オオカミもそろそろ野球観たいってよ――マンウィズ とカープの幸福な関係

オオカミもそろそろ野球観たいってよ――マンウィズ とカープの幸福な関係

Jean-Ken Johnny ©2020 MAN WITH A MISSION

※編集部の方で狼語を翻訳してお届けしております。

 お初にお目にかかる方も多いかと思いますので堅苦しいですがご挨拶から。はじめまして、オオカミです。MAN WITH A MISSION(マンウィズアミッション)というバンドでギターとヴォーカルを嗜んでいるジャンケン・ジョニーという者です。決して怪しい者では……と言いかけましたが、頭がオオカミで身体が人間なのでよくよく考えたら(考えなくても)見たまんま怪しい者です。よろしくお願いします。冒頭の注釈にもあるように、普段のインタビューや文章では文字入力者に狼の口調、喋り方の臨場感を出すためにカタカナを多用した文章をおこすようにして頂いていますが、この文字量の文章がカタカナだと読者の目と脳にとって地獄間違いなしなので、通常のヒト様の文章よろしく普通の文体で皆様にお届けする形をとらせてもらいました。

 それにしてもまさか文藝春秋の一コンテンツに携わる日が来るとは思ってもいませんでした。カープファンであることは確かですが、このような得体の知れない者の起用を許した文藝春秋の編集部の皆様と、何よりも選出してお声がけいただいたガル憎さんに厚く御礼を申し上げたいと思います。本コラムで筆を取らせていただくのは初めてでもありますのでご挨拶に続いて自分とカープとの関わりなぞを軽く紹介させていただきたいと思います。

■MAN WITH 広島東洋カープ

 自分自身がカープファンを最初に公言したのはいつだったかはよく覚えていないが、インタビューやラジオ等で交わされる世間話的な問答で「好きな球団とかはあるのか」という質問に対し何の気無しに「広島東洋カープデス」と答えて「なんでフルネームw」みたいなやりとりが一番最初だった気がする。その後Twitterなどでもたまに同様な質問をされれば答えるぐらいの軽いノリだったが、究極の生命体と謳っているオオカミバンドのメンバーが普通に「え、カープファンですけど」と言っている図式が面白いのか、やたら伝播していつの間にかプロフィールの一項目になっているような「公式でカープファンだって言ってるよ!」的な広まり方をしていた。その後、縁もあって2013年に行われたMUSIC CUBEという広島の大規模ライブサーキットイベントにおいてキュレーターを務めさせて頂いた際に、ファンだという事もあってバンドのグッズを広島カープとコラボさせていただいたりと、気づいたらいつの間にか球団と絡んでしまっていた。当時のMUSIC CUBEの番組で「好きなカープの選手は?」という質問に対して「北別府デス」と答えたりしていたのが懐かしい。

 選手との関わりでいえば、今は引退されましたが天谷宗一郎選手が我々の楽曲を入場曲に使ってくださっていた。野球のみならずスポーツと音楽の親和性は非常に高く自分自身もかなりやられる口。現場やスポーツ番組で流れる音楽ってなんかやたらカッコよく聞こえるのです。この場をお借りいたしまして、天谷選手にも御礼を申し上げます。そうこう色濃く関わらせていただいているうちに、広島カープはめちゃくちゃ勝つようになり、なんか気づいたら爆発的な人気に。応援している身としては嬉しい限り頼もしい限りだったが、もう「北別府デス」とか「やっぱり達川」とか言ったら怒られるのかしら、とも思っていた。

