ジャケット1着100万円!?「男はつらいよ」寅さんスタイルは今なぜウケるのか?

ジャケット1着100万円!?「男はつらいよ」寅さんスタイルは今なぜウケるのか?

寅さんを演じた俳優の渥美清

10月29日の発売とともに、業界内外を騒がしている異色の コラボ増刊「ビームス×週刊文春」 。ビームスと各界著名人の秘話を追った特集「大型ワイド ビームス人秘録」から寅さんのエピソードをご紹介!

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「私、生まれも育ちも葛飾柴又です。姓は車、名は寅次郎、人呼んでフーテンの寅と発します」でお馴染み、寅さんの活躍を描く国民的人情喜劇『男はつらいよ』。そのシリーズ最新作『男はつらいよ お帰り 寅さん』が、今年12月に公開される。そんな中、若者を中心に寅さんの“ある部分”への注目が集まっているという。

「ファッションです」と語るのは、某ファッション雑誌ライターだ。寅さんと言えば、鯉口シャツに腹巻き、チェックのセットアップと、オヤジ臭いファッションとして知られるが……。

「注目され始めたのは、2011年頃から。30代をターゲットにした女性ファッション誌『Domani』で“寅カジ”として大きく取り上げられたのが最初だったと思います。誌面ではモデルの知花くららが寅さん風のジャケットを着用して、ポーズを決めていましたね」(同前)

 その後も、寅さんは渡り鳥のごとくファッション界で神出鬼没に顔を見せる。

「13年には、日本の人気ブランド『ビューティフルピープル』が、寅さんのファッションにオマージュを捧げたコレクションを発表するなんてこともありましたね。鯉口シャツに腹巻き、チェックのセットアップを身にまとった外国人モデルがランウェイを歩いていましたよ」(同前)

 同コレクションの写真を確認してみると、確かにおしゃれに見えてくる。調べを進めると、寅さんが劇中で羽織っていたあのチェックのジャケットは、高級カシミヤを使ってオーダーメイドされたもので、1着作るのになんと100万円はくだらないという説もあるそうだ。そこまでこだわっているからこそ、“寅さん=オヤジ臭い”という先入観なしに見る若者の目には、おしゃれに映ったのだろう。

■寅さんの服地は婦人ものだった

 そのことを鑑みれば、『男はつらいよ お帰り 寅さん』公開に際し、ビームス ジャパンがコラボレーションアイテムを製作したのは、自然な流れと言えるかも知れない。そこでビームス ジャパンのディレクターに尋ねてみると「ファッション的な観点はあまり意識していません」とひと言。

「製作するにあたって、山田洋次監督は『あのスタイルは寅さんだから、渥美清さんだからこそ成り立つものです』と話されていました。あのセットアップに使われたチェックの服地も、もとは婦人服のものだとも教えていただきました。やはり映画の衣装であり、寅さんのキャラクターを誇張するスタイルなので、あのままを再現したり、他の誰かが身につけても、カッコよくはないんです。なので、ビームス ジャパン的な解釈での寅さんスタイルを、グッズに落とし込みました」

 寅さんは『男はつらいよ 望郷篇』の中で「粋だとかイナセってのは今までの俺のことをいうんだよ」と語っていたが、10年代はファッションにおいてそれが証明された時代だったと言えるかも知れない。

(鍵和田 啓介/文春ムック 週刊文春が迫る、BEAMSの世界。)

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