連休の旅先はGoogle Mapで穴場を探してみよう

連休の旅先はGoogle Mapで穴場を探してみよう

@DIME アットダイム

「せっかくの連休だし、どこかへ遠くへ行きたいなあ……」

 漠然と考えてはいたのだが、日々の仕事に追われるうちに月日は流れ、気がついた時にはもう連休初日だった。数年前のGWにそんな失敗を犯したことがある。テレビのニュース映像では、成田空港から出国する人たちの晴れやかな笑顔や、東京駅の新幹線ホームの混雑ぶりを繰り返し流していた。世の中では一斉に大移動が始まっている事実を知り、出遅れた自分のノロマさを呪ったのを思い出す。

 連休の旅には周到な準備が求められる。どこも混雑するから、前もって計画を立てるのが定石ではある。それはわかってはいるのだけれど……。

◎地図で見つけた小さな離島へ

 今からでもどこかへ行けないか。悪あがきを始めたのは、悔しかったからだ。さすがに海外は厳しいが、国内ならば何とかなるかもしれないと一縷の望みに託し、僕が開いたのはGoogle Mapだった。地図を眺めながら、日本列島の隅々まで目を凝らす。行き先が定まっていない時によく使う手だ。

 すると、気になる地名を見つけた。山形県の沖合に小さな島がある。「飛島」というらしい。日本海側の離島といえば、佐渡島や隠岐ぐらいしかイメージがなかったから、こんなところに島があるのかと突如として興味が湧いてきた。地図上には酒田市と島をつなぐ航路線が延びている。定期船が出ているようで、電話して訊いてみると、何と船はまだ空いているという。

 旅は勢いが大事である。気持ちが盛り上がっているうちに、行動に移したほうがいい。急遽、山形行きを決めたのだった。

首都圏から電車で行く場合、新幹線で新潟へ出て特急いなほ号が最短。自動車なら東北道、関越道どちらでも。庄内空港への空路もある。

◎大型連休なのに誰もいない!?

 船には空席が目立ち、GWのまっただ中であることを忘れそうになった。来る途中で電話をかけ、島内の民宿の部屋も無事確保。この手の離島レベルになると、ネット予約には対応していない。行ってみると、ほかに宿泊客は誰もいなくて貸し切り状態だったから驚いた。まさに穴場と言えそうな旅先である。

 名前すら知らなかった島だが、いざ来てみると、のんびりとしており、過ごしやすいところだと感じた。島の面積はわずか2.75km2。徒歩でも見て回れそうだが、貸し自転車が設置されていたので、潮風を浴びながらゆるゆるとペダルを漕いだ。港には漁船が停泊しており、海草が干されている。釣りを目的として来ても楽しめそうだ。

 離島らしい自然の豊かさにも目をみはる。集落がある港付近とは反対側の海岸へ出ると、ここが日本とは思えないほどのダイナミックな景観が広がった。波の音に耳を澄ませ、海に沈む夕陽を静かに鑑賞する。何より、観光客がほかにいないのがいい。絶景を独り占めというゼイタク。オンシーズンの喧噪とは無縁だ。

 砂浜では中国語やロシア語のロゴが入った漂着物も見かけた。そうか、海の向こうは外国なのだなあと腑に落ちる。日本の辺境にはるばるやってきた達成感。これも地図から発案した旅らしい展開と言えるかもしれない。

[飛島]

日本海の気軽な船旅
飛島と酒田市を結ぶ定期船「とびしま」の所要時間は片道75分。便数は時期によって変わる。

信号機もない小さな島
島内は平和そのものといった雰囲気。人口は約230人だが、猫もちらほら見かけた。ウミネコの繁殖地としても知られているという。

連休ぐらいスローペースで非日常気分に浸りたい
メジャーな観光名所こそないものの、島には美しい自然があふれていて退屈はしない。海を眺めつつ、マッタリ過ごすのもいいものだ。

◎ついでに寄りたいクラゲ水族館

 飛島への定期船が出ている酒田市と、すぐ隣の鶴岡市も素通りするには惜しい旅先だ。山形県の中でも新潟寄りのこのエリアは、首都圏からはアクセスが不便ながら、そのせいかやはり穴場感が漂う。

 中でも特にオススメなのが「加茂水族館」だ。地方都市ならではの小さな水族館だが、個性的な展示内容で話題を集めている。目玉はずばりクラゲである。その展示種類数は、世界一を誇るという。そう、「クラゲ水族館」なのだ。

 クラゲには、ほかの水棲生物とは違った怪しげな魅力がある。水の中をゆらゆらと浮遊するさまはまるで芸術作品のようで、ウットリ見惚れてしまう。水槽へのライトアップなど、見せ方にも工夫が凝らされているので、長時間見ていても飽きない。

 ここはかつては客足が伸びず、閉館寸前まで追い詰められた水族館だった。ところがクラゲの展示に力を入れ始めたことで、奇跡の復活を遂げる。2014年にはリニューアルオープンしたばかりで、今最も注目度の高い水族館のひとつだ。

 飛島へはGoogle Mapを見ただけで行くことを決めたから、予備知識はゼロだった。でも、だからこそおもしろそうな予感もあった。いざ行ってみると、その予感は的中したし、島そのものに加えて道中のスポットへの興味も派生的に募っていった。

 想像すらつかない見知らぬ土地へ思いつきだけで行ってみる。大型連休で時間があるのなら、たまにはそういう突拍子のない旅もいいだろう。少なくとも、直前だからといってあきらめるのはもったいない。

●ゆらゆらと漂う不思議生物。いつまでも見ていたくなる!

■加茂水族館

ギネスにも認定された世界一のクラゲ水族館。直径5mの大水槽に、約2000匹のミズクラゲが浮遊する「クラゲドリームシアター」は圧巻。

住所:山形県鶴岡市今泉字大久保657-1
電話:0235・33・3036
営業時間:9:00〜17:00
休日:年中無休
入館料:大人1000円/小中学生500円/幼児無料。

クラゲの展示種類数は世界一
通称「クラネタリウム」では、50種類以上ものクラゲが展示されている。クラゲと一緒に記念撮影が行なえるコーナーや、飼育員による給餌解説ショーなど独自のアイデアが光る。

 

絶品フレンチからラーメンまで
庄内地方にはフレンチやイタリアンといった洋食系の名店が多く、グルメな旅も魅力。一方で「酒田ラーメン」にもチャレンジしたい。

(文/吉田友和)

1976年、千葉県生まれ。初海外旅行が夫婦で世界一周旅行。その旅の過程をまとめた『世界一周デート』で、旅行作家としてデビュー。「週末海外」というライフスタイルを提唱し、国内外を旅しながら、執筆活動を続けている。

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