《写真多数》懐かしさが新しい! 純喫茶、商店街、酒場、ストリップ劇場…日本各地の哀愁漂う「昭和遺産」10選

《写真多数》懐かしさが新しい! 純喫茶、商店街、酒場、ストリップ劇場…日本各地の哀愁漂う「昭和遺産」10選

©平山 雄

 店主のこだわりが詰まった純喫茶、個人商店が立ち並ぶ商店街、常連同士の会話で活気あふれる大衆酒場、猥雑な魅力たっぷりなストリップ劇場……令和を迎えて数年が経ついま、かつて当たり前のように見られた風景は徐々に失われつつある。

 そんな「昭和遺産」スポットを訪れては精力的な情報発信を続けること10年弱。800万ビューの人気ブログ『昭和スポット巡り』を運営する平山雄氏が『 昭和遺産へ、巡礼1703景 』を出版した。同書で紹介される「昭和遺産」は108ヵ所にものぼる。ここではその中からさらに厳選した哀愁たっぷりの「昭和遺産」10スポットを紹介する。

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■うろこ状の「下見板張り」の朽ち方が美しい/第一食堂(青森県・三沢市)

 これほどまでに味のある外観の食堂は、全国を探してもなかなかないでしょう。古さはもとより、とにかく全体の作りが小さいことに驚かされます。平均的な身長の大人なら、少しかがまないと入れないほど。

 ざるそばを注文しましたが、予想以上に量が多くてびっくりしました。そばはツルツル、海苔もたっぷり、つゆも出汁がきいていて、好みの味でした。また食べに行きたい!

 暖簾がしまわれているので休業と思いながら、ダメ元で戸を叩いてみると、お店のおばさんが出てきてくれました。どうやら、これからお店を開けるところだったようです。

 テーブルには「ブルドック」のウスターソース、「S&B」の一味唐辛子、「味の素」などの市販品の調味料がいろいろ置かれていて、庶民感テイストも濃いめです。落ち着く店内だなー。

■参道の土産屋や食事処は完全に昭和のままで/高崎観音山丘陵(群馬県・高崎市)

 昭和11年建立の高崎白衣大観音。高さは41.8mもあり、特撮映画さながらの迫力です! 山頂にある大観音へ続く参道には、昔ながらの土産屋や食事処が軒を連ね、買い物や食事も楽しめます。

 参拝したあと、参道にある食事処に入り、見晴らしのよい座敷で親子丼を頂きました。猫の置き物は、土産屋で救出したもので、とても気に入っています。

 参道の上のほうにある「観音みやげ」は、昭和の面影があるというレベルではなく、完全に当時のままです。手書きのトタン看板やテントが、朱色で揃っているのもカワイイ。

 店頭で味噌おでんが売られていると、つい衝動買いしてしまいます。大観音を眺めながら頂きました。高崎観音山丘陵には、石仏が39体も祀られている「洞窟観音」もあります。

■都心にて戦前の面影に浸り甘酒を/靖国神社 外苑休憩所(東京都・千代田区)

 昔ながらの売店とピンク色の公衆電話。これが東京のど真ん中とは、信じがたい光景です。しかも、国民なら誰もが知っている靖国神社の外苑というのが、さらに驚きです。休憩所内は、大勢の参拝客で賑わっていました。

 この休憩所が建てられたのは昭和10年。施設内には丼物やお好み焼きなどのお店が並び、現在でいうところのフードコートのようになっています。

 電話・電報の看板も、かなりの年代物のようです。電報って、こんなに昔からあったんだなぁ。戦前の面影を色濃く残した建物で、甘酒を頂きました。

■いったいなんのためにお店を開けているのか!?/時間が止まった電気店(新潟県・所在地非公開)

 何気なく店内を覗いてみると、70年代に流行った家具調テレビやステレオ等が、ところ狭しと並んでいます。しかし、どの商品も値札が付いていなかったので、お店のおばさんに値段を聞いてみました。

「これ、いくらですか?」「もう古いわよ、コレ」見ればわかります(笑)。そして、もう1度聞きました。「いくらですか?」「自家用だから売れない」「え……」。

 うわーっ! ショーケースの中に、カワイイ猫ちゃんの置き時計が2つもあります! 「この猫ちゃんはいくらですか?」「んー、それも売れないわ」「え……」(汗)。

「この時計も売れないですか?」「売れない」「え……」(大汗)、「もしかして、全部売れないんですか?」「売れないわね」もはや、なんのためにお店を開けているのか謎です(笑)。

