「寂しいときに誰かと会うのが癖にならないように……」――俳優・岡山天音が語る「休日論」

「寂しいときに誰かと会うのが癖にならないように……」――俳優・岡山天音が語る「休日論」

岡山天音さん

「光石研さんをまねしています。全然できていないけど(笑)」――俳優・岡山天音が語る「仕事論」 から続く

 渋谷直角の漫画をドラマ化した「デザイナー渋井直人の休日」。主人公の中年デザイナー・渋井直人(光石研)とアシスタントの杉浦ヒロシのナイスなバディぶりがファンを興奮させた。その杉浦を演じたのが岡山天音さん。インタビュー第2弾は岡山さんの休日に迫る。(原作の続編 『続 デザイナー渋井直人の休日』 も発売中)

■「休日はめっちゃあります(笑)」

――?出演作が続いてお忙しいと思いますが、休日はありますか?

岡山 めっちゃあります(笑)。いくつかの作品を掛け持ちしたり、主演作の撮影に入っているときは休めませんが、いまの現場では、撮影の合間にお休みもいただいています。

――休日はどんなことをして過ごしているのですか?

岡山 変わらずずっと好きなのは本や漫画、音楽。映画を観ない時期が続いていたのですが、先日、友達と映画館に行ったら、その作品がすごく良かったんです。『存在のない子供たち』という映画。

――ナディーン・ラバキー監督の、中東の貧民窟の戸籍のない人々を描いた作品ですね。衝撃的でしたよね。

岡山 観ました? あれは本当にすごかったですよね。友達に誘われて行ったんですが、観て良かったです。映画は仕事でもあるので、あまり観たくない時期もあるんですが、最近、また観始めました。

――本はどんなものを?

岡山 いま読んでいるのは司馬遼太郎の『燃えよ剣』です。昔、読んだのですが好きで読み返しています。好きな作家は、現代の人では西加奈子さんや朝井リョウさん。昔の人では、夏目漱石や遠藤周作が好きです。小説でもエッセイでもなんでも読みます。小説以外のほうが多いかもしれません。

■「『嫌われる勇気』も読みました」

――「人生を幸せにする〇〇」みたいな本も読みます?

岡山 (笑)。『嫌われる勇気――自己啓発の源流「アドラー」の教え』は読みましたよ。あと、「ほぼ日」に連載されていたのをまとめた『谷川俊太郎 質問箱』は面白かったです。子供から大人まで、いろんな職業の方からの質問に、谷川さんが答えていらっしゃるんです。

――読むのは速いほう?

岡山 やりたいことがいろいろあるので、1日かけて集中して読むということはないですね。日をまたいでちょっとずつ、同時に何冊か読んでいます。移動中でも喫茶店やカフェでもどこでも読みます。僕はタブレットではなく、紙で読みたいタイプですね。

――子供のころから読書の習慣があったのでしょうか。

岡山 漫画は好きだったんですが、子供のころは、本はすごく苦手でした。でも、仕事を始めてから、「読んだ方がいいよ」と事務所の方などから言われて、意識的に少しずつ読むうちに、たまにすごく面白い本に出会ったりして、読書が好きになっていきました。

■『デザイナー渋井直人の休日』の原作に癒やされて

――子供のころは漫画家になりたかったそうですね。

岡山 そうなんです。漫画は一通り通ってきた気がします。バトル漫画もギャグ漫画も、少し大きくなってからは松本大洋さんとか。少女漫画はものによりますが、くらもちふさこさんが好きでした。

――『デザイナー渋井直人の休日』の原作漫画は読んでました?

岡山 はい。あの世界観にめちゃめちゃ癒されていました。絵も素敵ですよね? 渋井さんがとてもチャーミングで、「この人馬鹿だなあ」「ちょっとイタいなあ」と思いながら笑って読んでいると、「もしかしたら、自分にもそういうところがあるかも」とだんだん笑えなくなってきます。ポップに笑えて、肩の力が抜ける気持ちよさもあって、どんなに疲れていても読める漫画です。

――主人公の渋井さんは、モテたいとか、後輩にほめられたいとか、人の目を気にしています。岡山さんは気になりますか?

岡山 先天的には、ものすごく気にするほうなんだと思います。でも、その気質が強すぎて、そのままでは生活に支障をきたしそうなので、後天的に自分でも気づかないレベルで、気にしないように体が麻痺させている気がします。自分の意識を鈍感にさせる筋肉が、バキバキにパンプアップされたのかもしれません(笑)。

――それを自覚していることがすごいですね。俳優をしていると客観性が鍛えられるからでしょうか。

岡山 いやあ、どうでしょう? 人前で演技をする以上、客観視しすぎてもできない仕事ですし、俳優って不思議ですよね。極端に客観的なところと、極端に主観的なところがある気がします。

■「一人で過ごせます。一人ごはんも行けます」

――一人で休日を過ごすことはありますか?

岡山 はい。全然、一人で過ごせます。一人ごはんも行けます。

――一人旅は?

