年間250泊する私が選んだ「本当によかったホテル&旅館50」(2019年9月〜12月編)

年間250泊する私が選んだ「本当によかったホテル&旅館50」(2019年9月〜12月編)

ホテルベルクラシック東京(東京都豊島区)

年間250泊する私が選んだ「本当によかったホテル&旅館50」(2019年5月〜8月編) から続く

 ホテル評論家として2019年の1年間でホテルに宿泊したのは約260泊。そのなかで本当に泊まってよかったといえるのはどこなのか――。

「 1月〜4月編 」、「 5月〜8月編 」、「9月〜12月編」と3回に分けてお届けするこの企画。9月〜12月編の今回、さっそく9月から始めよう。

■■09月08日(日)ホテルベルクラシック東京(東京都豊島区)

 都会で宿泊する際、意外にも大型ターミナル駅から1つ隣の駅に、アクセスや条件の良いホテルが存在するという例がある。大きな駅よりも小さい駅の方が駅からすぐ出られるし、同クラスであれば安価というケースが多い。

 ホテルベルクラシック東京はまさしくそんなホテル。池袋駅の隣、JR大塚駅南口徒歩1分、ウェディングでも知られるホテルで、客室の質感も高い。

■■09月11日(水)御宿 野乃 浅草(東京都台東区)

 ドーミーインは全国区のビジネスホテルだが、和風ビジネスホテルともいえる新ブランドが「御宿 野乃(おんやど のの)」だ。浅草の施設へ出向いた。浅草寺や花やしきにも近い立地。温泉はナトリウムやマグネシウムが含まれた褐色の湯が特徴。

 靴を脱いで入館する館内は畳敷きでまさに旅館の風情。当然のように客室も畳敷き。でもベッドはしっかり設置されており快適性は高い。もはやビジネスホテルのイメージはここにはない。

■■09月14日(土)アゴーラ・プレイス難波(大阪市中央区)

 レッドルーフプラスからリブランドオープンしたアゴーラ・プレイス難波へ。到着して記憶が蘇る。確か以前利用したことのあるフローラルインだった場所だ。でも館内はスタイリッシュになっていてレッドルーフの時にリニューアルされた模様。いずれにせよ使いやすいスケールの客室は過ごしやすい。

 それにしても千日前通りに面した立地は便利(1Fコンビニも嬉しい)。大阪サウナライフを満喫するため、いつもなら心斎橋の清水湯へ出向くところだが、通りを挟んで斜め向かいにあるアムザへ行ってしまった。

■■09月15日(日)国際障害者交流センター(ビッグ・アイ)(大阪府堺市)

 難波駅から南海電車・泉北高速鉄道を利用、「泉ケ丘駅」が最寄り駅。駅と施設はペデストリアンデッキで結ばれているので楽々アクセスできる。周囲には百貨店やショップが多く、ホテルステイを彩ってくれる。障害者の方が多く利用する施設ということもあり、ロビーからエレベーター、廊下などとにかく広々とした設計。

 デザイン性も高く動線も優れており、一般利用者にとっても魅力ある施設といえよう。大阪中心部のホテル料金が高騰している時でもリーズナブルに利用できるる、意外な穴場の施設だ。

■■09月16日(月)アートホテル大阪ベイタワー(大阪市港区)

 弁天町駅直結の複合施設という立地で様々なショップもあり充実のホテルステイが実現できる。コナミスポーツがなくなって、空庭温泉(そらにわおんせん)というスパ施設が誕生し話題になっている。安土桃山時代がテーマとのことで様々な仕掛けがあり楽しい。

 高層ホテルの客室からは、遠くに神戸を望み、5号湾岸線のゲートと天保山へカーブを描く阪神高速。眺望(特に海側)は大阪一ともいえる。夜景はさらに素晴らしい。

■■10月07日(月)高山桜庵(岐阜県高山市)

 高山祭前日に小京都・飛騨高山へ。高山は久々の訪問だが、欧米からのゲストが目立つ光景は、なんとなく松本を思い出す。高山桜庵はドーミーインを運営する共立メンテナンス系列の湯宿。

 ドーミーインとの共通点を探すのも楽しい。夕食は先付&重箱+飛騨牛をメインとした朴葉味噌焼きという贅沢御膳をベースにしつつ、圧巻のビュッフェカウンターも満足感あり。ビュッフェの動線分散も素晴らしい。

■■10月08日(火)深山桜庵(岐阜県高山市)

 高山桜庵が好印象で東京への帰路、同系列の宿へチェックイン。温泉のクオリティでいえば高山を上回る。朝には10度以下になる山の谷間のまさに山奥。少し濁っているお湯はとても温まる。

 少し浸かっていると汗が噴き出てくるサウナ要らずの温泉だ。とはいえスチームサウナも併設されている。夕食は雰囲気ある炉端焼きで山奥気分が盛り上がる。

■■10月20日(日)ザ ロイヤルパーク キャンバス 大阪北浜(大阪市中央区)

