アンジャッシュ児嶋、ナイナイ矢部、ロンブー、雨上がり、ザキヤマ、ノンスタ…試される「相方力」3つの成功タイプ

アンジャッシュ児嶋、ナイナイ矢部、ロンブー、雨上がり、ザキヤマ、ノンスタ…試される「相方力」3つの成功タイプ

アンジャッシュ・渡部の不祥事について、ラジオで謝罪した相方の児嶋一哉 ©文藝春秋

「渡部は僕なんかより全然売れてるから、立場的にも叱りにくかった。こういう僕の弱い部分もあいつを甘やかした。多くの人に迷惑をかけた」

 いまだ各方面に波紋を広げているアンジャッシュ・渡部建(47)の不倫騒動。芸能活動を自粛した渡部に代わって、謝罪の言葉を語っているのは、相方の児嶋一哉(47)だ。

 渡部がMCを務めるラジオ「GOLD RUSH」(J-WAVE、6月12日)に代役として出演。冒頭のように知られていない2人の関係性にまで踏み込んで涙ながらに謝罪すると、その実直さが好感されてSNSなどでも話題に。会見をしない渡部に代わって“ガス抜き”の役目を見事に果たしたのだった。

 いまお笑い芸人の不祥事が続く中で、トラブルを起こした本人ではなく、児嶋のように相方の対応力が試されるケースが増えている。コンビの生き残りのためにも欠かせない、この“相方力”。過去の事例を分析すると、「成功する3タイプ」が見えてくる。

■トラブルの先に一歩踏み込んだナイナイ矢部

 まず挙げられるのが、児嶋の謝罪にも見られる「トラブルの先に一歩踏み込んでいく」ケースだ。お笑い評論家のラリー遠田氏が語る。

「やっぱり児嶋さんが第一声で何を語るのかは、皆注目していた。そこで、ただ単に渡部さんの責任を問うだけでなく、コンビの2人しか知らない関係性に触れて、渡部さんのトラブルの根本的な原因にまで言及した。たとえば、『振り返れば、なんでお前そんな言い方するんだ、っていうことがありました』という児嶋さんの言葉も、リスナーからすれば知らないことだから誠意を感じられる。型どおりの謝罪をしても見る人は納得しません。『相方としての説明責任』にまで踏み込んで話したことで、イメージをより悪化させずにすみました」

 一歩踏み込んだ児嶋と似たケースとして、ナインティナインの岡村隆史(49)の“風俗発言”の際の相方・矢部浩之(48)の対応を挙げるのは、お笑い業界に詳しいライターの鈴木旭氏だ。

「ナイナイのケースは、矢部さんが『公開説教』という形で、ラジオで延々と岡村さんにダメ出しするという展開でしたが、結果的に大成功だと思います」

 矢部が出演したのは、岡村が「コロナが終息したら絶対面白いことある」「美人がお嬢(風俗嬢)やります」などと発言した「ナインティナイン岡村隆史のオールナイトニッポン」(ニッポン放送)。発言した翌週で岡村の対応が注目される中、2014年に同番組を卒業していた矢部が緊急登板し、岡村を説教した。

 鈴木氏は、矢部が見事な“相方力”を発揮したことで、コンビと岡村自身のイメージダウンを最小限に食い止めただけでなく、ナインティナインの「大きな転換点」となる場をつくることに成功したとみている。

「ファンの中には、暗い気持ちになる視聴者もいたかと思いますが、あの放送は『お笑いコンビとしてのナイナイ』が復活する瞬間にもなった。長い間ナイナイでお笑いの役割を担っていたのは岡村さんだけで、矢部さんはMCなどタレント的な役割が求められる仕事が多かった。2人の不仲説も流れていたなかで、あのラジオで矢部さんが堂々と『ナインティナイン、今うまいこといってない』と本音を語りました。コンビとしての会話がほとんどなくなっていて、すれ違いがあったことまで明らかにしたのです」(鈴木氏)

