ジャニーズと櫻井和寿の初コラボ! Twenty★Twentyの『smile』に漂う物悲しさ――近田春夫の考えるヒット

ジャニーズと櫻井和寿の初コラボ! Twenty★Twentyの『smile』に漂う物悲しさ――近田春夫の考えるヒット

絵=安斎 肇

『smile』(Twenty★Twenty)/『Dynamite』(BTS)

 先週も触れたが、今般に於いては、音楽家が作品を通じ、斯かる状況についてメッセージなり主張なり、何か思うところをアピールしようというのも、なかなか難儀な感じだ。

 そんななか、さすがはジャニーズ事務所である。ぬかりはない。いち早く、コロナ感染拡大防止への支援を表明すべく、“Smile Up! Project”を立ち上げ、その一環として、チャリティーソング『smile』を、Twenty★Twenty名義にて発売中! なのである。

 一方の韓国勢だが、そういった“社会貢献的”な姿勢はみられないものの、「みんなが疲れているこの時期に力になればと思ったことから出発した曲」といったコメントを添え、筆頭的存在ともいえるBTSが『Dynamite』をリリースしてきた。

 二曲から受ける印象は、まさに対照的だった。

 大袈裟にいえば、日韓の比較文化論という話にもなろうが、そこはそれ学者でもなんでもない私だ。ごくカジュアルな感想ぐらいしか持ちようもないが、こと商業音楽に関しては、目指す彼方にあるものの違いが一層鮮明になってきていることだけは、誰の耳にも! 間違いないだろう。

 さて『smile』だが、色々大変なことがあっても気持ちを切り替えて、笑顔で前に進もうよ! みたいな内容……と書くと、明るい歌を想像されるかも知れないが、そうは問屋がおろさない。サウンドも歌詞も相当にしみじみしていたのである。

 例えば冒頭。

 昨晩の暴風雨でゴミが駅前の通りに散乱している、といった描写に続いて、

 ♪でも午後には/片付くだろう/またいつもと同じようにさ

 とある。俺にはこの“同じようにさ”といういい回しに、どこか観念したような表情が思い浮かんできてしまい、そこが妙に物悲しかったりもしたのだが、どうだろうか?

 まぁ、そのあたりの捉え方はそれぞれなので、そうは思わない人もいると思うが、それはともかく、この主人公、

 ♪泣いてたことなんか/忘れるくらいの

“smile”でもって、

 ♪明日の今頃は/陽気な歌でも歌っていようよ

 というのである。そう一方的に、気分転換を強要されても、激しく落ち込んでいる身としては、却ってうるさい、余計なお世話となる場合も結構多い筈である。少なくとも、俺は確実に“ほっといてくれよ! 派”なのである。

 要するに、この歌詞の持つ一種“観念的独善性”が鼻についたという訳なのだが、それにしても、作詞をした櫻井和寿のいう“陽気な歌”には、何か具体的なイメージはあるのだろうか? ミスチルならば、どの曲が該当するのか、どなたか教えて下さいませ!

 BTS。

 さて皆様。陽気になりたいのなら断然『Dynamite』がオススメです。ジャニーズだと、SMAPの『ダイナマイト』とか歌うのも、陽気になれていいんじゃない(笑)かな?

ちかだはるお/1951年東京都生まれ。ミュージシャン。現在、バンド「活躍中」や、DJのOMBとのユニット「LUNASUN」で活動中。近著に『考えるヒット テーマはジャニーズ』(スモール出版)。近作にソロアルバム『超冗談だから』、ベストアルバム『近田春夫ベスト〜世界で一番いけない男』(ともにビクター)がある。

(近田 春夫/週刊文春 2020年9月17日号)

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