野宮真貴×速水健朗×おぐらりゅうじ#3 「おしゃれはほどほどでいい」のメンズ版が知りたい!

野宮真貴×速水健朗×おぐらりゅうじ#3 「おしゃれはほどほどでいい」のメンズ版が知りたい!

©山元茂樹/文藝春秋

「速水健朗×おぐらりゅうじ すべてのニュースは賞味期限切れである」のスペシャルゲストに 『おしゃれはほどほどでいい』 (幻冬舎)を上梓した野宮真貴さんをお招きする3回目は、野宮さんが男性版「ほどほどでいい」おしゃれを、速水さん・おぐらさんに指南。「オシャレしたいけど、どうしたらいいかわからない」人は必見です(全3回の3回目。 #1 と #2 が公開中です)。

■自分のスタイルがある本物のオシャレな人って、いつも同じ格好

おぐら 本のタイトルにもなっている「赤い口紅があればいい」しかり、2冊目の『おしゃれはほどほどでいい』の中ではついに「いつも同じ服でもいい」と。

野宮 でもある意味ほんとそうなんですよ。

速水 ファッション誌では「1週間着まわしコーデ」が定番の企画ですが、実はそんな技術は必要なくて、毎日同じ服着てなにが悪いの? っていう。

野宮 ムッシュ(かまやつ)さんとかもそうですが、自分のスタイルがある本物のオシャレな人って、いつも同じ格好してますからね。

おぐら やっぱりスタイルですか。あの、それでいうと、ここ何年か気になっていることがありまして。野宮さんも昔から親交があり、いまは「渋谷のラジオ」で一緒にパーソナリティをしているカジヒデキさん。僕ずっと好きなんですけど、いつのころからかマッシュルームヘアとボーダーが極まってきましたよね。たしかにトレードマークではありましたけど、もっと前は違う髪型のときもあったりボーダーではない服も着ていたのが、いまは徹底しているというか。

野宮 ふふふ。私、そのことを本人に聞いたことがあるんです。

おぐら わ! それで……なんと?

野宮 『デトロイト・メタル・シティ』という映画の劇中歌として、カジくんの『甘い恋人』という曲のビデオを作ったときに、あれ主人公の根岸くんのクローンみたいなのがいっぱい出てくるでしょう。

おぐら はい。マッシュルームヘアで短パンの。

野宮 そのときから、もうこれでいこうって決めたらしいです。

おぐら うわぁ……。そういう覚悟を決めて……かっこいい。

野宮 私の場合は、ピチカート時代からいろんな女の子を演じてきましたけど、日常でもやろうと思えばできるんですよ。ヘアメイクとお洋服でキャラクターは変えられる。それが女性の楽しみでもありますから。それこそ、着るもので自然と性格や態度も変わりますよ。

■「私、カジュアル似合わないんです」

速水 本の中では「いま世の中がカジュアルすぎる」と書かれていましたが、野宮さんにカジュアルなイメージないですね。

野宮 私、カジュアル似合わないんです。

おぐら カジュアルが似合わない……! いや、でも「Tシャツが似合わない」っていう女性はけっこういますよね。年齢を重ねるとカジュアルが難しくなるというか。

野宮 それもありますね。年齢とともにどんどん難しくなります。

おぐら ジェーン・バーキンのジーンズにTシャツっていうのは……。

野宮 あれこそスタイルですよね。真似するのはかなり難易度高いです。

速水 でもたしかに、80年代の基本モードだった時代から比べると、いまは相当カジュアルになっているのはたしかで。社会全体がカジュアル化しているのは、僕も気になります。

おぐら ハイブランドのコレクションをチェックしたりはしているんですか?

野宮 見てはいますけど、最近のモードはよくわからなくなってきました。グッチとか全然わからない(笑)。

おぐら 最近の流行でいうと、ノームコアはどうですか?

野宮 こだわりがあって着ているのはいいと思いますよ。それに、そういう方はファッションよりもほかのことに集中したいんだろうなと。

■あの野宮真貴もずっとヒールをはいていたら疲れる

速水 ピチカート時代、ステージではなく普段はどんな格好していたんですか?

野宮 どうだろう……カジュアルではなかったし、少なくとも靴はヒールしかはいてないです。

速水 それはいまも?

