おばばがミイラに……白石加代子の妖怪ぶりに注目 源平合戦を語り歩いた海尊伝説が復活

おばばがミイラに……白石加代子の妖怪ぶりに注目 源平合戦を語り歩いた海尊伝説が復活

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 秋元松代、一九六四年作の名作『常陸坊海尊(ひたちぼうかいそん)』が公演中だ。源義経の忠臣として奥州平泉に同行したが、衣川(ころもがわ)の戦いの直前に敵前逃亡したことを悔いて、源平合戦を語り歩いた海尊伝説を主題とする。

 昭和二十年、学童疎開した少年たちは山中で巫女のおばば(白石加代子)とその孫、雪乃(中村ゆり)に遭遇する。そこで目撃したのは海尊のミイラとその功徳。東京大空襲で親を亡くし、戻る場所を失った生徒たちは疎開先の近所に引き取られていく。その際、啓太は神隠しに遭ってしまった。十六年後、成長した豊(尾上寛之)が訪ねていくと、おばばはミイラに雪乃は巫女に、そして、啓太(平埜生成(ひらのきなり))は神社の下男になっていた。

 人間が普遍的にもっている罪の意識と後悔を一身に背負う者として海尊が必要になり、伝説が生まれる。魂の苦悩を描写することで定評のある長塚圭史の演出。白石加代子の妖怪ぶりにも注目。

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INFORMATION

KAAT神奈川芸術劇場『常陸坊海尊』
秋元松代作、長塚圭史演出
〜22日、KAAT神奈川芸術劇場ホール、1月に兵庫、岩手、新潟にて公演あり
https://www.kaat.jp/d/kaison

(結城 雅秀/週刊文春 2019年12月19日号)

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