吉岡里帆インタビュー「私が志村けんさんからもらった言葉」

吉岡里帆インタビュー「私が志村けんさんからもらった言葉」

(c)佐藤亘/文藝春秋

新ドラマ『きみが心に棲みついた』でドラマ初主演を務める女優・吉岡里帆さん。お笑いからドキュメンタリーまで、生粋のテレビっ子・吉岡さんに、てれびのスキマさんが聞くインタビュー後編は自ら語る女優論、大事にしている志村けんの言葉について――。(全3回  #1 , #2 より続く)

■満島ひかりさんのおかげで、私は自然と“悪人”になれた

―― 昨年、2017年には「ブレイク女優ランキング」1位に輝くなど、本当に大活躍ですが、女優として自分の中で転機になったお仕事は何ですか?

吉岡 2015年の『あさが来た』だと思います。役名で話しかけてもらえるようになりましたから。色んな世代の人に見てもらえたというのも大きくて、ファンレターはおばあちゃんからも小学生の子からも届きました。すっごい嬉しかったです。あと、福田雄一監督の『明烏』という映画が転機になっていますね。

―― 福田さんはどういう演出をされるんですか。

吉岡 福田さんは本当面白くて。オーディションから面白かったんですけど、もうその場で「君にしたから」って言ってくれて。えっ? みたいな。

―― あはは。

吉岡 本当に無名だった私を選んでくださったんですけど、「お前はとにかく中途半端にブスだし、中途半端な年齢だし、色々中途半端だから、死ぬ気で芝居しろ」「それでしかもう目に止まんない」って言われて(笑)。「普通じゃだめ。人より何倍も何倍も努力する。人より何倍も何倍も恥をかき捨てることが必要だね」って、初日に言われたんですよ。それで、あぁ自分って何においても中途半端なんだって。その時に教えられたおかげで、振り切って毎回挑むっていうのをずっと変わらず徹底するようにしています。まぁ思い返してもキツい言葉でしたけどね、中途半端中途半端って(笑)。

―― 実際に女優になられた後、影響を受けた俳優さんはいらっしゃいますか?

吉岡 満島ひかりさんとは『カルテット』でご一緒しましたが、なんか本当に、肌で感じる空気がすごくて。役に没頭されてる感じで、その役そのものでそこに存在してらっしゃる感じでした。『カルテット』で私はすごく“悪役”をやったんですけど、満島さんの存在のおかげで、私は自然と悪人になれる感じがしました。満島さんの私に対しての怯え方だったり、目線のありかたによって、こちらも役に追い込んでいけるような思いを持ちました。

―― 『カルテット』も『ゆとりですがなにか』でもそうですけど、意地悪な人の役が多かったじゃないですか。自分のイメージと近いですか。

吉岡 いやいや、全然違います!(笑)。理解に苦しむ役どころですよ。やっぱりああいう、意地が悪い人をやる時は、相当台本を読んで、なぜそうなったのかを突き止めないと、素直にお芝居できないです。

■最近は最果タヒさんの詩が好きです

―― 一番自分に近いなと思った役は何ですか?

吉岡 朝ドラ『あさが来た』の、のぶちゃん。あれは地でやってましたね。猪突猛進、真っすぐ。バカ真面目みたいなのは、めっちゃわかると思いました。何かと向き合う時は、こうなるよねってって。

―― のぶちゃんも本好きでしたが、吉岡さんも本がお好きだと。

吉岡 はい、本もすごく好きです。でも最近はなかなか読めてないんですよね。

―― 小説とかは?

吉岡 小説も読みますし、最近は詩。最果タヒさんっていう詩人の方が大好きです。

―― 今回『きみが心に棲みついた』での役はご自身に近い部分はありますか。

吉岡 共通点もあるし、全然違うなという面もあります。

―― ちょっとドジっ子みたいな感じですか。

吉岡 そうですね、ドジっ子ちゃんなんですけど、私は自称しっかり者(笑)。自己評価が極めて低いというのは共感します。

―― そんな低いんですか。

吉岡 やっぱりやってもやっても自信なんて持てないですしね。毎日、反省と挑戦の繰り返しです。

■優しく包み込むようにラジオの1時間を過ごす

―― 今ラジオ(『UR LIFESTYLE COLLEGE』)もやられてるじゃないですか。ラジオって昔って聴いてましたか?

