冬の歌に出てくる男が昔よりヘナチョコになっている――近田春夫の考えるヒット

冬の歌に出てくる男が昔よりヘナチョコになっている――近田春夫の考えるヒット

涙雪/Sonar Pocket(Warner):愛知県名古屋市出身の男3人組。

『涙雪』(Sonar Pocket)/『あなたといきてゆく』(GLAY)

 今週のお題は「冬の男バンド曲」だそうで、担当の若者から早々にSonar PocketとGLAYの新曲が送られてきた。

 ところで、ひとくちにバンドとはいうけれど、俺なんかがやり始めた頃を思えば、取り巻く環境から演者のメンタリティに至るまで、もはやすべて様相のまったく別物と化してしまったとまではいいませんですけれどもね。やはりそれは“隔世の感”の心境を覚える場面のまったくない訳ではない。

 一般的に。いや違った、乱暴に申してしまえば、私どもの世代ではバンドとはすなわち“ロックバンド”の意なのである。今日活躍している奴らの曲を聴いていて、この一体どこに“ロックの魂”があるんだぁ! と叫びたくなることはありますよ正直いって。

 只ね、まぁ、その部分は人それぞれの哲学/信条にも関わることなので、これ以上は、いうまい触れまい語るまい。

 洋の東西を問わず、バンドの録音物に接すると、つい気になってしまうのが“バンドであることの必然性”だ。

 これソロじゃダメなの?

 ライブ演奏ではどう再現するんだろう? 云々……。俺は人一倍バンドに意義を求めてしまう方なのである。

 さて『涙雪』であるが、まさにリリカルを絵に描いたようなピアノをフィーチャーしたイントロに流麗なストリングスも加わり、歌は進むにつれ美しいハーモニーとなって、ドラマチックだがなかなか抑制も利いた編曲/展開である。この透明感、きっと女性層などにはたまらないものがあるのだろうなぁと。その意味においては、これが大のつく売れ筋なのはほぼ間違いない。

 しかし申し訳ない。述べたようにまず“バンドとして”どーなのよ? そこがスッキリしないことにはその先に進めぬのがこの俺だ。とりあえずちゃんとピアノの人とかもメンバーにいるんだよねぇ? そこでどんな編成なのか一応チェックしてみると、えっ、ボーカル二人にトラックメーカー兼DJってあーた! そもそもバンドじゃないじゃんさ、担当よ。

 てーことですので『涙雪』。気を取り直して(笑)さっきの続きに戻りますが、冒頭の、♪去年ならここで君と待ち合わせていたねwinter day/いつも5分待たせるから息を切らしていた――からとっさに浮かんだのが、相手が銭湯から出てくるのが必ず自分より遅く、いつも冷え切った状態の身体で待たされたという、かの『神田川』の世界だった。

 ただ、光景などを思い浮かべていくと、断然『涙雪』の男のほうがヘナチョコなのが見てとれる。昭和と今とでは男女の社会的関係性みたいなものも随分変わったのだなぁと。そんなことをシミジミと思っているうち、あっそうだ、Sonar Pocketって何なのかが急にわかっちゃったァ!

“平成のニューミュージックユニット”ってことでいいんですよね?  違うかなぁ……。

 GLAY。

 結婚式当て込んで歌詞書いてるんだったら逞し過ぎだワ。

(近田 春夫)

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