阪神・福留孝介が元相撲部記者のお腹をさすってホームラン!? 奇跡を呼ぶ“幸福のお腹”伝説

阪神・福留孝介が元相撲部記者のお腹をさすってホームラン!? 奇跡を呼ぶ“幸福のお腹”伝説

糸井嘉男と筆者 ©ちゃんこ長谷川

 初めまして、ちゃんこ長谷川と申します。チャリコ遠藤先輩の依頼を受け、虎番2年目の僕が今回「阪神と相撲」という繋がりそうにないテーマで書いていきます。 

 まずは簡単な自己紹介からさせていただきます。1994年、愛知県生まれの24歳。阪神で言えば藤浪、北條、近本、木浪らと同世代になります。小学2年から相撲を始め、高校は愛工大名電高校に進学して最高成績は全国ベスト32。その後、立命館大学でも4年間相撲を続け、角界で活躍する御嶽海、炎鵬といった力士とも対戦を経験しましたが、野球とは無縁の生活でした(高校時代は野球部の応援をしていましたが……)。

■体重138キロ 「角界」から「球界」へ

 そんな私はスポニチに入社して2年目の春に阪神タイガース担当となり、「角界」から「球界」へ主戦場を移すことになったのですが、初めて訪れた2軍の本拠地・鳴尾浜球場で矢野監督(当時2軍監督)と対面するやいなや、巨体を見てニヤリと笑った指揮官から「相撲やってたん? じゃあ、今日からちゃんこって呼ぶわ」と“初顔合わせ”でちゃんこと命名されて記者生活がスタートしました。 

 当然ながら、相撲経験者は記者でも珍しいようで、鳴尾浜にある大きな柱の前で選手を待っていると、矢野監督が通る度に「テッポウしてみて」と相撲の稽古にまつわる動作の指令を受け、今年の春季キャンプでは組み合って相撲を取って「寄り切り」で白星をつかむことができました(笑)。「やっぱりテッポウと一緒で、ゴロ捕球も下から上の動きが大事なんだ」。下半身から上半身へ力を伝える理論は野球にも通じるようで矢野監督も“下から上”の重要性を強調していたことを思い出します。

 こんな相撲人の僕ですが、体重138キロということが1つの悩みになっています。相撲を引退してから約3年が経過したにも関わらず、一向に体重が減りません。今も130キロ台をキープしたままなんです。大きい体は時に? いや、常時邪魔になってしまいます。球場で取材していても狭い通路にいるだけで、道をふさいでしまい、同い歳で当たりの強い北條選手には「ちゃんこデカいねん! 通路が狭いわ」とイジられ、試合後のぶら下がり取材もひと苦労です。また夏場は人一倍汗をかくため、暑苦しいと思われているかもしれません。

 それでも、取材を重ねるうちに僕の体重だけでなく、阪神への興味が増しているのも確かです。大きな体が時には“役に立つ”こともあるんです。阪神は番記者の数がヤンキースやレッドソックスもしのいで世界で一番多いと言われていますが、大柄のせいか、関係者の方にすぐに覚えてもらえるのは本当にありがたいです。取材も独特な形で成立したことがあります。

■“験担ぎ”として、お腹を利用する選手たち

 今春キャンプでは糸井選手がランニングを行う際に「走るぞ」と肩を組まれてサブグラウンドに連れて行かれ、ランニングメニューをさせられそうになったりもしました。それも、毎日でした……。最終的には球団広報が制止に入って、走ることはなかったのですが糸井選手の「俺は毎日走ってるねん。たまらんわ〜」という言葉を耳元で聞くことができ、強い覚悟で走り込みを行い、下半身強化を図っていることを知ることができました。ペンとノートを持って取材する記者のイメージからすれば、大きな体1つだけで取材が成り立ってしまったのはある意味僕の「特権」なのかもしれません。

 そして“験担ぎ”としても私のぽっこりと出たお腹が利用されることがあります。きっかけは5月5日のDeNA戦での試合前でした。クラブハウスからベンチに向かう際に、またまた糸井選手が私のお腹をさすって試合に向かいました。すると6回にタイムリーを打ちました。この時は何も意識していなかったのですが、翌日に想定外の出来事が起こりました。試合に向かう通路で今度はあのベテラン・福留選手にお腹をさすられたのです。その光景を見ていた周囲の記者と冗談交じりで「もしかしたら打つかも……」と話していると、9回裏にサヨナラ2ランを放ったのです。実は、この一発はセ・リーグ通算5万号のメモリアル弾となり、甲子園の虎党が大熱狂している裏で試合前に話していたことが現実となった僕の全身は鳥肌が立っていました。

 調子に乗ったわけではないですが、2日後のヤクルト戦前に効果について福留さんに真意を尋ねると「そんなん関係ないやろ〜」と肩すかしを食らいましたが、横でその様子を見ていた中谷選手が「俺が触っておくわ」と言ってお腹に触れると、翌日のヤクルト戦の延長12回に代打で登場し、一時勝ち越しとなる2点二塁打を放ちました。「これは偶然なのか……?」。私はお腹を見ながら、不思議な力に怖さすら感じてしまいました。さらに、噂を聞きつけた梅野選手もお腹をさすってから臨んだ試合で安打を放ち、7月末に不振で2軍落ちを経験した木浪も1軍に昇格してからは、度々お腹をポンと触って大活躍。9月は13試合連続安打を記録するなど好調で猛虎の1番に定着しつつあります

 私の大きなお腹が“幸運のお腹”になっているのかは別として、相撲しかやってこなかった体がこうして別世界の野球でも、仕事として生かされるとは1年前には想像もできなかったのでありがたみを感じています。チームは12日の時点で3位広島と4.5ゲーム差でCS進出に向けて負けられない戦いが続いていますが、“下から上へ”のテッポウ精神で最後まで諦めずに戦い抜いてもらいたいです。ちゃんこ長谷川は最後まで矢野阪神に熱々のパワーを送り続けます。

ちゃんこ長谷川(スポーツニッポン)

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(ちゃんこ長谷川)

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