 岡村は2時間の放送で35回も「申し訳ない」と発言するなど、説教は放送終了まで続いた。放送は話題となり、その翌週からは矢部がレギュラー復帰。コンビでの再スタートを切る形になった。

「お笑い芸人としてどこか冷めてしまっていた矢部さんと、リスナーを笑わせたいがために失言してしまった岡村さん。どちらにとっても、説教をきっかけに2時間本音で話し合えたことは、コンビとして再スタートを切るうえで重要な布石になったのです」(鈴木氏)

■相方の復帰までプロデュースするロンブー淳、ノンスタ石田

 不祥事自体をネタにするなど“フル活用”して、相方の謹慎から復帰までをプロデュースしてしまうケースもある。その代表格が、ロンドンブーツ1号2号の田村淳(46)だ。

 昨年夏の「闇営業」問題で、約半年間の活動自粛となった田村亮(48)だったが、相方の淳は、その立場をフル活用した。今年1月に亮の謹慎が明けるまでの間には、「ロンドンハーツ」(テレビ朝日系)で亮自身は出演できないにもかかわらず、亮の自宅でのロケを敢行。4月に番組復帰する際には、あえて体育座りでセットの外から見学させる姿を放映して、視聴者が納得できる仕組みまで準備して、本格復帰の道筋を作った。

「淳さんの動きは、亮さんへの愛を感じさせる見事なものでした。あそこまで素早く復帰をサポートできたのは、亮さんと意思疎通がしっかり取れていたから。謹慎中も亮さんの存在を視聴者が忘れないよう精力的に発言するなど、際立った対応力でした」(ラリー遠田氏)

 淳は、亮の謹慎期間中に「株式会社LONDONBOOTS」を設立。亮を所属タレントに据えて、吉本興業と専属エージェント契約を結ぶかたちで新たな活動の形まで成立させている。

「会社を設立する際も、吉本と亮さんの間をうまく取り持っていた。亮さんの『復帰したい』という意志をしっかり確認できているから、すぐ行動できたのでしょう」(ラリー遠田氏)

 同じくプロデューサー視点でいえば「NON STYLEの石田明さん(40)も注目すべき」と語るのは、前出の鈴木旭氏だ。

「石田さんの相方である井上裕介さん(40)は、2016年12月に乗用車との接触事故を起こし、道路交通法違反(ひき逃げ)などの容疑で書類送検され、その後不起訴処分となった。井上さんはこの事故で、約100日間謹慎しましたが、その間の石田さんの対応には誠実さがよく表れていました」

 井上が活動自粛を発表した翌日、白のスーツがトレードマークの石田は黒スーツを身にまとい、「よしもとお笑いまつりin立川」ライブ前に報道陣に向け謝罪。その一方でライブでは冒頭に謝罪したあとは、「僕、真っ白じゃなかったら誰かわからないですよね」などと、早くも謝罪を笑いに変えながら、ネタを披露していたという。

 また井上の謹慎中、元々コンビでオファーされていた現場では、石田が演者・スタッフ一人一人に頭を下げていたことが、後にインパルスの板倉俊之(42)によって明かされている。

「石田さんは、井上さんの謹慎中の謝罪対応が完璧だったことに加え、謹慎中から不祥事を笑いに変えてイジりまくっていました。石田さんが井上さんの復帰の土壌をつくったから、井上さんの復帰ライブでも最初から不祥事をネタに笑いをとることができたんです」(鈴木氏)

■不祥事には触れずに土壌をつくったアンタッチャブル山崎

 相方が率先して対応するケースがある一方、不祥事にほとんど触れずに“風化”させることで、コンビ復帰を果たしたのが、アンタッチャブル・山崎弘也(44)だ。

「相方の柴田英嗣(44)さんは、“体調不良”を表向きの理由に2010年1月から1年間活動休止。復帰後も『事実上の解散では』と噂されるほどコンビとしての活動がなくなった。実質はピン芸人状態だった山崎さんが一人でアンタッチャブルの看板を背負ってきました。その間、柴田さんが自身の口で活動休止の理由(女性トラブル)を語った以外は、他の芸人さんがイジッても『死んじゃいましたからね』と山崎さんらしく笑いにするのみで、詳しくは語らなかったですからね」(鈴木氏)

