「事故物件と自分の部屋を階段で繋げたら……」大島てるが明かす“焼身自殺から始まった死の連鎖”

「事故物件と自分の部屋を階段で繋げたら……」大島てるが明かす“焼身自殺から始まった死の連鎖”

※写真はイメージです ©iStock.com

マンションの一室で発見された“ミイラ化した遺体”……大島てるが語る「事故物件の裏にちらつく謎の祈祷師」 から続く

 北九州市のあるエリアに集中している、3つの“特殊な”事故物件。まずは「4人の女性が集団自殺した物件」を、次に「3人の白骨化・ミイラ化した遺体が発見された物件」を紹介しました。残すは1つ。これまでとは異質な衝撃度を持つ「自殺が連鎖したマンション」についてお話ししましょう。

(全3回の3回目/ #2 より続く)

■競売にかけられた「焼身自殺が起きた部屋」

 このマンションも、前の2つの物件から徒歩圏内という、非常に近いエリアに建っています。その10階建てのマンションの3階で焼身自殺があったことが、そもそもの始まりでした。どうやらその地域では「昔、あの部屋で火事があった」といった程度の認識の人が多いようなのですが、実際に起きていたのは、部屋の住民が自らに火を付けて命を絶ったという、凄惨な焼身自殺だったのです。

 この一件で事故物件になってしまったその部屋は、やがて競売にかけられることになりました。競売とは、民事執行法に基づく債権回収のための手続きのことで、事故物件ではよくある話の1つです。たとえば、まだ何十年もローンが残っている段階で住人が自殺したり、孤独死したりして、その後ローンを払う人が誰もいなくなってしまった場合、お金を貸していた銀行などの債権者が裁判所に申し立てを行い、物件の差し押さえと売却を行うのです。

■その事故物件を購入したのは……

 競売物件と事故物件は重なるところが非常に多いのですが、そこで殺人や自殺などがあったことを裁判所が把握している場合、その事実はしっかりと開示されるため、購入者は「ここは事故物件である」と理解した上で落札することになります。

 そして焼身自殺があったそのマンションの一室にも、競売の末落札者が現れました。ただ、その購入者というのが……なんと、上の階の住人だったのです。

■3階と4階を勝手に繋げて“メゾネット”に

 焼身自殺があった部屋は302号室だったのですが、そこを購入したのは402号室、すなわち天井を挟んで真上の部屋に住んでいた人物でした。かつて3階で焼身自殺があったことは百も承知、そこが紛れもない事故物件であることを理解している人が、あえて落札したのです。

 その住人は何のために、わざわざ真下の事故物件を購入したのか……。おそらく周囲の人たちも訝しんだことでしょう。しかし、その答えはすぐにわかります。その住人は落札後、3階と4階の部屋を勝手に繋げてしまったのです。

 今まで住んでいた4階の部屋の床部分をぶち抜き、階段を設置して3階と繋げる。そのような“リフォーム”を施すことで、自らの住まいをメゾネット(デュープレックス)のような形に仕立て直してしまったのです。

■数年後、その住人もまた……

 おそらくその住人は、それまで住んでいた4階の部屋を手狭に感じていたのではないでしょうか。そんなタイミングで、真下の部屋でたまたま焼身自殺があり、そこが事故物件として競売にかけられることになった。引っ越すのが面倒くさかったのか、それともそのマンションが気に入っていたのか、ともかくもその住人は「これはラッキー」とばかりに落札。事故物件に住むことに、特に抵抗がない性格だったのでしょう。そして当初の思惑通り、3階と4階を繋げて広々と暮らし始めたわけです。

 しかし、それから数年後――。事態は思わぬ展開を見せました。真下の事故物件を購入し、自分の部屋と繋げたその住人もまた、自ら命を絶ってしまったのです。自殺の現場となったのは、その人物が勝手に設置した階段でした。階段があるのは、空間上は3階の部屋のなかですから、結果的には同じ部屋で立て続けに2人が自殺した、ということになります。

■なぜ“トライアングル”に特殊な事故物件が集まっているのか?

 その身に何があったのかはわかりません。ただ、本来は事故物件であっても気にしない性格の人物が、自分の部屋と事故物件を繋げた後に、自殺をした。それは事実です。

「4人の女性が集団自殺した物件」、「3人の白骨化・ミイラ化した遺体が発見された物件」、そして今回ご紹介した「自殺が連鎖したマンション」。なぜ、この3つの物件が、それぞれ徒歩圏内という非常に狭いエリアに存在しているのか……。これもまた、私に答えはありません。

 後日談ですが、2人の住人が続けて自殺したマンションは、その後「302&402」という形で、再び競売にかけられました。そんな部屋に買い手がつくのか、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、今度もやはり落札者が現れました。当該マンションの中で唯一、3階と4階が階段で繋げられたその部屋は、今日もまた新たな住人を迎え続けているのです。

(大島てる)

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