「信頼と実績の変態」写真家・青山裕企が撮り下ろしたオリエンタルラジオの同棲生活『DOUSEI』のフェチとエロス【オリエンタルラジオ×青山裕企鼎談 前編】

「信頼と実績の変態」写真家・青山裕企が撮り下ろしたオリエンタルラジオの同棲生活『DOUSEI』のフェチとエロス【オリエンタルラジオ×青山裕企鼎談 前編】

オリエンタルラジオ×青山裕企鼎談 前編

 デビュー11周年を迎えたオリエンタルラジオの記念写真集を、『スクールガール・コンプレックス』、『パイスラッシュ 現代フェティシズム分析』の青山裕企氏が熱写した。「もし、オリラジのふたりが一緒に暮らしていたら」という設定で撮り下ろした同性どうしの同棲は、「フェチ視点」と「変態性」を大絶賛されてきた写真家の目にどう写ったのか? 中田敦彦氏が「すべてを任せました」と信頼を寄せる“青山裕企ワールド”の魅力とは? 『オリエンタルラジオ×青山裕企 写真集 DOUSEI ―ドウセイ―』刊行記念鼎談で、3人に思いのたけを語り尽くしてもらった。

■青山さんは最上級のエロさを提供してくれる数少ない料理人(中田)

中田敦彦氏(以下、中田) 青山さんのことは、『スクールガール・コンプレックス』とかフェチ系の写真集を何冊か見たときから気になってました。「これスゴイな。顔も写ってないし過激じゃないのに妙にエロいな」と思って。

同じ頃に藤森君と写真集を出したいってラジオ番組で話していて、いろんな写真集を見ながら感想を言い合うコーナーをはじめたんですよ。そのとき青山さんの写真の話題になって、「やっぱり好きだな、なんで好きなんだろう?」と考えた時に、物語があるからだと気がついたんです。僕の場合、お洒落かお洒落じゃないか、エロいかエロくないか、物語があるかないかで、写真を選ぶところがあるので。

 女性が撮った写真は、たとえ脱いでいてもお洒落でエロくなくて、男性が撮った写真は露出が多くて普通にエロい。でも青山さんの写真は露出してないのにエロいんですよ。これは僕のなかでは最上級のエロさで、青山さんはそれを提供してくれる数少ない料理人なんですね。帯にもあるように、「信頼と実績の大変態」なんです。

青山裕企氏(以下、青山) ありがとうございます(笑)。

中田 そのあと『むすめと!ソラリーマン』が出た時はめちゃめちゃ笑って、こんな企画の写真を撮る人なんだ! と。あれは、エロいかどうかは一見するとわからなくて、普通にとらえるとコミカルだと思うんです。でも受け手側がねじ曲がったアンテナを持っているとエロく見えるんですよね。

藤森慎吾氏(以下、藤森) ど、どうゆうこと?

中田 僕はこれを見たとき、なんと非道徳的で背徳的な写真集なんだと思ったわけです。女の子はかわいいんですよ。しかも素朴なかわいさ。その隣でお父さんがコミカルに飛び跳ねている。普通、女の子をかわいいと思ったときは、お父さんに対して「すみません」みたいな気持ちってあるじゃないですか。お父さんって娘を守るべき存在で庇護者ですからね。でもその庇護者が娘の隣でジャンプしてるんですよ。

これは見方によると、意図的にジャンプしてるようにも見えるし、庇護者であるお父さんがジャンプさせられているようにも見える。なんなんだこれは? これはエロいぞ!と直感的に思いました。これは僕の中では『スクールガール・コンプレックス』を超えた作品になったので、改めて「面白いわ〜、青山さん」と思いました。

青山 すごい解釈力ですよね(笑)。

■Tバックのビキニの子が海でバナナ食ってるグラビアが一番いい(藤森)

中田 受け手側にしかわからないエロさって、本当の意味でのフェチですよ。ジャンルで分かれている限りは、別に普通なんです。ナースの格好がエロいとか、女子校生の制服がエロいっていうのは、変じゃなくて普通。でも『むすめと!ソラリーマン』はジャンルになってない(笑)。青山さんはその草分け、パイオニアなんですよ。それはたとえば、区役所の前で地味なスーツを着た女性が眼鏡かけて立ってるだけでなぜかエロいと思う、俺みたいな感覚の持ち主にはわかるんです。