 生まれて初めてファールボールを「捕りそうになった」のもカープの試合だ。2年前ぐらいだったか、観戦中にファール球が上空に高く舞った。ん? これは、来る? お? 来るぞ! テンションが上がってこれはチャンスと捕球しようと立ち上がったが、良く考えてみたら綺麗に捕ってしまった場合、テレビに抜か……その瞬間の脳の回転速度のなんたるや、咄嗟によけた。しかもよけ方がなんか阿波踊りの振りみたいになった。意気揚々とファール球を捕ろうとしたやつが秒で思い止まって一転よけたのでなんて挙動不審なやつなんだと周りからはガン見。良い思い出です。なぜよけたのか? んー、世の中には不思議なことがいっぱいあるものですね。はい。なんにせよファンとしてボケとも取れてしまうような公言からまさかここまで深く関われるとは思ってもいなかったし、今日に至ってはなんと偉そうにカープのコラムを書いている始末。ありがたい話であります。無論、これからも応援させていただきます。

■プロ野球界が『今』何を提示するかにも期待

 と言ったように皆様同様、一ファンとして今年の開幕も例年通り楽しみにしておりましたが、2020年のプロ野球は皆様ご存知の通り、新型コロナウィルスの影響により残念ながら延期という形になっている。多くの業種に関しては少しずつではあるがこのコロナ禍が終息仕切っていない中でも、経済活動を完全に止めたままの対策で延々と社会を動かさないままではジリ貧という見解のもと、ウィルスと付き合いながらも社会生活を営む政策に移行している。しかし一方スポーツだけでなく観劇や音楽ライブ等々、大人数を一つどころに集客する事が軸となっている業種に関しては、どう対応するべきかだけでなく営業そのものの再開自体も悩ましい状況が続いている。そんな中、ドイツではつい先日5月16日に無観客ではあるが自国のサッカーリーグであるブンデスリーガの再開を宣言し実行した。非常に大きな影響と被害を被っているヨーロッパにおいて、あれだけの観客を集めて来た巨大スポーツ産業のこの試みがどう出るか、はたまたこの先どのような変化と対策でもって新たな可能性を我々に見せてくれるのか、個人的には大きな期待を寄せている。そして我が国日本のスポーツ界は? プロ野球は果たしてどうなるのか? 同じように期待の目を向けているのです。

 コロナ禍の前と後で世界とその価値観は変わると言われている。もう既に変わっている、変わり始めていると言うのが正しいのかもしれない。もちろん元どおりの世界に戻って欲しいし、元の日常を取り戻すために世界中の人々が戦っているのだが、同時に自分たちは変わってしまった世界にも対応できるだけの柔軟な変化をしなければ、順応していかなければいけないのだとひしひしと思い知らされている。しかし「思い知らされて」いながら決して悲観ばかりすることでもないと思うのです。何年も叫ばれ続けてきたテレワークやオンライン教育への移行と実施、旧体制の問題点が良い意味でより明確に浮き彫りになっている事も多々ある。今までと同じようにできないのを嘆くのではなく、今までは出来なかった新しいことに目を向ける良い機会なのではないか。

 そんな中で、日本プロ野球界。やはり日本のスポーツ界の中でも一等歴史と伝統があるイメージが人々にも確実にあるのではないでしょうか。そんな日本プロ野球界という伝統的且つ巨大な組織にこそ、新しい世界にも耐えうる力強さと変革の在り方の一例を提示して欲しいと、私めは思っております。変わらなきゃいかんよ、というのをかのような組織が示すことができたらこれほど説得力ある事はないんじゃないかな、と。私自身もスポーツが持っている純粋な力の信者の一人です。ただ、人々の心に勇気を! 力を! だけでなく、プラスα新たな展望をも見せつけて欲しいなぁ、というのが個人的な願いであり希望であります。そして、同じく人を集めることが軸になっている文化・娯楽に身を置くものとしても、考えていかなければいけないと自分自身にも言い聞かせております。

 いつの日かまた以前と同じように球場やライブハウスいっぱいに人を集められる日は必ず来ます。それまで何ができるか。今なら何ができるか。またみんなで必ず集まりましょう。でも、どうせなら前より強く、良くなってやりましょう。

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(ジャンケン・ジョニー)

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