高谷が離脱……捕手難のソフトバンクを救うのは誰だ

高谷が離脱……捕手難のソフトバンクを救うのは誰だ

©時事通信社

 2年連続日本一を目指す福岡ソフトバンクホークスに立ちはだかる危機! 2人の捕手が春季キャンプ中、立て続けに離脱を強いられてしまいました。ホークス捕手陣では1番のベテランで、昨季92試合に出場した高谷裕亮捕手が、右肘の関節炎と診断され、27日に手術を受けました。復帰までは3ヶ月を要するとされています。今季も甲斐拓也捕手と2人で主に1軍でマスクを被ることが予想されていた上、若手育成のためにもベテラン捕手の存在は重要なだけに、チームには大きな痛手となりました。

 さらには今季の“第3の捕手”候補の筆頭として期待されていた栗原陵矢捕手が、高谷捕手の離脱直後、2月20日の練習で左肩関節前方脱臼。共に、開幕が絶望的な緊急事態となってしまったのです。そのため、1軍経験のある捕手はチームに甲斐拓也捕手のみとなってしまいました。春季キャンプ終盤は、B組も含めた若手捕手陣を紅白戦や対外試合に出場させたり、宿舎で首脳陣が捕手陣を集めての“捕手補習”が行われたりと、必死に現状打破へと向かっています。

 緊急事態と言われるのも当然なのですが、私は、こんな時だからこそ、新戦力の台頭を楽しみに戦況を見守りたいのです! ずっとファームで頑張ってきた、光り輝く可能性に満ちた若鷹に是非もっと期待して欲しいです。さあ、若鷹捕手陣よ! 今こそ、チームのピンチを自らのチャンスにする時だ!

 もちろん、勝負の世界、そんなに甘くはないのは重々承知です。しかし、侍ジャパンの座まで上り詰めた甲斐捕手も育成出身。長年ファームで誰にも負けない努力をしてきたから、今があると思います。そんな這い上がる甲斐捕手の姿を間近で見てきて、「自分もやれるんだ」と奮い立って頑張ってきた捕手もいます! 日本一のチームで、チャンスは簡単に得られるものではありませんが、ここで大いなるアピールをして、チームを救うニューヒーローの誕生に私は期待します! そんなキラキラ輝くスター候補生たちを紹介します。

■長打の九鬼、安定の谷川原

 2年目の九鬼隆平捕手は、今春キャンプで初めてA組に抜擢されました。昨季がルーキーイヤーながら、「何かつかんで欲しい」という首脳陣の期待から、2軍戦で攝津投手、中田投手らベテラン投手とも試合で多くバッテリーを組み、九鬼捕手主導でサインも出し、経験を積んできました。

 秀岳館高校時代も、3年春夏共に甲子園に出場しベスト4。大舞台を踏んできたためか、プロ入り後も、その堂々たる姿から“ルーキー感”は感じられませんでした。的山2軍バッテリーコーチも「九鬼が入ってきて、周りの捕手陣が“もっと頑張らないと”となった」と話していましたが、早くも刺激を与える存在に……。性格的にも“根っからの捕手”というたくましき19歳。27日のロッテとの練習試合では、好送球で盗塁阻止に成功。昨季3軍で“本塁打王”を獲得した魅力の打撃も含め、もっともっと強気のアピールを期待したいです。

 一方、九鬼捕手とは性格的には真反対で、吉鶴1軍バッテリーコーチが“栗原タイプ”というおっとり系の谷川原健太捕手は、豊橋中央高校からドラフト3位で入団した3年目。たしかに、栗原捕手同様に天然感のある愛されキャラだし、プロ入り前には甲子園出場や代表経験などもないため、「変なクセがついていない」という“天然素材”なんです。

「肩も強いし、リードも面白い。経験を積ませていけば面白い存在」と以前、吉鶴コーチは話していました。昨季は右肘の手術で出遅れてしまいましたが、リハビリ期間中に人一倍取り組んできた下半身強化でズッシリたくましくなって実戦復帰。野球ができる喜びを感じながら成長の1年を過ごしました。キャンプ紅白戦ではバットでアピール。28日の楽天戦では盗塁阻止。顔つきも一気に凛々しくなりました。「長打の九鬼、安定の谷川原」と打撃面での期待も大きく、ポテンシャル高き3年目捕手にも期待です。

■育成からニューヒーロー誕生も?

 2016年7月に支配下登録を勝ち取った張本優大捕手にも、このチャンスをつかんで欲しい! 2013年育成ドラフト4位入団から、黙々と努力を積み重ねてきた苦労人。同じ育成出身で2つ年下の甲斐捕手の快進撃を横目に燃えている選手の一人です。

 張本捕手が支配下登録された時、その理由として上げられたのが、怪我の多いポジションながら、怪我なくたくさん成長してきた努力と身体の強さ。そして“人柄”でした。結果の世界と言われるプロ野球で、球団から大いに人間力を評価する言葉が送られていたのには良い意味で驚きました。捕手にとって大事な“信頼”と、みんなに愛されるという最強の武器を持っている張本捕手。存在感ある積極的な声掛けも、このチャンスをつかむのに必要な武器。吉鶴バッテリーコーチは言っていました。「声だけでも1軍にいられるかもしれない」と。そういう意味では、張本捕手の猛烈アピールをもう1頂、魅せて欲しい。

 的山コーチは、甲斐捕手のことを“ウサギとカメのカメタイプ”と話していました。その甲斐捕手を引き合いに出し、「カメより遅いけど、コツコツ頑張っている」のは、育成4年目の堀内汰門捕手。

 一昨年オフから攝津投手のグアム自主トレに同行し、1軍投手の球を受けたり、打撃投手を務めてもらったりと育成ながら貴重な経験を積んできました。攝津投手も「汰門は頑張り屋さんなので、すごく良い選手になると思いますよ」と取り組む姿勢を認めています。一昨年の秋、達川ヘッドコーチに掛けられた「チャンスはあるぞ」の言葉を励みに、健気に頑張ってきた堀内捕手。昨季、栗原捕手が1軍初出場した時、同期の飛躍に祝砲を送りつつも、悔しさを噛みしめ、それを力に変えてきました。栗原捕手が帰ってきた時に、より切磋琢磨できる存在に一気に成長するんだ! そして、何より支配下登録を勝ち取るチャンスは今だ! ウサギもカメも追い越す快進撃を楽しみにしています。

 そして、育成3年目の樋越優一捕手も忘れちゃいけません! グラウンドに響き渡る声が聞こえたら、それはおそらく樋越捕手! 東京農業大学北海道オホーツクから「自分は大卒だから時間がない」と危機感を抱きながら入団。捕手が多すぎて、なかなか捕手として試合に出られないときでも、グラウンドでの元気は絶やしません。首脳陣やチームメイト、特に外国人選手とのコミュニケーション力は長けており、面白い可能性を秘めているのではないかと期待しています。

 ケガ人続出に心配が残るまま、春季キャンプを打ち上げ、これからオープン戦に突入します。しかし、ピンチとチャンスは同時にやってくるもの。今こそ、もう1頂ももう2頂も、全力猛烈なアピールに燃えて欲しい! ファームで、常に全力で健気な捕手陣を見てきたからこそ、若干(いや、とても?)贔屓目にはなってしまいましたが、ニューヒーローの覚醒を心待ちにします。とはいえ、高谷、栗原両捕手のいち早い復帰を祈り、さらに激しく熱い捕手争いに期待します!

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(上杉 あずさ)

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