復讐の連鎖を避けるためには赦しが必要――ニコラス・ビヨン作品が語り掛けること

復讐の連鎖を避けるためには赦しが必要――ニコラス・ビヨン作品が語り掛けること

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 カナダの現代作家ニコラス・ビヨンの近作二本。一本目は『屠殺人ブッチャー』で再演。東欧某国で起こった内戦の際の虐待行為に対する復讐がトロントで行なわれる。深夜の警察署にラヴィニア語しか話せない老人(山春夫)が連れ込まれ、呼ばれた弁護士(西山聖了)、通訳(渋谷はるか)、警官(斉藤淳)との間で緊迫したやりとりが展開する。最後に判明するのは、これが手の込んだ復讐劇であったとの事実。暴力の連鎖を断ち切る手立てが必要だなぁ。

 復讐の連鎖を避けるためには赦(ゆる)しが必要なのだが、それを表象しているのが最新作『隣の家』に登場する日系人(藤田宗久)。平和な住宅街の「隣の家」で起こった少女監禁事件のトラウマを語り合う夫(吉見一豊)と妻(森尾舞)の話だ。推理仕立てになっている。図らずも犯罪に関与してしまった夫は、もうすぐ休暇で戻る大学生の娘にどう説明すれば良いのか。

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INFORMATION

名取事務所『隣の家』『屠殺人ブッチャー』
ニコラス・ビヨン作、前者は小笠原響、後者は扇田拓也演出
10月17日〜29日、東京・下北沢「劇」小劇場
http://www.nato.jp/topics.html#topi_1

(結城 雅秀/週刊文春 2019年10月24日号)

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