中日・高橋周平、7年目の覚醒の予感

中日・高橋周平、7年目の覚醒の予感

北谷キャンプで守備練習する高橋周平 ©時事通信社

 中日ドラゴンズの沖縄・北谷(ちゃたん)での春季キャンプが終了した。松坂大輔フィーバーが吹き荒れた今年の北谷キャンプ。話には聞いていたが、実際に見てみると本当にすさまじい数の報道陣とファンの数で、今年から球団広報になった赤坂和幸氏が大汗をかきながら松坂の後を駆け回っていたのが印象的だった。

 そんな中、熱い注目を浴びている選手がいる。昨秋から二塁手に挑戦している背番号3、高橋周平だ(以下、周平)。大本営・中日スポーツには「覚醒」「正二塁手」の見出しが躍り続け、森繁和監督もキャンプの「最も成長した選手」として周平の名前を挙げた。シーズン前に覚醒しても仕方ないと思うかもしれないが、ここ数年はシーズン前から不調だったのだから周囲が浮かれる気持ちもわかる。僕も浮かれている。

 昨秋から挑戦している二塁の守備は、意外なほどソツなくこなしている。そして、なんといっても打撃だ。ここまでの対外試合で25打数10安打、2本塁打(3月1日時点)。自分のタイミングで、初球から迷いなくスイングしているところが素晴らしい。今季から二軍打撃コーチに就任した森野将彦そっくりの構えで、右方向に強い打球を弾き返すようになった。これこれ、こういう周平が見たかった!

 以前の周平はタイミングがとれずに初球の甘い球を見逃し、追い込まれてから難しい球に手を出して凡退というパターンが多かったが、秋季キャンプではチーフスカウトから転身した石井昭男二軍打撃コーチと森野コーチによって徹底的に始動のタイミングの修正が行われた。始動を早くすることで、前のほうでボールを叩けるようになり、好結果に結びついているのだという(中日スポーツ 2017年11月6日)。春季キャンプでは波留敏夫打撃コーチとマンツーマンで居残り特訓をやり抜いた。波留コーチは横浜で内川聖一を、ヤクルトで山田哲人を育てた杉村繁コーチと同じティー打撃のメニューを周平との特訓に取り入れている(中日スポーツ 2月24日)。

 一塁を守る主砲・ビシエドと三塁を守る福田永将に弾かれる形で二塁を守ることになった周平だが、腐った様子は見せていない。昨秋から泥まみれになってノックを受け続けてきたが、そのおかげで体のキレが良くなり、打撃に好影響を与えているという見方もある。そんな周平には、巨人で二塁を務めたケーシー・マギーの金言を贈りたい。「僕は一塁手や三塁手ではなく、野球選手なんだ。最善の準備をすることは当たり前さ」

■ドラゴンズは周平を中心に回っている

 ドラフトで3球団競合のスラッガーも今年でプロ7年目。思えば、この数年のドラゴンズは周平を中心に回ってきた。落合博満監督解任のショックを和らげてくれたのは周平の入団だったし、ドラフト制以降の高卒新人最年少のホームランや、甲子園で放った球団最年少の逆転満塁ホームランにドラゴンズファンは躍り上がって喜んだ。しかし、その喜びは続かなかった。

 地元の後輩・小笠原慎之介がドラフト1位で入団すれば、「これで周平も刺激を受けるはず」。チームリーダーの大島洋平が周平を自主トレに帯同させれば、「これで周平にも良い影響があるはず」。同じ東海大学系列高校出身の森野将彦が二軍打撃コーチに就任すれば、「これで周平も目覚めるはず」。昨年のドラフトで清宮幸太郎を指名する噂が流れたとき、「ウチは周平を育ててないからなぁ……」と思った人もいたんじゃないだろうか。

 チームメイトの亀澤恭平は周平のメンタル面の弱さを指摘していた。昨季、一軍昇格後に不振に陥ったときのことを周平は「僕が救世主? そんな期待されてもって思いました。頭真っ白ですよ。なんでそうなるの? って」と振り返っている(J SPORTS野球好きコラム 2017年9月30日)。

 結局、周平は開花せず、チームはBクラスをさまよい続けた。「今年こそは」の声もだんだん小さくなってきている。北谷キャンプではファンから「石垣雅海の下半身がデカくなった」「高松渡のスピードはいいぞ」などの声が聞こえてきたが、周平の話題はほとんど出なかった。ファンも傷つくのが怖くて本命に告白できないシャイな乙女みたいになっている。

 しかし、今年の周平は違う。違うと思う。メンタル面についても、シーズンオフに断食をして忍耐を学んだ。松坂フィーバーのおかげで、余計な重圧を受けずに済んでいる。すべてが良い方向に回っている。

 昨年12月に小学校を訪問して授業を行った折には、「何が言いたいかというと、うどんを食べたいのに、そばを食わんでくれということ」と言い放って子どもたちを困惑させた周平。ならば、僕は周平に期待したい。巨人に移籍したゲレーロの穴を埋めるのは周平だと思っている。アルモンテやモヤにも期待したいが、あえて期待しない。うどんを食べたいのだから、そばは食べないよ。

 周平には華がある。一打でチームの雰囲気を変える力がある。レギュラーになって打ち続ければ、きっとチームは変わる。応援歌で「竜の未来を担え 君の手で(周平)」と歌われているが、もう待てない。未来は今なんだ。竜の今年を担え、君の手で、周平!

(大山 くまお)

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