「ライフスタイルホテル」というワードがホテル業界を賑わして久しい。デザイン性の高さに加え個性的なインテリアも特色。制服をはじめスタッフのフランクさも伝統的なホテルとは一線を画す。

 ラウンジも魅力だ。この日は、幸運にもラグビーワールドカップ日本×南アフリカ戦のパブリックビューイングが 2Fの「CANVAS LOUNGE」で催されていた。ラウンジで愉しめるCANVAS LOUNGEのブレンドコーヒーは、自ら豆をセレクトして挽き淹れるもの。

■■10月21日(月)ホテル阪神アネックス大阪(大阪市福島区)

 5月に開業したホテルへ。福島駅目の前の「ホテル阪神」から環状線の高架下を2分ほど歩き、ふくまる通りに面する立地。コンセプトは“はなれ”。大阪駅から1駅隣の福島という“はなれ”。

 ホテル阪神の“はなれ”という意味もあるとのこと。和モダンがテーマで客室のカラースキームも“さくら”“あかね”と日本の伝統を感じる空間に仕上がっている。阪神サウナファンとしては、“はなれ”から本陣であるホテル阪神へ出向くことに。

■■10月25日(金)アゴーラ・金沢(石川県金沢市)

 片町交差点至近の好立地にダークトーンの存在感ある外観が印象的。賑やかな繁華街にあって金沢の雅も感じられるホテルの中は別世界だ。2Fはラウンジを中心にパブリックバス、ウォークインでも利用できるスパトリートメントと、宿泊特化型が席巻するエリアでの差別化へのトライを感じる。

 1Fの「Dining SohZa(ダイニング・ソウザ)」では凄い朝食に感動。金沢には新しいホテルが続々誕生しており競合は激化しているが、いかに存在感を際立たせられるかにも注目だ。

■■10月29日(火)センチュリーロイヤルホテル(北海道札幌市)

 札幌駅に隣接するホテル。新しいエクスクルーシヴフロア ブランへ。客室エントランスのガラス扉からドアまで長いアプローチがあり、外出時思わずインロックしそうになる。プライベートスペースを重視したレイアウト。

 街並みを一望できるビューバスも完備。ここまで広いと32インチテレビが小さく感じる。最上階のスカイレストラン ロンドはいわゆる回転レストラン。窓際に荷物を置くのは御法度。レストラン全体がまわっているわけではなく“中だけがまわっている”ので荷物だけ取り残されるので要注意。

■■10月30日(水) センチュリーマリーナ函館(北海道函館市)

 函館駅から朝市を抜けたベイエリアに5月開業。こんなのみたことない!の連続。朝食も然り。肝心の海鮮コーナーではやはり“いくら”に注目。大皿にたっぷり盛られた光景はこれまでもよく見られたが、こちらは皿を2段用いてこぼれいくらを演出。

 源泉掛け流しの温泉は、谷地頭温泉のような濃厚赤茶色。日没早い北海道、箱館山と夕闇にキラキラと光る街の灯りを望みつつ、ホテル最上階の露天風呂での湯浴みは最高だ。

■■11月26日(火)アオアヲ ナルト リゾート(徳島県鳴門市)

 年度末近しということで原稿持ち込んで客室に籠もるリゾートホテルライフを計画したが、仕事しやすいデスク周りで感激。時間さえあれば、温浴施設をはじめ多彩な施設、イベントなど体験してみたいホテルだ。

 ディナーでおすすめは炭火焼き。海鮮、肉と食べきれないくらいのボリューム。〆のご飯、汁椀のタイミングでなんと土鍋登場。蓋を開けると梅豆乳鍋。サッパリしてスルスルと入っていく。淡路の玉ねぎと白ワインの相性も良い。

■■11月30日(土)ホテルフォルツァ大阪北浜(大阪市中央区)

 宿泊特化型ホテルの供給過多が叫ばれる大阪の、しかも激戦区に新規誕生したホテル。24時間コーヒーは当然として、アルコール(ワイン)のフリーフロー提供(期間限定)もデフォルトになりつつあるのか。これから飲みに行くぞという食前酒的利用サラリーマンで賑わっていた。

 現在はインバウンド率は低いようだが、クオリティホテルだけに今後増加していくことだろう。もはや客室もクイーンベッド160センチ幅勝負か。地下鉄駅至近だが、大通りに面するより少し入った立地の隠れ家感は好きだ。

■■12月01日(日)ホテル阪急レスパイア大阪(大阪市北区)

 JR大阪駅北側のヨドバシ梅田タワー9階〜35階に大阪最大級の1030室で開業した「ホテル阪急レスパイア大阪」へチェックイン。ビルは高さ約150mの高層でB1〜8Fは商業施設・リンクス梅田。旅先でちょっと欲しいものが手に入る、気軽に食事もできる。

