「テレビの人がYouTuberにマウントを取ってしゃべるのが、すごく気持ち悪かった」 ロンブー淳が語る“テレビへの違和感”とは

「テレビの人がYouTuberにマウントを取ってしゃべるのが、すごく気持ち悪かった」 ロンブー淳が語る“テレビへの違和感”とは

©MBS

 地上波、YouTube、Netflix他、数えきれないプラットフォームが日々コンテンツを発信している今、見るべきものは何か。タレント、ロンドンブーツ1号2号の田村淳が、時代を席巻するクリエイター達から、面白いコンテンツを聞くテレビ番組「 田村淳のコンテンツHolic 」より、その一部を紹介する。

 ゲストは、映画界の若き異端児、映画監督・小林勇貴。2015年の自主映画「孤高の遠吠」では本物の不良を起用し、2017年、間宮祥太朗主演の「全員死刑」で商業映画デビューした、映画界の異端児だ。

■小林監督おすすめコンテンツその1.映画『実録・私設銀座警察』

小林 最初にオススメするのは、「実録・私設銀座警察」という映画です。

淳 私設銀座警察!?

小林 1970年代の東映が作り出した、暴力映画の最高峰ですよ。

淳 フフフ、銀座を守ろうとしてる人たちの話ですか? 

小林 邪悪な集団です。

淳 俺ね、バイオレンス映画がちょっと怖いと思っちゃうんですよね。

 導入部分で誰かが刺されるんでしょ? とか誰かが殴られるんでしょ? とか。

小林 これは「自分が撮って初めて分かった、今では撮れないバイオレンス映画の最高峰」です。渡瀬(恒彦)さん演じるキャラクターが、私設銀座警察の中の殺人マシーンの役なんですよ。撃たれたり、刺されたり、しこたまヤラれるんですけれども起き上がってくるんです。全然死なないんです。

淳 うん。

小林「あっこれだ!」と思って。キャラクターが死んでしまうと、死の方に意識がいっちゃう。そうすると、暴力そのものには辿り着き辛いんです。

淳 死んで悲しいとか、そういう方に意識が行っちゃうからですね。

小林 そうですね。70年代の東映っていろんな監督が暴力映画作ってて、その当時の作家さんたちには戦争体験もあって、暴力に対する当事者意識が強かったんだと思うんです。さらに輪をかけて東映っていう血気盛んな会社の中で、「アイツはこういうすごいの作ってるらしい」と切磋琢磨して、そういったものすべてが合わさって、不死身のキャラクターっていう発明品が出来た。いろんな運命を感じるんですよね。

淳 なかなか死なないって設定でも、「いやいや、もう死んどるやろ」って気持ちが離れる瞬間もあると思うんですけど。

小林 渡瀬さん演じる渡会は、不思議な説得力を持ってるんです。彼は持病があって、襲撃の最中に吐血してしまったり、そもそも死にかけの状態で行動してるんです。常に死と隣接してる人だから全然死ななくても、なんか自然なんです。

淳 なるほどね。

淳 ゾンビみたいになってますね。

小林 もう暴力の化身ですね。

淳 俺たちの身近にもそういう風が吹いてるのかもっていう、そういう恐怖心が感じられましたね。

小林 素敵ですね。

淳 素敵ですか。アッハッハッ(笑)。

小林 自分も渡会っていうキャラクターに触発されて、自主映画で「逆徒」っていう映画を撮りまして。不良のリンチで殺されてしまった男の子が生き返ってきて、そこから不良の抗争の不安を煽る装置みたいに漂うんです。こっちのグループに現れては暴力行為を働いて、また風のように飛んであっちのグループで人を刺したりして去っていく。

■なぜバイオレンス映画に惹かれるのか?

淳 そもそも監督がバイオレンス映画に惹かれてるのってどうしてですか?

