なぜ、アメリカの若者はそんなにブリトーが好きなのか?

なぜ、アメリカの若者はそんなにブリトーが好きなのか?

@DIME アットダイム

 日本では店舗数が少なく、なかなかありつく機会がないメキシコ料理だが、その中でも比較的手軽なファストフードとして提供されているのがブリトーだ。アメリカでは多くのファンに愛されている根強い人気のブリトーだが、新バージョン開発の試みにも余念がない。先日はチーズ系スナックの“チートス”を入れた“チートス・ブリトー”がお目見えしている。

■日本でも少しずつ普及しているブリトー

 これまで日本ではあまり馴染みがなかったメキシコのファストフードであるタコスやブリトーだが、「タコベル」の日本再オープンで多少は耳にすることが増えたかもしれない。ブリトーと言えばセブンイレブンの隠れた長寿商品だという声もあるが、本格派(!?)に言わせれば同商品は日本向けにかなりアレンジされたブリトーであり、本物とは似て非なるものであるという指摘もある。

 昨年4月の日本再上陸から、今では都内に4店舗を構えるまでに支持を集めているタコベルだが、本場アメリカのオハイオ州シンシナティの店舗では、定番のチーズスナック菓子のチートスを具材にした“チートス・ブリトー”を開発して試験販売している。


「NBC News」より

 独特な触感で人気の定番スナックであるチートスを主役に、牛ひき肉、ライス、チーズを小麦粉のトルティーヤで包んだこのチーズ・ブリトーはなんと1ドル(約100円)で提供されているというからその価格にも驚きだ。

 ここのところ、どういうわけか具材にチートスを使ったファストフードメニューが相次いで登場していて、実は今年3月にはカナダのタコベルではチートスを使ったブリトー「チートス・クランチラップ・スパイダー」を2.99ドルで期間限定販売している。また、バーガーキングではチートスをモチーフにしたマカロニとチーズに衣を着けて揚げたフライ「Mac n' Cheetos」をメニューに加えている。

 ともあれいったいどんな触感と味を楽しめるのか、ファストフード好きでなくとも気になるこの“チートス・ブリトー”だが、注意すべきはできたてをすぐに食べなければならないことだ。つまり時間の経過とともに、中のチートスにソースが染みてきてしまうので、サクサクの触感を味わうためには出来たてをなるべくならその場ですぐに食べることが推奨されているのだ。テイクアウトは愚の骨頂というべきだろう。

 ちなみにブリトーとタコスの違いについては諸説あるのだが、その“皮”であるトルティーヤの素材にあるという説が有力のようだ。ブリトーの“皮”は小麦粉であるのに対し、タコスのトルティーヤはトウモロコシ粉なのである。いずれにしてもできたてをすぐに頂いてしまうのが正解ということらしい。また一般にタコスのほうはあのカリッと乾いたパリパリのトルティーヤ(ハードシェル)の印象が強いようだ(本場メキシコでは必ずしもメジャーではないということだが)。ジワジワと日本にも浸透しつつあるブリトーとタコスだが、今後どのような新商品が登場してくるのかにも注目だ。

■アメリカの若者はセックスよりブリトーが好き!?

 ファストフードの利点は言うまでもなく短時間でサッと食べられることにあるだろう。もちろんハンバーガーも定番のファストフードだが、本格的なハンバーガーはバンズの部分のボリュームもそれなりにあるので、食事には相応の時間がかかってくる。その点、“皮”が薄いブリトーは歩きながらでも食べられるくらいコンパクトにまとまっていながらもしっかりと食べごたえがあり、利便性の高いファストフードとも言えるだろう。

 アメリカの若者にもブリトーは人気で、最近の調査によれば、アメリカ人の18歳から24歳の若者は、平均週に2、3回、ブリトーを食べているということだ。その好き具合がどれほどのものかといえば「セックスよりブリトーが好き」なのだという。いったいどういうことなのか?