野宮 いまはもうフラットです。そこはだいぶ変わりましたね。40代半ばまではがんばってヒールはいてましたけど、やっぱり年齢とともになんか疲れるなと思ったら、それはヒールのせいだって(笑)。

おぐら あの野宮真貴もずっとヒールをはいていたら疲れるんです(笑)。

速水 すごくいい話(笑)。

野宮 もちろん、いまでもステージやパーティーではヒールはきますけどね。それ以外では、なるべくがんばりすぎない。

■女性にとっての「ほどほどでいい」の男版を知りたい

おぐら 30代はご自身でがんばっている意識はあったんですか?

野宮 いや、それがなかったんです。どんなに着飾っても全然平気で。ドレスにヒールでも走れるくらい元気だったし、体力もありました。でもいまは「ほどほどでいい」。

速水 女性にとっての「ほどほどでいい」の男版を僕は知りたいんです。男が手に入れるべき“赤い口紅”に匹敵するようなアイテムって、なにかありますか? 

野宮 メンズのことはあんまり考えてないですね(笑)。

速水 本に書かれていた「赤が似合わない女の子はいない」って、かなりのキラーフレーズですよ。

野宮 男性は、いつものTシャツとスニーカーを、シャツとスエードの革靴に変えるだけでも、かなりオシャレになると思いますよ。

速水 そういうシャツとかネクタイとか革靴って、着馴れてないと就職活動みたいになっちゃうんですよね。

野宮 それは女性も同じですね。赤い口紅もハイヒールも、馴れてないと浮いちゃいます。だからときどき練習したほうがいいんです。まずはそういう自分に馴れることが大事。それと本にも書きましたが、オシャレしたいけどわからないっていう人は、いっそプロに頼んでしまうのもおすすめです。

おぐら 「手持ちの服に合わせて買わない」っていうのは、慧眼だと思いました。

野宮 そもそも似合ってない服に合わせて買い足していったら、永遠に似合う服にはたどり着けないので。それだったら、一度リセットしてしまうしかない。好きなブランドや洋服屋さんを決めて、一回そこで全部揃えちゃう。そうすることで基本は出来上がります。

速水 スタイリストがいなくても、店員さんでいいんですね。

野宮 もちろん。店員さんでも美容師さんでも、街にはたくさんのプロがいらっしゃいます。私のことをオシャレだと思ってくださる方もいますけど、それはピチカート時代なら小西さんや信藤さんがいて、さらに一流のスタイリストさんやヘアメイクさんによって作り上げてきたイメージでもあって。だからオシャレに見えるのは当たり前。そこからいまの私は自分なりに似合うものを探し続けているんです。

■「息子の学校に着ていく服装だけは迷いました」

おぐら カジュアルのほかに、野宮さんが似合わなかったファッションってあるんですか?

速水 それは聞きたい。

野宮 衣装に関しては何でも着こなす自信だけはありました。でも、息子の学校に着ていく服装だけは迷いました。なに着て行ったらいいのか全然わからなくて。

速水 今日みたいな服装じゃダメなんですか?

野宮 これで学校は行けませんよ(笑)。

速水 そうか、お母さんファッションっていうのがあるんですね。

おぐら ほかのお母さん方はどんな格好して学校に行くんですか?

野宮 たとえば紺のスーツ上下とか。そういうコンサバなものをオシャレに着こなすにはどうしたらいいんだろうって。オシャレは自分らしさの表現だから、私の場合はコンサバなものには反映にしくいのでしょうね。さきほどのキッチュ、な要素は全く無いですから。

速水 野宮さんが着るとコスプレになっちゃいそうですね。PTAのコスプレ(笑)。

野宮 バスガイドは大丈夫なのに(笑)。

■「土井善晴さんの本に救われました」

おぐら あと本の中では「オシャレの想像力は働くけど、料理にはまったく働かない」と。あれで救われる人の数は計り知れませんよ。

野宮 前にジェーン・スーさんと対談したときに「そもそも自分に似合うものがわからない」とおっしゃっていて。おそらくそれは苦手意識があるからだと思うんですけど、私の場合は料理がまさにそうなんです。それで初めてオシャレが苦手な人の気持ちがわかったというか。母が料理得意だったのも私にはプレッシャーで。

 そんなときに料理研究家の土井善晴さんの本 『一汁一菜でよいという提案』 を読んで救われました。毎日の基本の食事は、ご飯、具だくさん味噌汁、お漬物で十分という。そこに時々お刺身やお肉をプラスすればいいって。それまでは食卓に何品もおかずが並んでいないといけないと思っていたので。しかも、お味噌汁は出汁もとらなくていい。味噌も濃い日もあれば薄い日もある、それも味わいだからって。目からうろこでした。それでファッションを『一汁一菜』にたとえて本の中では書きました。

■「実はピチカートで一番忙しかった時期に結婚も出産もしてるんです」

おぐら ピチカート時代はプライベートのことはほとんど話さなかったのに、いまはお子さんのことや私生活のことも公開しているのは、なにかきっかけがあったんですか?

