現代社会における労働問題に切り込む 「家族を想うとき」を採点!

現代社会における労働問題に切り込む 「家族を想うとき」を採点!

photo : Joss Barratt, Sixteen Films 2019

■〈あらすじ〉

英国ニューカッスルに暮らすリッキー・ターナー(クリス・ヒッチェン)は、マイホーム購入を目標に、フランチャイズの宅配ドライバーとして働き始める。妻アビー(デビー・ハニーウッド)の車を売り、仕事用の大型車をローンで手に入れ、「ノルマあり」「保証なし」「ペナルティあり」という理不尽で過酷な労働条件の下、家族のために働き続ける。アビーはパートタイムの介護福祉士として時間外も働いていたが、バス移動になったため、労働時間がさらに延びてしまう。両親の不在により高校生の息子と小学生の娘が寂しさを募らせ、家族がバラバラになってしまったとき、リッキーがある事件に巻き込まれてしまう。

■〈解説〉

『わたしは、ダニエル・ブレイク』のケン・ローチ監督が、現代社会における労働問題と、それに翻弄される家族の姿を描く。100分。

中野翠(コラムニスト)

★★★★☆貧困と家族の絆。型にはまりがちなテーマだが、さすがにきわどい所まで踏み込んで話を作っている。演者達もリアル。

芝山幹郎(翻訳家)

★★★☆☆病気の機序は明快に指摘されているが、観客を巻き込むための操作が紛れ込む。わざとらしくて、すんなり支持できない。

斎藤綾子(作家)

★★★★☆家族を想い必死になる父親の行動が全て裏目に。善悪では語りきれず救いのない現実を凝視する監督の眼差しが容赦ない。

森直人(映画評論家)

★★★★★宅配業の労働環境という着眼から秀逸で日本にも欲しい映画。怒れる御大、ケン・ローチはますます拳を高く突き上げる。

洞口依子(女優)

★★★★☆前作から連鎖し燃える“映画の怒り”。宿怨のラスト、原題の「Sorry We Missed You」の意味が絶妙に突き刺さる。

INFORMATION

「家族を想うとき」(英・仏・ベルギー)
12月13日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開
https://longride.jp/kazoku/

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2019年12月19日号)

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