【日本シリーズ】“絶対王者”ソフトバンク攻略法はあるのだろうか?

【日本シリーズ】“絶対王者”ソフトバンク攻略法はあるのだろうか?

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【監督・梶原紀章からの推薦コメント】
 現実の日本シリーズとは違いコラム上では、苦戦をしているパ・リーグ勢。これは監督が悪いのかと責任を痛感しています。ただ、誰よりも南の島に行きたいと望んでいるのは私です。ですので、パ・リーグの皆様、ぜひぜひここから意地を見せてください。11月1日鴨川での秋季キャンプスタート。南の島のように暑く思わず長袖の服から半袖に着替えて鴨川でこちらの記事を執筆中。ちなみにキャンプ地では11月5日は紅白戦を行いますので、マリーンズファンだけではなく12球団のファンの皆様、ぜひ見に来てください。もちろん、入場無料です。

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■ラジオ中継で楽しむ日本シリーズ

 今年の日本シリーズはラジオ中継をメインに据えることにした。あちこち飛び回って、家を空けっぱなしだった。もちろんテレビはテレビで録画予約しておくが、こういうときはラジオにかぎる。特にradikoができてからはスマホを持ってれば簡単に試合をフォローできるようになった。
 
 ラジオのすごいところは移動中楽しめるところだ。僕は今回、第1戦は日光からの帰路、NHK第1中継をカーラジオで、第2戦は新潟からの帰路、文化放送中継をradikoで楽しんだ。両日とも東北自動車道、上越新幹線は本降りで、車窓の光景はぜんぜん野球っぽくない。が、想像の力は雨の日の高速や線路をスタジアムに変えてしまう。2017年日本シリーズはソフトバンクとDeNAの激突だ。超新鮮なマッチアップだ。

 旗幟鮮明にしておこう。パの代表、ソフトバンクの側に立つ。そりゃ心情的にはチャレンジャー、DeNAを応援したいところだけど、セントラルにペナントは渡せない。ていうか率直に言って100パー、ソフトバンクが勝つと思っている。「セ・リーグ、パ・リーグ、ソ・リーグ」は僕がファイターズ応援仲間と言い出したことだけど、つまり別次元なのだ。ソフトバンクだけ「ソ・リーグ」と別立てになるくらいでちょうどいい。逆に言えばソフトバンク、(うちをコテンパンにしといて)もし負けたりしたら承知しないぞ、という感情もある。あくまで「絶対王者」を倒すのはうちでありたい。

 1、2戦はヤフオクドームだった。週末にまた秋台風が来て、これがもしセ・リーグ球場から始まるレギュレーションだったらどうだったろうと思う。変則日程になった場合、僕はDeNAに有利だった気がする。雨にたたられるのはCSで慣れているし、むしろ「予定は未定」であったほうが爆発しそうな感じがある。

 に対してソフトバンクは「先行逃げ切り」の勝ちパターンを突き詰め、完成させたチームだ。出方をうかがったりせず、序盤から叩いて来る。今季、先制点を挙げた試合は71勝8敗(勝率89.91%)、6回終了時にリードしてた試合は74勝1敗(勝率98.7%)だ。シーズン94勝はダテじゃない。「立ち上がり失点したけど、まだ序盤だし……」なんてフワフワしてるうち、カッチリ型にハメられているのである。だから「予定通り」にことが運べば運ぶほど、ソフトバンクは盤石になる。

 第1戦、1回裏いきなり柳田がヒットで出て、今宮送りバント、デスパイネタイムリー2ベースで、僕らパ・リーグ党は「うわぁ」である。電光石火。柳田復帰は大きい。チームのムードが上がる。NHK第1放送は6時5分スタート、途中6時50分から7時半までニュースによる中断がある(!)という、豪快な野球中継だが、クルマに同乗してた友人と「これ、ニュース終わったらソフバンが大量リードしてたりして……」と話していた。

 東京の自宅に戻る頃は10対1である。序盤、NHK解説の大野豊さんがしきりに井納の球のバラつきを案じていたが、案の定つかまった。「予定通り」にことが運べばこうなる。ソフトバンクにしたら一番厄介な要素は試合勘だったと思う。CSファイナルでだいぶとり戻したが、まだ不安要素(復帰早々の柳田、実戦でいっぱい投げたほうがエンジンのかかるサファテ、等々)はあった。が、これで手応えをつかんだはずだ。

