可愛らしくてグロテスクな新刊『ドレス』に翻弄されろ──「作家と90分」藤野可織(前篇)

可愛らしくてグロテスクな新刊『ドレス』に翻弄されろ──「作家と90分」藤野可織(前篇)

©山元茂樹/文藝春秋

■小説を書くときは男でも女でもないとずっと思っていたけれど

――最新短篇集 『ドレス』 (2017年河出書房新社刊)は、可愛らしくてグロテスクな奇想の詰まった1冊です。「文藝」掲載の6篇と、「早稲田文学増刊 女性号」掲載が1篇、文学ムック「たべるのがおそい」掲載の1篇を収録していますね。1冊にまとめるにあたって、選んだ基準などはありましたか。

藤野 「文藝」に載せたものはその都度考えたものです。私には結構、単行本に収録していない短篇がたくさんありまして、その中から編集者が他に掲載した2篇を選んでくださいました。

 小説を書き始めた頃からずっと、私は小説を書く時は男でも女でもないと思っていたんですけれど、ちょうど「文藝」で短篇を書き始めた頃に、そうじゃないということに気がつき始めたんです。女性であることも私が持っている数少ない、貴重な素材のひとつだなと。

 だから、その「女性」という素材をきちんとほかの素材と同じように大事に使おうと意識して書いたものばかりになったかな、という気はします。

――たとえば表題作の「ドレス」は、鉄製の妙なイアリングをつけ始めた恋人に対して青年がギョッとするところから、意外な方向に話が広がります。彼が恋人を選んだ理由が、好きになったというよりも、ランク的に自分に釣り合う程度の女性だったから、というところがちょっとムカつきますよね(笑)。

藤野 めっちゃムカつきますよね(笑)。やな奴ですよね。でもこういう考え方が自分にないのかって言ったら決してそうではなくて、どこかにあるんですよね……。

(瀧井 朝世)

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