もしかしたら、そこら辺が強みなのかなって。

 そんなところから源田壮亮を見始めて、いざ1年目のシーズンが始まったら、守備は堅実。今や日本を代表するショートです。バッティングもすぐに2番を任せられ、2年続けて打率2割7分以上を残しました。

 攻守ともに決して派手さはないけど、本当に堅実で安定感がある。源田選手の職人気質な感じが、チーム全体の守備力を上げている感じがするんです。そういう選手が一人いると、周りにいい影響を与えられるじゃないですか。

■マウンドでの言葉の使い方がすごい

 来年以降、FAも噂される秋山選手の動向が気になりますが、もしキャプテンの座が空いた場合、間違いなく跡を継いでいい逸材が源田壮亮。そう感じるのは今季、守備のときにマウンドに行く回数が、誰が見ても多くなっているからです。

 すごいのが、マウンドでの言葉の使い方。若い選手には言葉があまり重くならないように、かつリラックスさせるように、短い言葉で「さあ、行こう」「一人、一人」などとかけていく。

 一方でベテランの榎田(大樹)投手の場合、4回の時点で球数が80球くらいになっていると、「はい、完投、完投」って声をかけるみたいなんです。

「いや、無理に決まってるだろ! 見ろ、球数!」って(笑)。

 でも、それが源田選手なりの言葉のかけ方なんです。「少しリラックスしてください」って言うのではなく、「完投、完投」と言ったほうが榎田投手はリラックスできる。ちゃんと使い分けられているんですよ、源田壮亮という男は。

 だから若い女性ファンは、源田選手を見て「たまらん」とか言っている場合じゃないですよ! 「かわいい」とか、そんなのはダメダメダメ!!

「源田選手って、そんな細かいところまで神経使えるの? そんなにチームのみんなから愛されているの!?」

 そういうことを知ると、「たまらん」じゃなく、「た〜まらん」って感じになるでしょ?(低い声でつぶやくような感じ)

「#源田たまらん」じゃなくて、「#源田た〜まらん」。思わず声に表情がついちゃうような感じです。源田選手自身が入団してから1段ずつ積み上げていって、「たまらん」レベルが変わっているんです。

 残りわずかとなった今季、リーグ連覇のカギになるのは源田選手の頼もしい姿だと思います。例えば「源田がマウンドに行くと、ちょっと落ち着くよね」となって、「小野(和義/投手コーチ)さんが1回行かなくて済むかな」ってなっていく。そんな源田選手の姿を辻(発彦)監督が頼もしく見て、小野さんに、「今、行かなくていい」と制すくらいになっていけばいい。

 チームのヘッドコーチ的な役割には馬場さん(作戦兼守備・走塁コーチ)がいますけど、源田選手にはプレイヤー兼ヘッドコーチという感じで、司令塔として頑張ってほしい。それくらい背負える男だと思うので。

 それでみんなで、「源田た〜まらん」って言いたいですね。

構成/中島大輔

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(堀口 文宏)

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