『幼な子われらに生まれ』――桜庭一樹のシネマ桜吹雪

『幼な子われらに生まれ』――桜庭一樹のシネマ桜吹雪

©2016「幼な子われらに生まれ」製作委員会

 家族って、血の繋がりって何だろう?

 と、この映画を観て真面目に考えてしまった。

 たとえば、欧米のセレブが実子も養子もいる大家族で暮らしているのを見たとき。親としてどの子も分け隔てなく愛しているように見える。でも本当に本当かな? それとも葛藤を秘めているのだろうか、と迷う。

 そんなわたしの疑問の答えの一つになったのが、この映画だ。

 主人公はとある良きお父さん(浅野忠信)。前妻(寺島しのぶ)との間に実の娘、今の妻(田中麗奈)との間に連れ子の娘が二人いる。実の娘とは離れて暮らしているが、時々面会する姿からは自然な絆が感じられる。でも毎日暮らしているステップファミリーのほうでは、家族みんなで薄氷を踏んで歩くような、慎重な日々だ。

 やがて今の妻が妊娠したことから、バランスが崩れてしまい……!?

 水に何色もの絵具を落としていたずらにかき混ぜたように、どんどん家族の色合いが変わっていくのが、こ、恐い……! 建前を唱え続けるお父さん! 命がけで明るく振る舞い続けるお母さん!! 純真さゆえ本音製造マシーンと化す上の継娘!!!(新人の南沙良。とってもよい)ヒー……。

 悪人はいないけど、皆が少しずつ間違ってる。そこに家族のリアルを感じ、いたたまれない気持ちになった。

 そんな中、お父さんと上の継娘が、他人どうしとして出会い、本音でぶつかりあい、一度離れ、やがて適正な距離を取って共存し、認めあっていく姿には圧倒された。血の繋がらない人どうしが家族になるという意味では、夫婦の成り立ちと似ていると思えた。ステップファミリーとは“拡大された夫婦”なのだろうか?

 一方、家族を選ばなかった男として登場する継娘の実父(宮藤官九郎)にも共感。

 原作は重松清の同名小説です。96年刊(幻冬舎文庫)。

INFORMATION

『幼な子われらに生まれ』
全国にて公開中
http://osanago-movie.com/

(桜庭 一樹)

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