尾野真千子、有村架純、のん……愛されキャラから“女の敵”まで!? 「朝ドラヒロイン」を6タイプ別に振り返る

尾野真千子、有村架純、のん……愛されキャラから“女の敵”まで!? 「朝ドラヒロイン」を6タイプ別に振り返る

山口智子『純ちゃんの応援歌』1988〜89年放送 『純ちゃんの応援歌』完全版DVDより

 これまで朝ドラではどんなヒロインが描かれてきたのか。一般にイメージされるより「明るく前向きなヒロイン」は少ない、と『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』の著者、田幸和歌子氏は語る。

 描かれる女性像は時代によって変遷してきた。長谷川町子の姉を描いた『マー姉ちゃん』など、1970〜80年代では何かを成し遂げた人自身ではなくそれを支える女性たち。女性の社会進出が進んだ1980〜90年代には職業モノが増え夢に向かって突き進むヒロイン。2000年代ではバブル崩壊と共に、シングルマザーを描いた『私の青空』など、自分の内面を見つめる主人公が多く描かれてきた。

 そして東日本大震災以降、再び家族の絆を重視するヒロインが増えつつあるという。人々の記憶に残るヒロインを、6つのタイプに分けて振り返る。

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■タイプ1 おさげ髪やモンペが似合う タヌキ顔の愛されヒロイン

 朝ドラヒロインといえば、思い浮ぶのがこのタイプ。おさげ髪やモンペがよく似合い、背は高からず低からずという特徴があります。山口智子さんは高身長ですが、この当時はまだどこか垢抜けていなくて、タヌキ顔で、素朴なのにぴかぴかした存在感がありました。

 とっても可愛いのに、どこか田舎臭い。そうしたルックスが、視聴者に安心感を与えたのだと思います。外見だけでなく、家族想いで人を支えていく性格も万人に愛されました。『おひさま』の井上真央さんや『ひよっこ』の有村架純さんも、このタイプに当たります。

■タイプ2 我が道を行く! 目力がスゴイ、勝気なヒロイン

 きりっとした眉に、意志を感じる大きな瞳。自分のやりたいことに向かって真っ直ぐ突き進んでいく強さのあるヒロイン像も、朝ドラでは何度も描かれてきました。女性記者の草分け的存在を演じた『はね駒』の斉藤由貴さん。

 近年では、ファンの多い『カーネーション』の尾野真千子さんや、『あさが来た』の波瑠さんもこのタイプです。このタイプの面白いところは、エネルギッシュなあまり周りを巻き込んで傷つけてしまったりする“毒な面”も丁寧に描かれるところ。そうした人間臭さがキャラクターを一層魅力的にしています。

■タイプ3 女の敵? 大人しいと見せかけて実は……なヒロイン

 朝ドラは「純愛ストーリー」という触れ込みの作品ほど、ドロドロの恋愛劇を繰り広げていく傾向にあります。特に『純情きらり』の宮崎あおいさんは、一見大人しそうでありながら、戦地へ行く許婚を前に、自ら服のボタンを外して迫るという、前代未聞の大胆さを持っていました。さらに、西島秀俊さん演じる義兄に「一緒にいると苦しい」と誘惑めいた言葉を放ち、魂で結ばれる特別な関係に……。

『澪つくし』の沢口靖子さんや、『梅ちゃん先生』の堀北真希さんもこのタイプ。ヒロインたちの実は“濃い”恋愛模様も朝ドラの魅力です。

■タイプ4 自分からは動きません 周囲のサポート専念ヒロイン

 近年増えているのが、『ゲゲゲの女房』の布美枝に代表される、「支えるヒロイン」です。自分からは何もしないのに、そこにいるだけでみんなが救われる。タイプ1の支える側面を強調したようなヒロインです。

『まんぷく』で描かれたのも、英語が堪能で知的な女性が、夫をひたすら応援する姿でした。こうした女性像は「時代に逆行している」という意見もありますが、東日本大震災以降、波乱万丈すぎる人生よりも「そげですね」とただ静かに受け入れる、誰かを傍で応援するような裏方ヒロインに女性の共感が集まっています。

■タイプ5 作り手もびっくり、熱狂的に愛された“裏ヒロイン”

 時折生まれるのが、作り手も意図せぬ形で視聴者の心を奪ってしまう“裏ヒロイン”です。『なつぞら』で夕見子を演じる福地桃子さんは、まさにこのタイプ。父親が突然よその子を引き取ってきて、家族の目はなつ(広瀬すず)に注がれるようになる。同性で同い年の夕見子が何も感じないはずはありません。

 一見すると口が悪くわがままなのに、そこでなつに意地悪はしないという夕見子の聡明さに、視聴者は惹き付けられていきます。『ひらり』の明るいヒロインに、コンプレックスを抱く姉を演じた鍵本景子さんも、共感の嵐を呼びました。

■タイプ6 男性の心を掴んだ、純真無垢・中性的なヒロイン

 元々朝ドラは女を感じさせないヒロインが好まれてはきましたが、特に『あまちゃん』のアキちゃんは、性差を感じさせない非常に無垢な存在として描かれました。この作品は男性からの支持も厚かったのですが、それは、アキちゃんの少年のような少女のような無垢さに男性が惹かれたからだと思うんです。

 ここまでド天然で、赤ちゃんのような、子犬のようなヒロインは、他に類を見ません。また、ヒロインの上京物語が多い中で、アキちゃんは東京から地方へ行って輝いたヒロイン。そういった意味でも非常に珍しい作品と言えます。

写真提供=共同通信、朝日新聞、Kodansha/アフロ

(田幸 和歌子/週刊文春 2019年8月15・22日号)

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