田中みな実写真集ヒットの理由 女が憧れるのは“少女のような表情”“意外に豊かな胸”“アヒル口”

田中みな実写真集ヒットの理由 女が憧れるのは“少女のような表情”“意外に豊かな胸”“アヒル口”

田中みな実 ©AFLO

 12月13日に発売されたフリーアナウンサー田中みな実(33)のファースト写真集「Sincerely your…」(宝島社)が、発売から1カ月で50万部を突破した。スペイン・バルセロナで撮影されたという写真集には下着姿の大胆な姿も掲載されているが、読者には男性だけでなく女性も多いという。以前は“ぶりっ子キャラ”で「嫌いなアナウンサー」の代名詞だったが、いかにしてこの支持を手にしたのだろうか。

 数々の女性誌にコラムを寄稿する美容ジャーナリストの齋藤薫氏が、田中みな実のカラダがなぜ女性の支持を集めたのか、その綿密に練られた“女性受け戦略”を分析した。

 何でも炎上するこの時代に“脱ぐ勇気”は、まず並大抵のものではない。吉凶どころか、鬼が出るか蛇が出るか、何が起こるかわからない賭けのような選択。女にとっては運命をかけての露出を、よくも決断したものである。

 今更説明するまでもないが、ヌードであれセミヌードであれ、キャリアやタイミングによっては“脱ぎ損”になりかねない。崖っぷちで起死回生を狙っても、多くはイタイと言われ、さらに好感度を減らすことになる。フリーとなった別の元局アナにも、同じような年齢で水着写真集を出し、その後も脱ぎ続けるものの、表舞台から完全に姿を消してしまった人がいる。元局アナというハイスペックな女性がそこにたどり着くまでの距離と道のりを考えると、何だか物哀しい。

 ただそういう意味で、よほどの勝算がないとやってはいけないことであるのも、田中みな実は知っていたのだろう。既に様々な伏線を張っていた。結果、この写真集は前代未聞の大ヒットとなっているのだ。

■女が敬意を表する“体が見事な女性”

 セミヌードによってここまでイメージを急上昇させた例は過去にないかもしれないほど。

 いろんな理由が複合的に絡んでいるのは間違いないが、まず何よりもそれぐらい美しい体だったということ。バストは豊かだけど品が良く、ヒップは撮影時の32歳という年齢を考えると芸術的。程よい筋肉を感じる引き締まった脚、しなやかなウエストのくびれ。そこに端正で小さな顔がついていて、表情は、少女のよう。男はそこにエロスを感じ、後ろめたさを感じたりするが、女性の目にはちゃんと清潔感が見えるからこそ、評価が高かった。

 女の体は、美しいかどうか以前に、行儀が良い体かどうかが問われる。ましてや下着姿には、親のしつけのようなものが自然ににじみ出る。そういう意味でこの人の体は、猥雑さがなく、穢れがない。だから女性たちはそれをあくまで美しいものとして、自分もこうありたいという美しさとして、この目でしかと見ておきたいと思ったのだろう。

 本当の意味で、女が敬意を表するのは“体が見事な女性”。じつは以前から「どんなに顔が美しくても、プロポーションが良くないと女性の支持を得られない」という法則があった。90年代あたりから、憧れの女性は女優よりもモデルとなり、いわゆるガールズコレクションで、女性たちがモデルに絶叫するようになるのもそれがため。

 手足の長さもさることながら、痩せているのにグラマラス、これが最大の憧れで、かつての平子理沙やミランダ・カーのブレイクも、可愛い顔に、細い体、そして“意外に豊かな胸”の3点セットがあったからに他ならない。

 そう、この“意外に豊か”というのが鍵なのだ。明らかに大きそうな人の巨乳はそれほどエロティックではないが、まさに脱ぐとすごいんですという意外性はそれ自体が官能的。

 女の魅力において極めて重要なのが、じつはこのギャップなのである。?

■「女の敵」キャラから「美のカリスマ」へ

 1つの伏線として報道もされているように、この人は美容系の女性誌でいきなり「美のカリスマ」へと躍り出て、女性人気を見事に獲得している。

 田中みな実には、正直それまで女性には明らかにアンチの方が多かった。「好きな女子アナ、嫌いな女子アナ」ランキングで嫌いな方にいつも名前があがっていたのは、「女の敵」キャラが定着していたから。それがたちまちの大逆転。

 いや、これは結構あることで、特に美容において“キレイになる方法”などを女性誌で披露すると、一気に女性の共感を呼ぶ。ひとえに“自分たちの味方”に見えてくるからで、言わば受験と一緒。「勉強? 全然してない」と言って東大に入る奴がイラッとされるのと同様、「美容? 何にもしてなくてえ」と言ってどんどんキレイになる美人は嫌われる。実際、売れっ子女優やタレントは化粧品のCM契約などで、具体的な美容法を言えないこともあるけれど、トップ女優になると、私にそんなこと聞くの? もっと内面の魅力を引き出してという気配にもなりがち。だから、これやって、これもやってと、惜しげもなく舞台裏を披露してくれる美人は必ず支持を得ることになっている。

■女性ファン獲得の鍵は「美しい」より「カワイイ」

 ただしその場合も、読者が感服するほどの成果を上げていないとダメ。今時は、ネットニュースにも美容情報まがいの広告が溢れ、良くも悪くもギョッとするビジュアルで誘導するのがパターン化。美しさでも文字通り息を飲むほどのインパクトが必要だが、この人はそこも心得ていて、見事にウルウルの肌と作り方を公表して確実に支持を得た。