青山 わかります。やっぱり写真って一瞬を止めて撮ってるんですけど、止め方には撮る側の意図があるんですね。この瞬間がいいと思ってシャッターを切るわけです。でもこの写真をこう見ろよという解釈を詰め込むことはできないですから、撮ったあとは見る側にお任せしますよというスタンスなんですね。

もちろんポイントとしてああいう見方もこういう見方もできますよと、料理人としては思ってはいるんだけど、それを提示はしない。こちらから一方的にフェチですと伝えてるわけではなくて、あくまでも受け取り手次第なので、そういう意味では中田さん、相当エロいですよね。

藤森 ええと僕、全然参加できないんですけど。水着のほうが絶対エロいでしょ??

青山 藤森さんは水着のほうがエロいんですよね。でも僕はやっぱり喪服とか制服とか、エロいと思っちゃいけないもののほうがエロいと思ってしまうんです。

たとえば地味目のスーツで、スカートの丈も長くて靴もパンプスなんだけど、足は黒いタイツなのか、そのタイツのデニールはどのぐらいなのか、短いソックスなのか、そのちょっとしたパーツが肝だったりするんですよ。

中田 うんうん、わかります。

藤森 いやいや、ビキニでいいです。Tバックのビキニの子が海でバナナ食ってるグラビアが一番いい! 

中田 そんなグラビアねえよ!

藤森 でもねえ、本当は僕、お二人の話をすごく理解したいし、そういうハイセンスな会話に参加したいんですよ。でもこればっかりは感受性なので、やっぱり僕はフェチがどうとかより、単純に被写体が大事なんですよね。今すごく好きな子も何人かいて、その子が出てるから見てみようとか思うし、極めて平均的なタイプですからね。

青山 かわいい子が服を着ていなければ着ていないほど嬉しいってことですね。

藤森 うーん、まあそういうことですかね。

中田 フェチって男なら誰にでもあるわけじゃないんですよね。世の中にはやっぱり猿もいますから。

藤森 え? 誰が猿よ? ホントに血も涙もない人だね。

■「DOUSEI」って二人の仲の良さを超えた関係を表すにはピッタリ(青山)

中田 一方で女性はどうかというと、もしかしたら男性よりずっと先にいるんじゃないかと思っていて。女性が感じるエロさのほうが高度で社会的なんですよね。今回の写真集『DOUSEI』も、「二人の関係性が好き」とか「想像して胸がキュンとなる」とか、女性が話しているフェチってすごく高度なんです。最高難度レベル。僕ですらもう何がエロいのかわからなくなるぐらいなので(笑)。

青山 この写真集、見ていただくとわかりますけど、別に二人が裸になっているわけでもなければ、激しい絡みもないんですよね。猿が見たら本当に拍子ぬけすると思う(笑)。でも多分、女性でそういう意見は少ないのではないのかなという気がしています。

中田 絵画って、タイトルがあると「そういう絵なんだ」って思いますよね。『DOUSEI』もタイトルが決まったときに、いい写真集になるだろうっていう直感がありました。単純に写真だけ見ると、「そういう瞬間もあるよね」で終わりますけど、「DOUSEI」っていわれると「この写真の前後も暮らしてるんだよな……」と物語を想像するので。

青山 タイトルのアイデアは、打ち合わせの最後のほうにポンと出ましたよね。二人の関係性を撮りたくてはじめた企画だったので、「DOUSEI」っていいタイトルだと思いました。今まで僕の写真に求められてきたフェティシズムも盛り込んでいかないと、単なるタレント写真集を出しても面白くないので、二人の単純な仲の良さを超えた関係を表すにはピッタリだなと。

僕自身、男同士でそんなに仲が良い関係って経験したことがなくて常に一人でいるタイプだったので、男性がコンビで活動することに対する羨ましさもありました。今までも常に嫉妬心とかコンプレックスをなんとか写真にしようと思ってやってきたので、今回もオリラジの二人の関係って羨ましいなあと思いながら、夢中になって撮影していましたね。

【中編】に続く…「中田さんがグミを舐めている写真はすごく評判がいいんです(青山)」(※中編は5日11時配信)

取材・文=樺山美夏 撮影=山本哲也

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