 高さといい立地といい(ヨドバシといい)観光スポット的な人気ホテルになることだろう。早くも人気という「グリリアート クオッカ」という直営レストラン、ワインのフリーフローは秀逸だった。

■■12月05日(木)豪華カプセルホテル 安心お宿プレミア名古屋栄店(愛知県名古屋市)

 東京で人気を博し、進化型カプセルホテルのトップランナーとしてしられる豪華カプセルホテル安心お宿が名古屋へ初進出した。女性も利用できる施設は京都に続き地方2軒目。いつもながら利用者目線の仕掛けがたくさん。

 もはやコンセプトというよりもひとつの世界観という言葉がフィットする。ロッカー更衣室の通路幅や浴場のタオルは、カプセルホテルのベンチマークとも思える。名古屋にひとつホットな話題が増えた。

■12月09日(月)古湯温泉 ONCRI(おんくり)(佐賀県佐賀市)

 古湯温泉にあるお気に入りの湯宿。温泉を愉しみつつのホテルライクなサービスとおもてなしの享受。基本、ホテルの部屋着は着ない(自宅から持参)が常だが、こちらの部屋着は別物だった。なんと楽ちんなのだろう。

 おんくりのバー&レストランSEBRIといえば、吉武シェフの印象が強烈であったが、福岡市中央区白金エリアにコンセプトレストラン「イノベーティブ・フレンチ ワタハンby Furuyu Onsen ONCRI」が新たに開業したという。これは行ってみなくては。

■■12月10日(火)レフ熊本byベッセルホテルズ(熊本県熊本市)

 熊本のビジネスホテル激戦区・新市街に新規開業したホテルへ。ベッセルホテルズといえば、全国区で展開する小規模チェーンだが、このところの積極的な出店は印象的だ。内装はデザイナー系にしては利便性へのトライが感じられ好印象。

 ベッセルホテルズの大浴場に対する崇高なるスタンスは、ベッセルホテルカンパーナ沖縄で体験した際に深く実感したが、今回はある種の確信を得た。動線にはじまりチラー装置などなどポイントを押さえているのもさすがだ。

■■12月13日(金)ONE@TOKYO(東京都墨田区)

 ウッディな演出の外観が印象的。隈研吾デザインということで開業時話題となったホテルだ。ロビーに入って驚くのは天井の配管などがむき出しになっていること。押上は元々町工場が多く、そうしたイメージも採り入れているという。

 屋上には宿泊者限定のルーフトップが。目の前にはスカイツリー。夏ならビールがさぞかし美味しいことだろう。客室もウッディな雰囲気が醸し出されており居心地が良い。ほとんどが外国人スタッフであるが、そのホスピタリティマインドにも感激した。

■■12月16日(月) ホテル ココ・グラン高崎(群馬県高崎市)

 訪問する度に凄いと感心するホテル。高崎エリアで稼働率もADR(平均客室単価)も微増しているというから驚きだ。全客室にマッサージチェアと電子レンジ、大浴場にサウナと“揃っている”ホテルはやはり強い。

 ここまで揃っているのに、いまや多くのビジネスホテルで提供されているロビーのコーヒーサービスはないなぁと思っていたが、今回の訪問で新たに設置されているのを確認。ココ・グラン高崎を訪れたい理由がまたひとつ増えた。

■■12月23日(月)紺碧 ザ・ヴィラオールスイート

 紺碧 ザ・ヴィラオールスイートの再訪は、レストラン「エタデスプリ」渡真利シェフの進化を確認したかったため。2016年の開業当初、渡真利シェフの料理を初めて体験した際の衝撃は未だ忘れられない。

 2018年、2019年には日本最大級の料理人コンペティションRED U-35受賞、2019年の5月には次世代を担う実力派シェフとして、日本全国から精選された15人に選出されるなど活躍の場を広げている。今回のディナーで唸ったのは、コース中盤で供されたリゾット。カッパ巻きからヒントを得たというその名も“胡瓜”。終盤のシャポンも衝撃だった。

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 こうしてまとめてみると、出向く曜日としては日曜日〜水曜日が多い。ホテルの料金は1週間でいえば日曜日が最も安く、土曜日に向かって高くなっていく傾向がある。取材費等の関係で安価な日に出向く傾向があることはもちろんだが、安い日はホテルの稼働率も低いことがあり、取材対応などホテルへの負担も考慮してのことでもある。

 2020年以降も新規開業予定の宿泊施設は多い。気になるホテルだけでも相当であるが、もちろん全てへ出向けるわけではない。本年も素敵なホテルに出合えることに期待しつつ、精力的に取材へ出向きたいと思う。

※記載の情報は滞在時点でのものであり、最新情報等についてのアップデートは反映されていない。実際の利用等に際しては施設の公式サイトなどで情報を確認いただきたい。

写真=瀧澤信秋

(瀧澤 信秋)

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