ホロコーストから逃れた少年に待ち受けていたあまりに過酷な運命 「異端の鳥」を採点!

ホロコーストから逃れた少年に待ち受けていたあまりに過酷な運命 「異端の鳥」を採点!

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■〈あらすじ〉

東欧のとある国。ホロコーストから逃れて田舎に疎開した少年(ペトル・コトラール)は、両親との再会を待ちわびていた。この地域の人々は、自分たちと髪・肌・瞳の色が異なる少年を、異質な存在として疎ましがっていた。預かり先の老婆が病死した上に火事で家が焼失したために、少年は村から追放されてしまう。行く先々で、粉屋のミレル(ウド・キアー)、鳥売りのレッフ、司祭(ハーヴェイ・カイテル)らに拾われるが、そのたびに人間の悪意や醜悪さに対峙し、酷い仕打ちを受け、少年はいつしか口が利けなくなってしまう。

■〈解説〉

ポーランドの作家イェジー・コシンスキの小説「ペインテッド・バード」を、チェコのヴァーツラフ・マルホウル監督が11年の歳月をかけて映画化。過酷な環境下を独りで生き抜こうともがく少年の姿を描く。第76回ヴェネツィア国際映画祭ユニセフ賞受賞。169分。

中野翠(コラムニスト)

★★★★☆ディープなヨーロッパ。孤独な少年の地獄めぐり。人間の強欲と悪意。馬や鳥の愛らしさ。モノクロ画面ならではの美感。

芝山幹郎(翻訳家)

★★★★☆原作に誇張があろうとも人類の醜悪を歴史の屑籠に放り込ませまいとする執念の映像が眼に残る。村人の陰険が凄まじい。

斎藤綾子(作家)

★★★★☆残酷なのに美しい。名優たちの表情には無惨な人生を窺わせる皺が。少年の憎しみで凍る眼差しが解けた瞬間つい落涙。

森直人(映画評論家)

★★★★★詩的にして容赦なし。ぐつぐつ煮えたぎる宿業と残酷のシチュー。有名俳優陣も無名性の肉体として己を差し出している。

洞口依子(女優)

★★★★★この非情なる没入感。川の流れ。眼差し。唇の襞。銃。ハーヴェイ・カイテルの司祭。白黒35ミリ映画体験をぜひ劇場で!

『異端の鳥』(チェコ、スロヴァキア、ウクライナ)
10月9日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国公開
http://www.transformer.co.jp/m/itannotori/

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年10月15日号)

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