■強調されたアールとコウモリ型の塀/ドライブイン 軽井沢(長野県・北佐久郡)

 カワイイ建物だなー。これほどアールが強調された建物は、めったにありません。傾斜があるコウモリ型の塀も、存在感があります。廃墟になっていますが、いつ頃まで現役だったのかなぁ。竣工は昭和40年代と思われます。

 屋根に掲げられた角張った字体も当時の雰囲気を感じます。フロアは、1階が土産売り場と売店で、2階がレストランといったところでしょうか。

 このような秀逸なデザインの鉄筋コンクリートの建物は、もう建てられることはないでしょうね。いつか、素敵な形で現役復帰してくれることを夢見ています。

■♪伊東に行くなら……この連絡通路!/ハトヤ ホテル(静岡県・伊東市)

 近未来的な連絡通路が素敵過ぎる! まるで宇宙船の内部のようにラウンドした壁。連続した目のような形の窓。そして、側面にまで張られた斜めストライプの絨毯が、異空間的な視覚効果を生んでいます。

 連絡通路を外側から見ると葉巻型UFOのようで、窓の境にある雨樋が、アンテナのように見えてさえきます。

 連絡通路が完成したのは昭和45年。昔はテレビでハトヤのCMがよく流れていたので、記憶に残っている人も多いでしょう。

■クッションとパーテーションの六角形が粋/COFFEE サン(愛知県・名古屋市)

 六角形の茶色いクッションが一面に張られた壁、2段天井に向かって曲線を描く飾り柱、深緑色のおしゃれな椅子。完璧と言っていいほど洗練された内装デザインに包まれ、トーストとアイスコーヒーを頂きました。

 昭和39年開業。内装は当時からほとんど変わっていないそうです。木製のパーテーションも、クッションと同じ六角形。

 滑り台のようにカーブした赤系のテント、白い壁と窓の形、看板が付いたU字部分の色分け。すべての絡みが絶妙です。

■ネオンサインと提灯と電飾看板に魅せられて/銀座商店街(三重県・桑名市)

 全都道府県にあると言っても過言ではない、「銀座」と名の付く商店街。ここ、桑名駅前の片隅にもありました。カラフルに煌々と輝くネオンサインがとてもノスタルジックで、いつまでも眺めていたくなります。

 子供の頃に、どこかで見たような風景。歩いているだけで落ち着きます。どの建物も古そうですが、営業中のお店も多く、さびれた様子はありません。

 ゆるやかにカーブを描いた電飾看板と、黄色い提灯がキレイだなー。まるで夢のような空間です。ここを見つけた時は飲み屋街かと思いましたが、洋服店や眼鏡店など普通の商店もあるようです。

 いつか訪れてみたい昭和遺産は、全国に数えきれないほどあります。ですが、旅は目的地を決めずに、その時の気分やなりゆきで偶然に訪れたほうが、何倍も感動できるとあらためて感じました。

■ティッシュが頭上に!お品書きはエアコンに!/立ち呑み 酒一(和歌山県・和歌山市)

 店内はカウンターのみで、10人も入れば満員くらい。なので、頭上の鉄骨にティッシュが挟まっていたり、エアコンにまでお品書きが貼られていたりと、狭いスペースをこれでもかと活用しています。

 ウーロンハイを飲んで、旅の疲れを癒します。気まぐれで、ふだんはほとんど食べないししゃもを注文しましたが、卵がたくさん入っていて凄く美味しかったです。

 メニューは豊富で、どれも値段が安いのが嬉しいです。みなさん和気あいあいと楽しそうに呑んでいるので、この空間にいるだけでこっちまで楽しくなってきます。

 じつに味わい深い「立ち呑み いらっしゃいませ」の手描き看板。場所は、和歌山駅西口の目の前。外から店内が丸見えなので、初めての人でも入りやすいです。大きな赤提灯が目印。

■女性モチーフのオブジェはアートの域!/ヌードの殿堂 広島第一劇場(広島県・呉市)

 この建物を一度見てみたくて訪問。「第一劇場」と書かれた看板がちょっと不思議な形をしていますが、女性のシルエットにも見えるので、もともとはストリッパーが描かれていたのかな? と、勝手に想像がふくらみました。

 この女性の形のオブジェは、ため息が出るほど素晴らしい! アイデアといい、色合いといい、美術館に展示してもいいほどの作品だと思います。

 オレンジ色のガラスドアは喫茶店でもたまに見かけますが、両開きは貴重です。窓口もカワイイ。ですが、財布の都合で(!?)入店は見送りました(汗)。

(平山 雄)

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