吉岡 ラジオはあんまり聴いてなかったですね。でもラジオをやるようになって、聴くようになりました。

―― やってみてどうでしたか。

吉岡 すごい難しいです。でもテレビや映画、舞台ではできない表現方法だなと思って、やりがいや面白みを感じています。やっぱリスナーの人との距離が近い。毎週コメントくださるんですけど、そんなプライべートな話までしてくれるの? っていうぐらい、身近に感じながら話してくださっているのがわかって。自分の子供が今受験生で、こうこうこうで悩んでてどうすればいいんですか、とか、悩み相談みたいなのが届くのはラジオ独特だなと。やっぱり毎週違うゲストの方に来てもらうので、勉強する量がすごく増えましたね。その人のことを調べて、その人のひととなりを理解して。その人が必ず嫌な思いをしないように、優しく包み込むようにそのラジオの1時間を過ごすっていうのを目標に頑張っています。

■関わってる人みんなが幸せになりますように

―― 今回『きみが心に棲みついた』では連ドラ初主演ですけど、主役をやられて、何か変わりましたか?

吉岡 うーん、変わりましたね。色んなことに責任がつきまとうので、すごく慎重になってます。その反面、演じる時は役に没頭して、共演者の方やスタッフさんに対しては、ついてきてもらえるように元気にパワフルにいないとと思って。たぶんどんどん、足の裏から熱が出るような。

―― えっ?(笑)

吉岡 足元からカーッと熱くなってくるような、毎日熱量がすごく高い感じがします。ほんとに絶対にいいもの作りたいってずっと思ってるし、みんなのこと大好きだし。なんか関わってる人みんなが幸せになりますようにって毎日思ってます。

―― へぇー。すごい責任感。

吉岡 ほんとに毎日そういう思いで過ごしています。そして一番はしていただいていることに対しての感謝というか、気づくことが多くなりました。あっこんなこともしてもらってる、こんなこともしてもらってるって。サポートしてもらってるという意識が、さらに増えました。

―― 主役となると座長として現場の雰囲気づくりも大事な仕事になると思うんですけど、そういった点で気をつけていることはありますか?

吉岡 弱音を吐かないってことですかね。現場は明るく、元気に。

―― 今やCMにドラマに大活躍で、テレビで見ない日はないほどの存在ですが、吉岡さんご自身、テレビ出演し始めて、テレビの見方って変わりましたか。

吉岡 変わりました。出る前は、出てる人しか目に入らなかったんですけど、自分が出るようになってから、スタッフさんとかが見えるようになった。あぁ、出ている人が輝けるよう、むちゃくちゃ素敵な仕事されてるなって、画面の奥の奥まで見るようになりました。

■大切な志村けんさんからの言葉

―― 今ってテレビはどういうの観てるんですか。

吉岡 最近観れてないですけど、結構、ニュース観てます。

―― 一番好きなテレビ番組って何ですか?

吉岡 うーん、なんだろう? 『世界の車窓から』かな。私、毎回録画してます(笑)。見たことない景色を見せてくれる番組が大好きですね。子どもの頃大好きだった『ウルルン滞在記』もそうでしたが、やっぱり身動き取れない時はテレビでしか味わえないじゃないですか、世界中の旅気分って。

―― 吉岡さんはコメディエンヌの素質も十分という感じがするんですが、コントを演じたことはありますか?

吉岡 志村けんさんのコント番組、NHKの『となりのシムラ』に出演させていただいたことがあります。志村さんは実は映画好きで、映画の話もたくさんさせていただきました。「ホントにこの芸能界は、すっごい忙しい時期というのがあって、そこでものすごく心と体が疲弊するんだけど、そこを乗り越えなきゃいけない。だから、もしその日がきても絶対めげちゃダメだよ」って言ってくださって、それが心に残ってます。おかげさまで、今とても忙しい時期を迎えているのかもしれないんですけど、志村さんの言葉を思い出しながら、これからもがんばります!

#1?吉岡里帆が告白「落語家を目指していた時代」 http://bunshun.jp/articles/-/5834
#2?吉岡里穂が語る「グラビアのお仕事のこと」 http://bunshun.jp/articles/-/5835

写真=佐藤亘/文藝春秋?

よしおか・りほ/1993年、京都府生まれ。NHK連続テレビ小説『あさが来た』でヒロインの娘の親友「のぶちゃん」役で話題になる。他のドラマ出演作に『ゆとりですがなにか』『カルテット』など。ドラマ初主演となる『きみが心に棲みついた』が1月16日TBS系でスタート。

(てれびのスキマ)

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