 ところが2019年11月、活動休止から10年近く経って突然、『全力!脱力タイムズ』(フジテレビ系)でコンビが復活し、感動を呼んだ。ちなみに、その復活の舞台でも、休止のきっかけについては触れることはなかったという。

「山崎さんは柴田さんの騒動があった後、コンビ復帰の可能性について公の場では一切語らず、テレビなどでは明るくハイテンションなキャラクターを貫いてきました。1人でも順調に活動ができていたことから、コンビ復帰の可能性は低いと思われていました。だからこそ、突然のコンビ復活劇が人々に大きな衝撃と感動をもたらすことになったのだと思います」(ラリー遠田氏)

 本来、芸人は人を笑わせることを生業としている。だからこそ、不祥事の対応は難しく、慎重にならざるを得ない。

「笑いのスタイルやキャラを守りながらも、誠意を見せないといけない。その誠意の見せ方は人によって違いますから、山崎さんのように一見、相方に冷たいように見える対応が後々やさしさだとわかったりする。非常に難易度が高いなと思いますね。

 雨上がり決死隊の蛍原徹さん(52)も、もともと理屈をこねないキャラクターなので、闇営業問題についてはあまり発言しない。でも、宮迫博之さん(50)のことをイジられたら、しっかり笑いで返していますから、テレビ復帰の可能性を信じているんでしょうね。時間はかかっても許される時を待つ、という情に厚い蛍原さんらしい土壌作りだと思います」(鈴木氏)

■お笑いコンビの不祥事が注目されるようになった理由

 そもそも人を笑わす商売である芸人の不祥事が、社会で大きく扱われる関心事となり、相方にまで対応が求められるようになったのは、なぜなのか。

 ラリー遠田氏は「芸人がタレントとして見られるようになったことが原因ではないか」と指摘する。

「一昔前まで社会的なテーマに芸人は口を出さない、というのが暗黙の了解でした。明石家さんまさん(64)は、今でもそのポリシーを貫いていますよね。情報番組にも出ないし、政治的な自分のスタンスを表すこともない。情報番組に芸人が出て、政治や社会問題にコメントを求められるようになった頃から、『人を笑わす』ということ以上の責任を求められてしまったのでは」(ラリー遠田氏)

 鈴木氏は、謝罪や相方の対応が注目されるのは、コンビ芸人の関係性の変化が影響しているとみる。

「10年ほど前までは、コンビ芸人といえばドライな関係で、不仲を思わせるくらいのほうが魅力的だという考えが根強く残っていました。その象徴が今もテレビで引っ張りだこのダウンタウンのお2人。実際に以前、不仲な時期が10年ほどあったと自ら明かしています。

 でも今の時代は、不景気の長期化、豪雨や震災、コロナ禍など暗いニュースばかりで、見る側に気持ちの余裕がなくなっている。その影響もあり、コンビ芸人は『仲が良くて、見ていて癒されるような存在』として求められるようになった。結果的に、早くからその枠を担っていたのが、おぎやはぎです。彼らに人気が出てから、『仲良しコンビの方が売れる』と他の芸人たちが軌道修正し始めた部分もある。ここ最近で人気になった“お笑い第7世代”と呼ばれるEXITなどを見ても、本当に仲の良さがにじみ出てますよね。今や“仲の良さ”は、活動するうえで欠かせない要素と言えます。

 芸人が不祥事を起こすこと自体は昔からありましたが、今は誠意を示しつつ復帰できるまでを考えるコンビがほとんどだと思います。『相方を見限っていないよ』『待ってるよ』というメッセージを出すのは、残された芸人のためであり、なによりもファンのためでもある。だからこそ、相方をフォローしたり、代わりに謝罪することが主流になっていったのでしょう」(鈴木氏)

 しばらくは、芸人のトラブルが起きる度に「相方力」が試されることになりそうだ。

(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))

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