小林 本物の不良の子たちに出演してもらって映画を撮ってたんですけれども、そのとき、不良の子たちにインタビューをして脚本を書いたんです。最初は武勇伝を聞かされると思ってたんですが、全く逆で、不良構造の上の人たちから圧力を受けるっていう話が多かったんです。

淳 虐げられてるみたいな? 

小林 そうなんです。それを聞いたときに、学校でも会社でも関係性が持つ暴力性そのものに似てるなと。人と人との関係にどうしても生じてしまう「どっちが上か?」みたいな、薄暗いものにすごく気が行くんです。

淳 そういうことか。

小林 不良の子たちに演技とかを付けると、ヒエラルキーが高い子ほど演技が上手くて。

淳 はいはい。

小林 ふだんから、下の不良の子たちには俺のことを舐めるなよっていう芝居をしてるし、上の人たちにはあんまりイジめると俺だって黙っちゃないんですよって見せている。不良の中で生き抜くバランスを取るための芝居を常に打ってるんですね。その芝居に失敗するとヒエラルキーから転落してしまうから。

淳 すごい分析! 良く気づきましたね。

小林 あっ、やっぱり意地悪なんで。勘ぐって見るのが好きで。

■小林監督おすすめコンテンツその2.『犬鳴村』の宣伝動画

小林 続いてのオススメがですね、映画「犬鳴村」の宣伝動画、「犬鳴村」〜恐怖回避ばーじょん〜です

淳 宣伝動画ですか? 

※「呪怨」の清水崇監督のホラー映画「犬鳴村」 今年2月の公開に合わせて公式ホームページに冒頭8分の予告動画が公開されたが、同時にホラーが苦手な人にも観てもらうために誕生したのが「恐怖回避ばーじょん」だ。

小林 どう回避してるかって言いますと、怖そうなシーンで可愛い感じで加工されたり、ワンちゃんが「わーん」とか言って通り過ぎてったりするんです。

淳 アハハハハ。

淳 全然怖くない!

小林 これが話題になって、映画も1本丸々、恐怖回避バージョンを作りました。

淳 宣伝が振り切ったんですね。

小林 今、本当に映画は斜陽で、お客さんが減ってるんです。さらに、ホラーとかバイオレンスっていうジャンルは、さらに少ないんですよ。

 例えば、ヒットしたNetflixの「全裸監督」の宣伝方法は、どこの駅で降りても物を配ってる人がいたり、物量作戦だった。それが成功しちゃうと宣伝部の人も、せっかく工夫しても結局物量かって思ったり(笑)。

淳 うん。

小林 まあそれが悪いわけじゃないですよ。お金があったらその作戦で行くのは当然ですし。でも、お金がない中で、「怖い映画だけど怖くなくしてみよう!」って試行錯誤した。

淳 でもいろんなことを試すっていうこと自体僕は好きなんで、「犬鳴村」に逆に興味が出てきましたね。

■その3.バラエティ番組『テレビが織りなす超人カメラワーク』

小林 続いて紹介したいのがテレビのバラエティ番組です。「映画人は見て学べ! テレビが織りなす超人カメラワーク」です。

淳 テレビのカメラワーク?

小林 圧巻です、テレビのカメラワーク。

淳 えー?

小林 映画にとってそれは今まさに必要だなと思ってて。例えば、面白いことを言ったときにカメラがズームで寄って、そのあとズームで引いて、映ってない範囲でまた面白い事が起きてると、すかさずそっちにカメラを振って間に合いますよね?

淳 うん。

小林 なんとしてでもここから面白いものをゲットしようっていう、ハンティングのようなワークにすごく心打たれるんですね。

淳 うわーなるほど。分かります言ってること。僕、狩野英孝に映画監督のオファーが来るっていうドッキリをやったことがあるんですよ。

小林 はいはい。

淳 で、映画のカメラマンさんに、バラエティ番組っぽくカメラを振ってくれっていうオファーをしたんですけど、なかなかその指示が伝わんなかったんです。

小林 あー。

淳 「淳さんの指示がよくわかんないんですけど」と言われて、「いいんです、僕が言う通りもうピントが来てようが来てまいが」って答えたり。映画だと、カメラがコメントを求めるみたいな寄り方って、なかなかしないじゃないですか。

