ラグビーW杯日本代表の半数15人が海外出身 「違和感ありすぎ」と思った人へ伝えたいこと

ラグビーW杯日本代表の半数15人が海外出身 「違和感ありすぎ」と思った人へ伝えたいこと

ラグビーW杯日本代表メンバーを発表するジェイミー・ジョセフヘッドコーチ(左) ©時事通信社

 第9回ラグビーW杯日本大会を3週間後に控えた8月29日、日本代表メンバーが発表された。

 ジェイミー・ジョセフヘッドコーチが口にする選手の名前をメモし、数えていく。注目していたのが、海外出身選手の数である。

 15――。31人の代表選手のうち、約半数をしめる数に驚いた。前回、前々回大会と同じ10名程度に落ち着くだろうと予想していたからだ。

 ラグビーファンの多くは、過去最多となった海外出身選手の選出を好意的に受け止めた。だが、ネット上には否定的なコメントも少なくなかった。

〈半分も外国人なのに日本代表って違和感ありすぎ〉

〈勝つためなら全員外人引っ張って来いよ。どうせ勝てないんだから全員日本人でやればいい〉

〈日本国籍無いのに代表になれるスポーツなんか、応援する気も起きん〉

 W杯のたびに噴出する批判である。

 ここまで露骨ではなくても、海外出身選手の存在に違和感を覚える人も多いに違いない。それは、ラグビーに馴染みがない人が抱く素朴で率直な疑問ともいえる。なんで、日本代表なのに、外国人ばかりなの、と。

 ラグビーでは、国籍よりも、選手が所属する協会を重視する。ラグビーの国家代表の条件を改めて見てみよう。次の3つのいずれかに該当すれば、国籍を持たない国の代表としてプレーできる。

■海外にルーツを持つプレーヤーが活躍するのは、日本だけではない

〈出生地がその国〉

〈両親、祖父母のうち1人がその国出身〉

〈その国で3年以上、継続して居住。または通算10年にわたり居住〉(来年から5年居住へと変更)

 日本代表キャプテンのリーチマイケル選手は、日本以外にも、生まれ育ったニュージーランドと、母親の故郷であるフィジーの代表になる資格を持っていた。

 海外にルーツを持つプレーヤーが活躍するのは、日本ばかりではない。ウェブサイト「 Americas Rugby News 」によれば、前回W杯に参加した20カ国のなかで、海外出身選手をもっとも起用した国はサモアの13人。次いでウェールズ、スコットランド、トンガの12人。このサイトでは、ジンバブエ人の父を持ち、南アフリカで生まれた松島幸太朗選手を海外出身としてカウントしているため、日本は11人の5位となっている。自国籍の選手だけで戦ったのは、アルゼンチンだけだった。

 戦後、日本代表のテストマッチで、海外出身選手がはじめてプレーしたのは、1985年のフランス戦である。

 国籍と異なる国の代表となったパイオニアが、80年に来日したトンガ人のノフォムリ・タウモエフォラウさんである。留学当初は、ソロバンを学ぶために珠算教室に寝泊まりしながら、大東文化大学でプレーした。

 87年に開催された第1回W杯には、トンガ人選手のノフォムリさんとシナリ・ラトゥさん(現ラトゥ・志南利)の2人が出場している。

■海外出身のプレーヤーが日本代表入りした推移

 第2回大会以降、日本代表になった海外出身選手は、2カ国2人、2カ国4人、2カ国6人、1カ国4人、3カ国7人と推移し、11年の7回大会と15年の8回大会では3カ国10人の海外出身のプレーヤーが活躍した。

 15人の海外出身選手を選出したジェイミージャパンは、ニュージーランド、トンガ、南アフリカ、サモア、オーストラリア、韓国、そして、日本の7カ国の選手からなる多国籍チームである。

 多様なルーツを持つ海外出身選手の増加は、日本社会の変化と無関係ではない。

 ノフォムリさんが来日した80年、国内の外国人登録数は約78万人に過ぎなかった。現在は約273万人の外国人が日本で暮らしている(2018年12月現在)。約40年で350%も増えたのである。

 今年4月1日に施行された改正出入国管理法により、在留外国人のさらなる増加が予想される。好むと好まざるとにかかわらず、日本は、異なるルーツを持つ人たちとの共生が求められている。

 ラグビー日本代表は、異なる文化や言語を持つ仲間とともにスクラムを組んできた文化と歴史を持つ。日本ラグビーの歩みを振り返ると、前回W杯で躍進の立役者となった五郎丸歩選手のツイートが蘇る。

〈ラグビーが注目されてる今だからこそ日本代表にいる外国人選手にもスポットを。彼らは母国の代表より日本を選び日本のために戦っている最高の仲間だ。国籍は違うが日本を背負っている。これがラグビーだ〉

 ラグビーが持つ魅力を端的に表現した彼の言葉は、ファンの胸をアツくした。

 W杯日本大会の開幕は9月20日。桜のエンブレムを胸に、日本のために戦う海外出身選手に注目してほしい。

(山川 徹)

関連記事(外部サイト)