 その夜、大のベイスターズファンであり、文春野球コラムのコミッショナーでもある村瀬秀信さんから泣きのLINEが入る。

「手の内ほとんど見せず、内川だけじゃなく吉村寺原まで見せてくれての圧勝とか、優しすぎて惚れます」

 本当にそんな感じだ。長年のベイスターズファンはスライダーを振って牛耳られる吉村や、最終回に連打を食らう寺原を懐かしく感じたんじゃないか。特に「9回2アウトから寺原」は衝撃だった。

 ベイスターズ側から見ると、この日本シリーズは通過儀礼のような機会だ。過去の(暗黒時代の)ベイスターズを、新しいベイスターズが乗り越える物語だ。内川からかつて「横浜を出ていく喜び」と言われたものを払拭しなくてはならない。が、初手からきつい。吉村寺原の起用はグウの音も出ない感じがある。

 村瀬さんからLINEで「ホークスってどうやって倒すのですか?」と問い合わせが来た。僕は「CSと同じことをすればいいんですよ」と返信する。流れを変えるなら第2戦だ。DeNAはCSはファーストもファイナルも初戦を落としている。日本シリーズでも同じことが起きただけだ。

■崩せない「予定通り」

 と、第2戦も1回裏、柳田ヒット→今宮送り→デスパイネ適時打で始まる。何だこの無限ループは。僕は発想を変えて「むしろ先制されていい」と考えたらどうだろうと思う。盤石の「先行逃げ切り」パターンを打ち破れば流れが変わる。9割勝ってるパターンが崩れたら、ソフトバンクは不慣れな試合をすることになる。いつもと違う風景を見せたい。「予定通り」行かせたくない。

 うまいこと6回表、宮崎の2ランでDeNAが勝ち越した。「6回終了時、リードしてた試合の勝率98.7%」をつき崩した。書いてて一体、この原稿のどこがソフトバンク寄りなのかと思うけれど、まぁ、攻略法を考えるのは習慣になっている。DeNAはどんな手を使っても3対1で抑え切り、敵に「違う風景」を見せるべきだった。そうしたら継投ミスとエラーで作戦崩壊だ。僕はやっぱりなぁと思った。ソフトバンクはあんなもんでおさまらないという変な信頼感があったのだ。

 この試合のポイント。「神の手」か「世紀の大誤審」か、7回裏2死満塁から中村晃がタイムリーを放ち、2塁走者今宮がホームへすべり込んだシーン。捕手戸柱のタッチが早いか今宮の手が届いてるか、リプレー検証で騒然となるのだが、これはラジオ中継だとさっぱりわからないのだった。文化放送の解説・東尾修さんがもめ事を非常に面白がっていた。

 第3戦はハマスタにところを移した。19年ぶりのハマスタでの日本シリーズだ。これは風景が変わる。スタンドの声援も変わるし、ここはゴロが走る芝質だ。デスパイネがレフトを守るのも普段と違う。変数が増える。これを生かしたい。

 この日は日光泊だった。僕は日光アイスバックスというホッケーチームの「中の人」だから、ホームゲームを終えて宿に戻り、radikoのタイムフリーでTBSラジオ中継を聴いた。解説・佐々木主浩、ゲスト解説・黒田博樹という豪華さだ。特に佐々木さんは放送席から始球式に行って、また戻ってくるという面白い趣向だった。

 TBSラジオ「エキサイトベースボール」は今季で打ち切りという報道がネットに出て、どうなのかなと思っていたら『週刊ベースボール』(11月6日号)の連載「川口和久のスクリューボール」に触れられていた。川口さんはTBSラジオ解説者だから確度の高い情報だと思う。エキベー、好きなんだけどなぁ。思い直してくれないかなぁ。HBC「ファイターズナイター」の裏送りはどうなるのか。

 第3戦はソフトバンクの一番強い勝ち方だった。また初回に柳田が出て、送って、今度は内川が返すという先制点である。で、前半リードを広げて逃げ切った。大勝の第1戦より地に足がついてて、強く見えた。対するDeNAは「先手を取らねば」とあせり、拙攻を演じた。今季の盗塁数39(セリーグ最低)のチームが急に足を使おうとしてもうまくいかない。スコアは3対2と1点差だったが、完勝だ。これで大勢は決したと思う。

附記:第4戦はニッポン放送中継だった。日光のホッケー試合が終わり、シャトルバスでradikoを聴いたらちょうど鶴岡のヒットが出て、濱口遥大のノーヒットノーランが破れたところだった。「大勢は決したと思う」と本文を結んだが、この1勝でD eNAが息を吹き返すかのもしれない。ちなみにニッポン放送は今年のポストシーズンのMVP級の働きだった。CSなんか毎日中継組んでくれたもんなぁ。

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(えのきど いちろう)

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