小林 テレビの人達は、決定的な瞬間をちゃんと撮ろうとしてると思うんですね。でも映画って段取りをしてテストをして決定した瞬間しか撮れないから、決定的な瞬間は撮り逃してしまう。

淳 なるほどー。

小林 悔しいんですよ。その中で、最近特にすごいなーって感動したテレビ番組があって。それが「相席食堂」なんです。どんな空気が漂ってるかって分析して、それに対して最適なタイミングで、カメラが寄ったり引いたりしているんです。

淳 あー、なるほどね。

小林 空気感を伝えるために一回(カメラを)振ってあのおじさんを(画角に)入れて、寄って、それでまた虚無を伝えるためにまたカメラを引いて。これ、バイオレンスにも使えるなと。

淳 えっ!?

小林 暴走して誰にも止められなくて、同じことを繰り返して、それに取り残されてる人が画面の隅にいる。これはもう暴力の構図ですよね。

淳 なるほどね。

小林 しかも「いい波乗ってんね〜」とか、「鎌だけにー?」とか、山内さんがよく分からないことをずっと言ってんのも超怖くて。

淳 暴力ですね。理解できないから。

小林 暴力です。理解できなくてどんどん置いてかれて、どんどん先に進んでっちゃう。大好きなんですよね。

淳 でも、それが可能なのって、ワンカメショーができるカメラマンさんだけなんですよ。ロケカメラ1台だけ担いでって、全部の状況を伝えるっていうのに特化したカメラマンがいるんで。

小林 すげー!?

淳 「めちゃイケ」の辻さんっていう人がたぶん最高峰だと思います。ただカメラ論を相当持ってるんで、なかなか譲らないと思いますけどね。 

小林 ワンカメショーっていうんですね。覚えます! すげー! それは培われるんですか? 伝書の巻物みたいな物が存在するんですか?

淳 いや、制作会社に入ってカメラ担げば、そういうことが出来るようになっていくって僕は思っちゃってる。だから、それを深掘ってくれる人がいたら、みんなもう嬉しくなって喋ると思いますよ。

小林 えー知りたいですねー! 昔の映画業界の本とか読んでると、映画のことを本編と呼んだりとかして、テレビと自分たちのことを切り離して、ちょっと上段から物を捉えていて。それがまだ映画界に残ってる気がしてるんです。そんなことよりも、面白い物に対して貪欲な人たちと交流をして、なぜあんなことが出来るのかっていうことをちゃんとやり取りをすれば、なんか良い方法が必ずある気がしてて。

■テレビの人がYouTuberに対してマウントを取ってしゃべってる

淳 それはこの「コンテンツHolic」で議論するのにとても良い議題だなと思いました。コンテンツの歴史って、ラジオがあって映画があって、でテレビになって、今YouTubeとかネット配信の方に行ってる。テレビの人が一時期YouTuberに対してすごく上からマウントを取ってしゃべってるのが、俺、すごく気持ちが悪かったんですよ。

小林 はいはい。

淳 確かにテレビの常識から言うとあり得ない編集なのかもしれないけど、YouTuberが、「ジャンプカットを編み出して、より早く面白い所に到達する」っていう圧倒的に面白い技術を生み出してるんだから教わればいいのにって思ってたんですよ。ようやく教わり始めたのがこの「コンテンツHolic」ですから、もう平気でジャンプカットしてってます。

小林 TikTokの人たちもどれだけ画面が荒れようと寄りにしちゃうとか、もうえげつなさがすごいですよね。面白くあろうとすることに紳士的だと思います。

淳 そうですね。こんな話が監督と出来て俺は嬉しいですよ!

小林 アハハやったー!

「 田村淳のコンテンツHolic 」は TVer 、 MBS動画イズム でも配信中

(田村 淳,小林 勇貴)

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