人間は刹那的に存在しているだけ 脳はどのようにして人格を形成するのか?

人間は刹那的に存在しているだけ 脳はどのようにして人格を形成するのか?

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 脳がどのようにして人格を形成するのかを考える『インコグニート』が公演中だ。主要人物は三人で、一九五五年の検死解剖後、アインシュタインの脳を保持していたトーマス・ハーヴェイ(志村史人)、一九五三年にてんかん治療のため脳手術を受けて記憶障害を起こしたヘンリー・モレイゾン(野々山貴之)。そして、現代のロンドンで臨床神経心理学者をしているマーサ(安藤みどり)。前者二人は、若干変更しつつも実在した人物だ。これにヘンリーの妻マーガレット(保亜美)が加わる。

 三つの時空が急速かつ交互に入れ替わって芝居が展開する。これらを通じて、人間は刹那的に存在しているだけであって、脳がこれに一貫した物語という幻想を加えていることが判明していく。四人の俳優で二十一役を演じている。

 題名は「隠密」の意味だが、脳による幻想なくしては、隠すべき人格そのものがなくなってしまうのだ。

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INFORMATION

劇団俳優座『インコグニート』
ニック・ペイン作、田中壮太郎訳、眞鍋卓嗣演出
11月24日まで、東京・六本木 俳優座5階稽古場
https://haiyuza.net/performance/incognito/

(結城 雅秀/週刊文春 2019年11月21日号)

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