岡山 どうだろう? したことがないですね。旅をするなら友達と一緒がいいのかな (笑)。でも、オードリーの若林正恭さんのキューバの旅のエッセイ『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』を読んで、あんな感じだったら、海外一人旅もいいなと思いました。一緒に行く人によりますが、あまり計画を立てずに、旅先の空気や気分で過ごしかたを決めるほうが好きかもしれません。予想外の展開も含めて、非日常のテンションになれるのが楽しいです。

■「『眠そうだね』とは、めっちゃ言われます」

――朝寝坊はします?

岡山 あまりしないです。普段、撮影は朝が早いので、前の晩も夜更かしはせず、極力早く寝ます。小中学生のころはものすごく寝ていたのに、歳のせいか、最近たくさん眠れなくなってきました。二桁なんてとても無理。二度寝は全くしません。

――どちらかというと眠そうに見られるタイプじゃありません? 布団でゴロゴロが合うイメージというか(失礼!)。

岡山 そうかもしれないですね(笑)。「眠そうだね」とは、めっちゃ言われます。

――なんと答えるんですか?

岡山 「眠くないです」というと、相手の方がスベったみたいに見えてしまうから、「バレました?」というような感じを出します。本当はバチバチ目覚めているんですけど(笑)。

――優しいですね。お友達といるときの岡山さんはどんな感じになりますか?

岡山 テンションあがっていると思います。仲の良い友達と一緒だと、テキトーになります。会話をどうもっていこうとか考えずにまったく気を使わない。甘えますね。

――友達を遊びに誘うほう? それとも誘われるほうでしょうか。

岡山 自分からは全然誘いませんね。基本、一人で過ごせますし、人を誘ってまで埋めなければいけない時間はない。もちろん、友達と遊ぶのは楽しいので、誘われたら出かけますが。

■「寂しいときに誰かと会うのが癖になってしまったら大変」

――寂しくなることはない?

岡山 ありますよ! もちろん、全然ありますけど……寂しいときに誰かと会うのは手っ取り早いし、癒されますけど、それが癖になってしまったら大変だと思っているのかも。やらなければいけないこともたくさんありますし、堪えなければいけない時もあります。人に依存しないように、バランスをとっている気がします。

――「天音」はご本名ですか?

岡山 はい。意味はとくになく、響きや文字のイメージ、インスピレーションでつけたみたいです。下の名前で呼ばれることが多いので、嬉しいですね。

――名前にもあるせいか、「音」に敏感だそうですね。

岡山 ラップがすごく好きで、KOHHさんなど、唯一無二の声を持っている人が好きです。でも、音に限らず、五感は敏感なほうかもしれないです。匂いもすごく好きです。街を歩いていて、匂いによって昔のことをワーっと思い出す瞬間ってあるじゃないですか。

――ありますね! 季節の変わり目にふと風が吹いたときだとか。

岡山 そうです、そうです! 季節の変わり目の匂いは、すごく好きですね。特に春になりかけの匂いは大好きです。入学式など、スペシャルな記憶があるからなんですかね? 桜も好きですし、楽しい気分になります。匂いや空気、日の具合や天気に気持ちが左右されるんです。(春を思い出して、とびきり笑顔になって)春は最高! 外に出て春の匂いを嗅いだ瞬間、テンションがブチ上がります。

■「舞台を観に行くときは咳をしないように(笑)」

――近々、休日のご予定は?

岡山 明日は休みです。共演させていただいた方の舞台を観に行きます。

――7月に出演なさった『ビビを見た!』も、想像力を駆使した舞台ですばらしかったです。

岡山 ありがとうございます。舞台に関してはまだ振り返りきれていないです。思ったのは、「舞台を観に行くときは、咳をしないようにしよう」ということ (笑)。初めて気づいたんですが、芝居中ってものすごく神経を研ぎ澄ましているので、舞台の上にいても、お客さんが咳をしているとか、遅れて入ってこられたことなどが想像以上に伝わるんです。だから、明日は咳をしないようにとにかく気をつけます(笑)。

 ( インタビュー#1 はこちら)

写真/鈴木七絵 スタイリスト/岡村春輝 ヘアメイク/山田久美子

衣装:パンツ¥25,500/ラウンダバウト、シャツ、ソックス、シューズ/スタイリスト私物

岡山天音

おかやま・あまね◎1994年生まれ、東京都出身。2009年「中学生日記 シリーズ・転校生(1)少年は天の音を聴く〜」で俳優デビュー。2017年の主演映画『ポエトリーエンジェル』で、高崎映画祭最優秀新進男優賞を受賞。NHK連続テレビ小説「ひよっこ」(17)の漫画家新田啓輔役、「デザイナー渋井直人の休日」(テレビ東京19)の杉浦ヒロシ役で全国的な人気に。最近の出演映画に『帝一の國』『おじいちゃん、死んじゃったって。』(17)、『空飛ぶタイヤ』『銃』『テロルンとルンルン』(18)、『きばいやんせ!私』『新聞記者』(19)など。今年は、ドラマ「週休4日でお願いします」(NHK)、「ヴィレヴァン!」(名古屋テレビ)で主演を務めた。10月スタートのドラマ「同期のサクラ」(NTV)に出演。映画『そして、生きる』は9月27日に公開。主演映画『踊ってミタ』が来春公開予定。

 映画『王様になれ』はシネマート新宿ほかにて公開中。 https://ousamaninare.com

(黒瀬 朋子)

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