【日本ハム】吉田侑樹のプロ初勝利は、記憶にとどめるべき事件だった!

【日本ハム】吉田侑樹のプロ初勝利は、記憶にとどめるべき事件だった!

©時事通信社

 9月の3連休は16日にソフトバンク、18日に広島がリーグ優勝を決めた。文春野球コラム両球団担当の松中みなみさん、大井智保子さんおめでとうございます。去年のライバルたちが栄冠に輝き、こう、同級生が早慶に合格して、自分は浪人決定という感じです。とりあえず親友のロッテ君とは同じ予備校ですかねぇ。あれ、そこにいるのはヤクルト君?

■シーズン80敗超が集う「ダ・リーグ」構想

 今シーズン、仲間内で「ダ・リーグ」構想が持ち上がったことがある。「ダ」はダメの略だ。もう勝てなすぎてソフバンと順位を並べても無駄じゃないかという話になったのだ。(心のなかで)新リーグを結成しよう。セ・リーグ、パ・リーグ、ダ・リーグ。それならロッテとヤクルトだ。うちも含めたこの3球団は80敗超のペースだ。(心のなかで)ダ・リーグ優勝を目指したい。順位表をご覧ください。

 1、日本ハム 130試合50勝80敗
 2、ロッテ  132試合47勝84敗1分
 3、ヤクルト 135試合44勝89敗2分
 (但し、9月20日試合終了時点)

 いや、ものすごく恣意的なリーグなので、オリックス(130試合60勝69敗1分)や中日(134試合57勝72敗5分)は加盟が見送られることになった。ファイターズの健闘が際立っていることに読者もお気づきだろう。何といってもまだ80敗しかしていない。さすが昨年の日本一チームだ。書いていて我ながらバカみたいだが、こう、音的にも「だりぃぐ」って心底だるそうでもあり、また口をあんまり開かず「大リーグ」と言った感じでもあり、良くないですか? ダ・リーグボール1号は消える魔球。

 その観点(どの観点だ!)でいけば18日のオリックス戦21回戦は「ダ・パ交流戦」と考えることもできる。この3連戦は高梨裕稔の力投で先勝し、宮西尚生が本塁打を喫して敗れ、1勝1敗で第3戦を迎えた。ファイターズの日程上、今季最後の同一カード3連戦だ。是が非でもこれは取りたい。ちなみに前日の負けで対オリックス戦の今季負け越しが決まっている。「ダ・リーグ」構想にオリックスが入らなかった由縁だ。

 もちろん当日先発のファイターズ・吉田侑樹、オリックス・山崎福也は「ダ・リーグ」なんて知らない。シーズン残り少ないチャンスに懸ける想いだ。吉田侑樹は新潟県三条市でファーム交流戦の完投勝利を見せてもらっている。久々の1軍登板だ。そろそろ結果がほしい。独特のアーム式投法でオリックスの強打者を抑え込めるか。

 この試合、ツイてたのは初回いきなり味方打線が4点先制してくれたことだ。山崎福也は1番西川遥輝をストレートの四球で歩かせる等、調子がおかしかった。ファイターズ打線は敵失により1点先制、更に1死満塁のチャンスで2年目の「おにぎり君」こと横尾俊建がライトへ2点タイムリー。大田泰示四球で再び1死満塁(山崎KO!)の後、清水優心ショートゴロの間に1人還って計4点である。吉田はグッと投げやすくなった。

 といって2回表にあっさり1点返されてるからピリッとしていたとは言い難い。6回を除いて毎回ランナーを出した。それでも点差があるから大胆に行けた。カウントが悪くなるとストレートだった。あれはオリックス打線にもう少しモチベーションがあったら攻略される。秋はどうしても淡泊になるのだ。それでも7回5被安打1失点(103球)は上出来だった。打線も更に奮起してレアード32号ソロ、西川9号2ランで援護射撃だ。7対1の快勝! 吉田侑樹は嬉しいプロ初勝利!

 ヒーローインタビューのお立ち台にプロ2年目の同期、吉田侑樹と横尾俊建が上がった。当コラム的には吉田が新潟三条のファーム交流戦観戦記なら、横尾は第1話の「寿司よりおにぎり 打撃好調の2年目・横尾俊建に注目」で取り上げている。日本一だった昨シーズン、全国区になった寿司ポーズの陰にかくれ、おにぎりポーズが不発に終わったことを嘆く内容だった。それが今、札幌ドームはおにぎりのお手製グッズやかぶり物であふれている。シーズン終盤になって、ついに横尾人気に火が付いた。つまり、吉田の初勝利も横尾の人気沸騰も僕の願いがかなった形だ。

■投げやすそうで重たそうな吉田侑樹のウイニングボール

 泣くつもりでテレビ画面に見入ったのだ。そこで事件が起きた。インタビュアーはHBCの山内要一アナだ。初勝利おめでとうございます。「あざっす」。初のお立ち台のご感想はいかがですか。「最高です」。そんなやりとりが順調に続いていった。「今まで三回チャンスをもらって一回も勝てなかったんで、今回がラストチャンスと思って投げました」「最初に点を取っていただいたんで、攻めて勝ちにつなげようと思いました」。僕はちょっとじんわり来ていたのだ。

ーウインニングボールは持ってらっしゃいますか。あらためてどうですか、感触は?
 
「投げやすそうです」

ー重みなどはいかがでしょう?

「重みはあります。重たそうです」

 僕は山内要一アナを存じ上げている。温かみのあるトークが身上だ。この瞬間、吉田侑樹の意図は何か、どうフォローしたら丸くおさまるか頭がぐるぐる回転で計算したと思う。フツーに考えたら意味がわからない。ウイニングボールが投げやすそう? ウイニングボールが重たそう? とりあえず山内アナは笑い声をマイクに乗せた。

 ケースとしてはA「プロ初勝利の吉田が緊張のあまりわけわかんないことを言っている」が考えられる。これは山内アナとしては初々しさを拾っていく方向でフォローしたい。が、当の吉田が嬉しそうに笑っているのだ。これはもしかするとB「渾身のボケがすべっている」のかもしれない。だとしたら山内アナはとっさにツッコミを入れるべきだった。ウイニングボール投げんのかーい。ボールの重量聞いてへんわーい。吉田侑樹は大阪府寝屋川市の出身だ。それも考えられる。

 が、どう考えても急すぎるのだ。場をあっためてもいないうちにお立ち台で「ウイニングボール投げやすそう」と言われても。山内アナは奮闘努力して「ウイニングボールは(今日球場に来ている)両親に渡したい」を引き出すことに成功した。何とか感動路線に軌道修正だ。

ー直接、今、ご両親にお話しいただいてもよろしいですよ。

「ご両親っ、勝ちましたぁ!」

 その後、出てきた横尾俊建が苦々しい顔してるんだ。あれは笑った。どうやらC「糸井タイプがまた一人登場!」が真相のようだ。僕は日ハム球団にさっそく新グッズ「投げやすそうで重たそうな吉田ウイニングボール」の製作に入ってもらいたい。吉田侑樹、横尾俊建ホントにおめでとう&ありがとう。野球はやっぱり最高に楽しい!

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(えのきど いちろう)

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