「Elite Daily」より

 アメリカのファストフードチェーン「Moe's Southwest Grill」がアメリカ人1000人(13歳〜50歳)を対象に行なった調査によれば、18歳から24歳の若者の72%が週に2〜3回、ブリトーを食べているということだ。そしてこのうちの4分の3の若者が、もしカロリーやボディラインを気にしなくていいのなら、毎日でもブリトーを食べたいと思っているという。若年世代の驚くべきブリトー好きが明らかになったのだ。

 いわゆる“ミレニアル世代”と呼ばれる1980年代(特に1990年代中盤以降)から2000年代初頭に生まれた若者たちに顕著に見られるこのブリトー好きが、何に起因するものなのかはよくわかっていないのだが、世代の特徴として興味深い。ちなみに週に3回ブリトーを食べるとすれば、月に12回、年に144回もブリトーを食べていることになる。

 そしてもうひとつ、この“ミレニアル世代”のセックスライフを調査した研究が報告されている。研究によれば、20歳から24歳の若者の15%は18歳以降に性的なパートナーがいない(つまりたいていの場合は童貞、処女)ということで、前の世代から急激にセックスレス化が進んでいるということだ。ちなみに前の世代である1960年代から1970年代生まれの“ジェネレーションX世代”では、20〜24歳の童貞・処女率は6%であったということだ。

 ミレニアル世代は「デジタルネイティブ」世代ともいわれ、昨今のSNSユーザーのボリュームゾーンであるとも見なされている。つまりSNS上でのコミュケーションのほうが忙しく、リアルに対面する人間関係に割ける時間が少なくなっていることが浮き彫りになっているという。そして、外出するとすればセックスするよりもブリトーを食べることを選ぶということでもある。「セックスかブリトーか」という2択の状況において、ミレニアル世代は10回のうち9回ブリトーを選ぶということだ。

「デジタルネイティブ」にとっては、出会い系サイトなどでパートナーに発展する可能性のある異性と出会うことは比較的容易であるようにも思われるのだが、オンラインで出会いこそすれ、実際に会うケースは少ないということなのかもしれない。それとも実際に“肉欲”は文字通り肉食欲になってしまったのか……。

■タコタイムも期間限定ブリトーを続々投入

 昨年の再上陸前、タコベルは1980年代後半に東京と名古屋で出店していたのだが、残念ながら1990年代前半にいったん撤退することになった。時を同じくして、アメリカではタコベルと肩を並べるタコスチェーン「タコタイム(Taco Time)」も東京・渋谷などで出店していたのだが、こちらも共倒れ状態で日本からは事実上撤退している(個人オーナー店として存続していた時期もあったようであるが)。

 もちろんアメリカではタコベル、新興のChipotle(チュポレ)などと並んでまだまだタコタイムの人気は衰え知らずだ。そして新商品開発にも余念がなく期間限定のブリトーが続々登場している。


「シラチャーポーククリスプブリトー」

◎動画はコチラ

 8月31日から11月1日までの期間限定メニューとして登場したのが「シラチャーポーククリスプブリトー」だ。柔らかいロースの豚肉を、アメリカではすっかり定番となったシラチャーソースとクリームチーズであえて、クリスピーな小麦粉のトルティーヤに包んで味わう一品である。実験的メニューではあるが、アメリカ以上に日本ではまず味わえないブリトーだろう。

 この他にも今年のタコタイムは期間限定のメニューを次々に投入している。すでに提供は終わってしまったが、7月14日〜8月30日の間には「チキンヒカマブリトー」がリリースされ好評だったという。


「Chew Boom」より

 メキシコ原産のマメ科の根菜であるヒカマは低カロリーと抗酸化作用で昨今注目されている食材である。このヒカマとチキン、黒豆、ベビーほうれん草をサルサフレスカソースとポブラノソースで味付けしてソフトなトルティーヤで巻いたブリトーが「チキンヒカマブリトー」だ。

 さらに4月28日〜6月28日には揚げチーズとチキンを使った「チージィーチキンブリトー」を、3月2日〜4月26日にはシュリンプが主役のピリ辛な「ゴーストペッパーココナッツシュリンプブリトー」をそれぞれ提供して話題を集めている。さまざまな試みが行なわれ今なお進化を遂げている人気のファストフードであるブリトーの数々、日本ではなかなかありつけないメニューだけにアメリカへ行った際には外せないB級グルメだろう。

文/仲田しんじ

フリーライター。海外ニュースからゲーム情報、アダルトネタまで守備範囲は広い。つい放置しがちなツイッターは @nakata66shinji

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