サヨナラ勝ちの直後も特守……“首位”ロッテの雰囲気が最高の理由

サヨナラ勝ちの直後も特守……“首位”ロッテの雰囲気が最高の理由

©千葉ロッテマリーンズ

 サヨナラ勝利の余韻残るグラウンドに選手たちが姿を現した。井口資仁監督やコーチ陣もノックバット片手に姿を見せ、フライキャッチの練習が始まった。6月23日のオリックス・バファローズ戦(ZOZOマリンスタジアム)。サヨナラ負けではなくサヨナラ勝ちである。試合終了から20分程度。気が付けば本格的な守備練習が始まっていた。

■今年のマリーンズは“雰囲気”が違う

「ミスをしたから練習をするのではなく、ミスをしないように練習をする。それが本来のあるべき練習の形。福田光輝(内野手)、和田康士朗(外野手)もナイターはあまり経験していないという事だったから、じゃあ試合後に少しやるかあと試合前から決めていた」

 鳥越ヘッドコーチは練習の意図を説明した。ルーキーの福田光輝内野手と育成から6月1日に支配下登録され初の一軍となる和田康士朗外野手がナイター照明の中でのフライを獲る練習のために試合前の時点からゲーム後に行う事が決まっていた。だから劇的なサヨナラ勝ちであろうとも、たとえ負けていても行っていたものではある。

 ただ、今年のマリーンズが違うと感じたのはその雰囲気だ。やらされての練習ではなく積極的に行う姿勢が見えた。そして若手だけではなく、この試合、6番セカンドでスタメン出場し、レフトスタンドのロッテアイスのクーリッシュのバナーに直撃する本塁打を放った中村奨吾内野手も9番ショートでスタメン出場した藤岡裕大内野手も参加をしたことだった。勝利の余韻に浸ることなく、表情は真剣そのもの。しっかりと準備を行い、来るべき時に備えたいという強い気持ち、充実した想いがグラウンドに充満していた。

「中村奨吾が来たのにはビックリしたね。ああいう雰囲気はいい。いい雰囲気がある。雰囲気作りは大事。オレらも勉強させられるよ」

 率先して異例の試合後特守に参加をした主力選手の姿勢に普段は鬼軍曹として知られる鳥越ヘッドコーチも頬を緩め、頼もしそうに見つめた。

■「次は風が強い日に練習をしないといけない」

 時間にして30分程度であろうか。試合後の特守は終わった。真剣な表情をしていた選手たちに笑顔が戻った。1点ビハインドの9回に粘ってサヨナラ勝ちを掴んだ充実感がようやく漂った。そして次なる戦いに向けて準備を終えた達成感も感じられた。

「今日は風が1メートルか2メートル。弱い風の日の練習になった。次は風が強い日にしっかりとフライの練習をしないといけないね。風が強い日があったら、またやるよ」

 風速計を見つめながら鳥越コーチは口にした。ドームが主流のパ・リーグにおいて野外のZOZOマリンスタジアムを本拠地に置く千葉ロッテマリーンズはこの球場の特性をしっかりと知っておく必要がある。風の流れ、特徴をしっかりと把握すれば大きなホームアドバンテージとなる。昨年はビジターでは32勝38敗2分けも、ホームでは37勝32敗2分け。チーム防御率はホームで3.61。ビジターだと4.20。分はあるがまだまだ伸ばせる余地はある。昨年、リーグ優勝の埼玉西武ライオンズがホームで43勝29敗、2位から日本一に上り詰めた福岡ソフトバンクホークスが42勝27敗3分け。いかにホームで絶対的優位に試合を進めることが優勝への近道であるかが良く分かる。

 まだシーズンは始まったばかりだが、千葉ロッテマリーンズは順調に歩を進めている。開幕カードで昨年の日本一チームを敵地PayPayドームで2勝1敗と撃破。その後、勝ち星を伸ばしている。6月25日には2016年4月17日以来、1530日ぶりとなる単独首位に立った。チーム内に流れる雰囲気も最高だ。あとはホームアドバンテージをしっかりと確保し、地道に前に進みたい。その先に1974年以来となる年間1位でのリーグ優勝が待っている。

梶原紀章(千葉ロッテマリーンズ広報)

◆ ◆ ◆

※「文春野球コラム ペナントレース2020」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイト https://bunshun.jp/articles/38520 でHITボタンを押してください。

(梶原 紀章)

関連記事(外部サイト)