野宮 ピチカート時代は生活感すらなかったですからね。お味噌汁の話は求められてなかった(笑)。

速水 たしかに求めてない(笑)。子育て日記を書くようなキャラクターでもなかったですし。

野宮 実はピチカートで一番忙しかった時期に結婚も出産もしてるんです。楽屋の着飾った母親の隣で息子が遊んでたりしていました(笑)。

おぐら 年齢についても、本の中では「超越する」と。年齢は受け入れるのでも、抗うのでもなく、超越するのですって。あれは感動しました。

野宮 ピチカートの10年間は年齢も非公開だったんです。実際は入った時点で30歳だったんですけど、もはやそういうことは関係なかったんですよね。年齢どころか、国籍とかも超えていたので。だから私にとっては30代がすっぽり抜けているような感覚があって。そのせいで普通の50代よりも気が若いのかもしれません。

■老眼鏡もエレガントに使えばオシャレアイテムになる

速水 最近、老眼鏡をプロデュースしたと聞きましたが。

野宮 そうなんです。やっぱり40代の後半になったころから、小さい字が見えにくいなと思うようになって。顔のシミやシワは隠せても、目が見えないのはごまかせない(笑)。それがすごいショックで。でもそんなときに、あるお食事会で女優さんがスッと老眼鏡を出してメニューを見ていて、その姿がとても素敵だったんです。そうか、老眼鏡でもエレガントに使えばオシャレアイテムになるんだって。それで我慢して眉間にシワを寄せてメニューを見るよりも、私も老眼鏡を作ろうって思いました。

おぐら その作るっていうのがオーダーするとかではなく、ゼロから作っちゃうのが野宮真貴ですね(笑)。

野宮 たまたまご縁がありましたので。私がプロデュースしたのは、老眼鏡に見えない、かけるとより美人になる老眼鏡です。そもそも老眼鏡という名前がよくないので、私は「リーディンググラス」と呼んでいます。赤い口紅「サプリルージュ」もそうですが、自分が欲しいと思うものしか作らない、というのが基本なんです。オシャレな老眼鏡を私がプロデュースすることで、「老化する」のはでなくて「成熟する」という価値観を作りたいという気持ちもありましたし。日本の女性には美しく歳を重ねて欲しいと思うんです。

速水 こっちのは折りたたみタイプですね。

野宮 エレガントでしょう。これが一番作りたかったんですけど、デザインもマニアックですし、手作りなので大量生産はできないので限定品です。他にもボストンやウェリントン、キャットアイのタイプも作りました。

おぐら キャットアイの老眼鏡! それは素敵ですね。

野宮 老眼になって初めてわかることなんですけど、老眼鏡は1個では足りないんですよ。カバンの中に1つ、そして各部屋にも1つずつほしい。老眼鏡にはまだ早いという方は、お母さまのプレゼントすると喜ばれますし、義理のお母さまにプレゼントするとポイント上がります。

速水 いま野宮さんがこういった生活感のある話をすることで、ピチカート時代からのファンで喜ぶ人は多いでしょうね。

おぐら フェーズは変われども、ずーっと憧れの対象であり続けるって、すごいことですよ。そこには変わらない思想があるからこそ、できることだと思います。

野宮 ありがとうございます。これからも超越した存在であり続けられたらいいですね。

INFORMATION

今年もあります!
『すべてのニュースは賞味期限切れである 大忘年会 2017』
出演:速水健朗、おぐらりゅうじ ゲスト:武田砂鉄
12月30日(土)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:阿佐ヶ谷ロフトA
前売¥1,800 / 当日¥2,100(共に飲食代別)
e+ と peatix にて発売中!

(速水健朗×おぐらりゅうじ)

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