ご存知ですか? 10月19日は小説家・羽田圭介の誕生日です

ご存知ですか? 10月19日は小説家・羽田圭介の誕生日です

©杉山秀樹/文藝春秋

 きょう10月19日は、小説家の羽田圭介の誕生日である。1985(昭和60)年東京生まれの32歳。一昨年、『スクラップ・アンド・ビルド』で第153回芥川賞を受賞して以来、テレビにも積極的に出演し、広く世間に知られるようになった。

 テレビに出る理由について羽田は、「ほかの作家が怖気づいて保身に走る中で露出すれば、ラクな労力で宣伝できると思いました」と説明する(『週刊朝日』2016年8月12日号)。しかし、当初はもっぱら宣伝目的だったのが、しだいに自分の「キャラ自体である程度稼げる」と思うようになり、さらに昨年以降は「ずっと経験のつもりでやってる」という(『文學界』2017年3月号)。今年に入っても、脚本家の木皿泉の指名によりドラマ『富士ファミリー2017』(NHK総合)に出演したり、テレビ東京の人気企画『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』を太川陽介・蛭子能収のコンビから、俳優の田中要次とともに引き継いだりと、あいかわらず露出が絶えない。3月には、これまでのメディアでの実体験を踏まえ、虚実の境界線上からつづった新作『成功者K』を刊行した。このほか、昨年にはゾンビ小説『コンテクスト・オブ・ザ・デッド』を上梓するなど、本業も精力的にこなしている。

 デビュー作は、高校3年生だった2003(平成15)年に文藝賞を受賞した『黒冷水』。以来、「ものを書いていく前提でしか人生を考えていません」といい、大学卒業後に就職したものの、それも「腰掛け気分」で、1年半で退職している(『婦人公論』2016年7月12日号)。若くしてデビューし、収入のほとんどない時期も経験しているせいか、対談やインタビューを読むと、羽田が自身や文学を取り巻く状況を、冷静に分析していることがうかがえる。前出の『婦人公論』の記事では、最近の若い世代が、音楽も映画もスマートフォンで済ませてしまう状況には物足りなさを感じつつ、いつか、それに飽きて小説に目を向けてくれることに期待を示した。ここから羽田は、次のように小説という表現分野の魅力を語っている。

「テレビにしろ、映画にしろ、大きな資本が絡み、回収しなくてはならない金額が大きいものほど、その表現は大多数に向けたものにならざるをえない、これは仕方がないことです。そう考えると、小説は自由ですよ。今の時代に、よくわからない偏った表現や、すごくマイノリティな考えを提示できる、それが小説の魅力。その魅力を伝えていきたいと思います」

(近藤 正高)

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