“大魔王”卓球・伊藤美誠を倒すべく中国が導入した“ニンジン方式”

“大魔王”卓球・伊藤美誠を倒すべく中国が導入した“ニンジン方式”

日本悲願の金メダルは伊藤の双肩に ©共同通信社

 卓球大国・中国が、日本女子のエースへの警戒を強めている。

 11月6日から10日まで東京体育館で開催された卓球W杯団体戦。2020年東京五輪のテストイベントを兼ねたこの大会で、唯一、“中国の壁”を崩しかけたのが伊藤美誠(19)だった。

 世界ランキング6位までを中国が占める中、伊藤は同7位につけている。対中国戦における勝率も44%と、目下、東京五輪日本代表の個人戦2枠を争う平野美宇(19)の25%、石川佳純(26)の23%を大きく上回る。

 伊藤は「中国人選手はもはや勝てない相手じゃない」と豪語。W杯団体戦でエース対決をした同い年の孫穎莎も先にマッチポイントを握られる場面があり、「伊藤はこれから何度も対戦する相手。実力も能力もあり、彼女から学ぶことはたくさんある」と強さを認めた。

 女子でいま最も勢いのある孫をあと一歩のところまで追い詰めた伊藤の怖さは、予測不能なプレーにある。

 コントロールが難しいスマッシュや、彼女の代名詞にもなっている通称“みまパンチ”と呼ばれる一撃必殺のカウンター、ナックルボールを放つバックハンドなどの技は中国ではあまり見られないため、回転量の多いドライブボールで勝負する中国選手と同タイプの平野や石川らよりも対策が難しい。

 型破りな発想とメンタルの強さも戦術の幅につながっており、中国で支持されるネットメディア「東方網」は「伊藤は中国代表にとって、刀を磨く砥石のような存在」と称賛している。

■伊藤に勝つと報奨金!?――中国の評価システムとは

 そんな伊藤についた中国での異名が「大魔王」。何をしてくるかわからないプレースタイルを脅威と見た中国メディアが、昨年のワールドツアー・スウェーデンオープン(11月4日決勝)で伊藤が優勝した際に報じたものだ。

“打倒中国”を掲げ、東京五輪で悲願の金メダルを目指す日本は、来年1月6日に代表を発表。世界ランキング上位2名に与えられる個人戦の1枠は、現在8位の石川、10位の平野を獲得ポイントで引き離している伊藤でほぼ確定と見られる。

 それを見越してのことだろう。中国事情に詳しい卓球関係者によれば、最近、中国は伊藤を五輪連覇を阻む最大の障害と見ており、伊藤に勝つと報奨金が出るようになった模様。その額は日本円で150万円とも。

 中国には要警戒の外国人選手に勝つとポイントが加算される評価システムがあり、総ポイント数に応じた賞与が支払われるのだ。

 選手のモチベーションを上げる新たな“ニンジン方式”は“みまパンチ”を封じることができるか。

(「週刊文春」編集部/週刊文春)

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