アテネの空港で遭遇した"ありえない"出来事

アテネの空港で遭遇した"ありえない"出来事

@DIME アットダイム


(C)Hosang You

 直行便が増えた今でも、飛行機の乗り換え(トランジット)のため空港で待機させられることがままある。日本の高機能な空港施設に慣れた旅行客には驚愕な旅のトラブルに、旅の達人が巻き込まれた。

■3時間のトランジット。余裕のはずが一転…

 ギリシャ国籍機を選んだため、途中の経由地で降り立ったアテネ空港。エジプト旅行を終えて、ロンドンへ戻る途中に与えられたトランジットの待機時間は、3時間だった。


(C)Hosang You

 事前情報によればアテネ空港は、各国からの旅行客が選んだ『最悪の乗り換え空港1位』だった。到着してみればいかにも、飛行機の乗降用施設(ボーディング・ブリッジ)が足りなく、われわれ乗客は滑走路へ一度降りて、バスの移動をしなければならなかったし、田舎のバス待ち合い室を彷彿とさせる、とても古びた施設と雰囲気であった。

 何よりも、座る場所が絶望的に足りていないというのが、すぐさま実感できた。仕方なく、搭乗ゲートからだいぶ遠く離れた場所を、探し回るしかなかった。せめてもの救いは、機内で知り合ったおしゃべり好きのオーストラリア人のGさんと一緒だったので、退屈しなかったのを、幸いと思いながら。


(C)Hosang You

 待機して1時間ほどが過ぎただろうか。Gさんが、突然顔をあげ、「何か変だ…」とつぶやき、歩き始めた。何事か? と思いつつも、小走りで彼女に着いて行き、「どうしたの?」と聞いたところ、どうやら港内放送で何かを聞いたようだ、というではないか。ネイティブだからやはり何か違うんだろうな。

 しばらく走って搭乗ゲートが目に映った頃、無線機を手にした航空会社の職員が、イライラした表情で、「早く来なさい」と手振りをした。あたふたとしてボーディングパスを渡すと、「今までどこで何をしていたのか?」と、かなり神経質な反応を見せている。まだ2時間近く待ち時間は残っているのに、なぜこんなに怒るのか…。

 しかし、この状況でそんな事を問いただす暇もなく、飛行機に乗り遅れなかったのが何よりだとお互いを慰め合いながら飛行機に乗ろうとすると、あれ、乗るべき飛行機が見当たらなかった。「下の階だ」と聞いて降りてみたが、がらんとしたバス1台が目に入っただけ。急いで空港の人に確認してみると、ボーディング・ブリッジへ接続できなかったわれわれの飛行機は、滑走路にて待機中だったのだ。2人が乗った途端、バスは急いで出発した。あぁ、今日に限ってひときわ広く感じる滑走路!


(C)Hosang You

 タラップを駆け上がり機内に入ろうとした瞬間、客室乗務員が先を行くGさんに立ちはだかった。機長室で機長が呼んでいるとの事だった。通路が狭いため、Gさんが先頭に立ち、私が後ろから機長室を覗き込むと、なんと機長がGさんに怒鳴りつけたのだ。

 「あなた達のせいで遅れているだろうが!」 

 こんなあり得ない事が!! 機長が乗客に腹を立て怒鳴るなんて、本当に初めて見た。とにかく機長の怒りをGさんが前に立って受け止めてくれたと内心喜びながら、席へつくために振り向いた。

 しかし、客室に戻った瞬間、今度は満席の乗客から刺さる冷たい視線が、先頭に立つ私の顔に…。

Athens, Greece


Illustration (C)Hosang You

[旅の達人情報]

 この出来事の経緯は未だにミステリーである。しかし、ひとつ学んだ教訓は、飛行機を待つ時は、出来るだけ搭乗ゲートの近くで過ごすこと、そして空港のどこで何をしていても、常に空港放送に耳を傾ける習慣を持つ、という事だ。

 参考までに、問題の多かったアテネのヘレニコン(Hellenikon)空港は、2001年に閉鎖され、24時間開業する新空港がアテネ北東部に開港された。旅行者にとって、本当に良いニュースだと言わざるを得ない。

取材・文/劉昊相(YOU HOSANG)

韓国出身。見知らぬ場所や文化を楽しむ、生まれついての旅行家。イギリス在住時に様々なプロジェクトを経験、Panasonicなど多国的企業での海外業務経験を持ち、英語、日本語、韓国語に通じる。旅行 コミュニティー「Club Terranova」を運営。

関連記事(外部サイト)