 さらに言えば、いかに「カワイイ!」を連発させるか? 大人世代も「美しい」より「カワイイ」で読者を唸らせるのが、未だ女性ファン獲得の絶対の鍵なのだ。

■“アヒル口”に熱狂したのは女子

 良し悪しは別として、“アヒル口”が女の切り札として流行したのも、アピールの対象は男じゃなく、女。あの口で甘えられて、まんまとそそられるほど、今の男は馬鹿じゃない。何とも不可解だが、アヒル口のモデルに熱狂したのは女子なのだ。日本の美意識は、今も相変わらず「カワイイ」が最優先されるのである。オリンピックの開会式にアヒル口揃いのユルキャラの行進だけは見せないでと願うばかりだが、そういえば、田中みな実も局アナ時代、アヒル口を乱発。写真集にもアヒル口と思しきカットがあって、そういう意味でも女性読者を意識しているのは明らかだ。

 かくしてブレイクの最大要因は、そうしたカワイさと体のギャップだったのではないか。

 あどけない顔なのに何だかエロい印象を「幼なフェロモン」と呼ぶが、そもそもTBSには幼なフェロモン枠というものがあったようで、田中みな実もおそらくはそこに属していた。ひょっとしてそういう自覚があったからこそ、遅れてきたぶりっ子キャラをあそこまで臆せずやり通したのかもしれない。

 いや、ぶりっ子といっても、昔の松田聖子的な計算は全くなく、既に死語にならんとするぶりっ子を面白おかしくパロディーにしただけ。なのに、あまりに“はまり役”だったものだから世間が誤解しただけなのだ。本物のぶりっ子であると。

 その誤解のせいで、嫌いな女子アナの常連となったのに、平然とぶりっ子をエスカレートさせていったのは今更ながらあっぱれ、大した根性だ。とは言え、あそこまでキャラを立てなければ、フリーとなっても埋もれていく可能性は大。局アナ時代から、「みんなのみな実」と上目遣いで個人名を売っていたとすれば、素晴らしい策士である。

■嫌われキャラが完全に板に付いたところでフリーに

 そして今の時代、むしろ炎上も恐れぬヒール系の方が、品行方正系より高い支持を得て好感度を上げるのは女も同じ。嫌われキャラが完全に板に付いたところでフリーになっているのがミソなのだ。有吉弘行や坂上忍の如く、全て承知の上でヒールをやるタイプは全くイジメ甲斐がなく、いっそリスペクトされることをこの人は知っていたのだろう。ただ上沼恵美子じゃあるまいし、さすがに毒舌ではリスキーだから、ぶりっ子で嫌われることにした……そういうことではないのか。

 従って、ぶりっ子演技も小林麻耶の上をいく。精神的な強さも女子アナ史に残るほど。グレイヘアで見事再ブレイクを果たした近藤サトと肩を並べるくらいに、女子力ならぬ女子アナ力の強い人、そう言っていいのである。つまり実際は、ぶりっ子をパロれるくらい世慣れている上に、逆境やアンチをものともしない強靭な心の持ち主。で、この強さも、ブレイクにつながっていることを見逃してはならない。

■「男の目線もちゃんと押さえている」ことが分かるあの対談

 男は、DNA的に強い女が好き。自分の意のままにならない女には、男の本能である征服欲を刺激されるからで、その辺りの力学が手に取るように読めたのが、1月5日に放送された「サンデー・ジャポン」(TBS系)での元ZOZO前澤友作氏との対談。彼の独特な結婚観と、元恋人、剛力彩芽への配慮のなさを真っ向から批判し、強気の発言にさしもの前澤氏もタジタジだった。とは言え恋愛の仕方など、いくら否定されても男は痛まない。それどころか、モテる男にしか成立しない“女からの抗議”にまんざらでもなかったりする。少なくともこの話題なら立つ角も立たないことがよくわかっているから、女の正義感を盾に怒りを交えて批判してみせた。

 その辺り、女性へのアピールかとも囁かれるが、いやいやこれは“征服欲の塊のような男”を落とす、じつに頭の良いギミック。無意識にでも、自分はカワイイから、基本何を言っても許されるという大前提の下、ちょっと噛みついてみる。かわいい犬のように。そういったことが身に付いてしまっているのだろう。いや、そうとしか見えなかった。女性人気を意識しながらも、男の目線もちゃんと押さえているところが、この人一流のスタンスなのである。

 さらに言うなら、写真集を出したことで、もうこの人は殊更に女をアピールしなくても良くなった。あの体が女を勝手に語ってくれる。だから今後はむしろ、こうした肌の露出とは対極にある魅力を伝えていけばいいわけで、ここは冷静にロジカルに相手を諭して、思慮深さと知性を見せつけた? 何と言う賢さだろう。まさしく女子アナの面目躍如。

 女性として最もステータスの高い職業は今なお女子アナであると感じるのは、やっぱりぐるりと全方位の魅力を併せ持つ人たちだから。美貌、知性、センス、機転、謙虚さ、ユーモア、何より喋りの旨さ………まさにオールマイティーな魅力を要求される人たちなわけで、ハナから只者じゃないのだ。

■ヒールキャラを乗り越えての好感度は揺るぎない

 そういう女子アナが、炎上も恐れぬ勇敢さと、運命をかけたセミヌードに挑む度胸を備えたら、もう怖いもの無し。何をやってもうまく行くというゾーンに既に入っている。好感度の増減に一喜一憂している優等生な女子アナには到底進めない次元にもう到達しているのだ。ましてや、ヒールキャラを乗り越えての好感度は、もう絶対揺るぎないものになるから、これからは安定した支持を支えに、何にでも挑戦するのだろう。

 結果として、この人、見事にスキがない。異例のサクセスストーリーである。

(齋藤 薫/週刊文春デジタル)

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