コナンはいつスマホに変えた? 蘭がガラケーを使い続けるのはなぜ? 連載22年の「電話」の変化を徹底分析!

コナンはいつスマホに変えた? 蘭がガラケーを使い続けるのはなぜ? 連載22年の「電話」の変化を徹底分析!

『週刊少年サンデー』2016年46号(小学館)

 「あれ…コナンっていつの間にスマホに買えたの?俺が小学生の時はガラケー使ってなかったっけ…?」

 ほとんどの人たちは気にも止めないだろうが、細かいところに目が行きがちな一部のコナンファンの間で、『名探偵コナン』内の携帯電話の変化が話題だ。連載22周年。2014年には『週刊少年サンデー』の史上最長連載漫画となる程、長く続いている作品なのだから、作品内で、電子機器が進化するのは、よくよく考えてみれば当然のことだ。だが、実は、作中の内の時間は、1年も経っていないという設定。そうであるにも関わらず、作品内(=たった半年の間)で、分厚い携帯電話から折り畳める携帯、そして、いつの間にかスマホへという驚異的にテクノロジーが変化する世界にコナンは暮らしているらしい。実際に単行本を読んでコナンの世界の携帯電話の変化に迫ってみるとしよう。

◆当初は、黒の組織ですら、公衆電話を愛用!?

 『名探偵コナン』は、高校生探偵・工藤新一が、幼なじみで同級生の毛利蘭と遊園地へ遊びに行った際、黒ずくめの組織の怪しげな取引に遭遇、口封じのために、毒薬を飲まされ、身体が幼児化してしまい、小学1年生の「江戸川コナン」として、持ち前の推理力を発揮しながら、黒ずくめの組織の陰謀を追っていくというストーリーだ。その始まり、新一の身体が幼児化してしまった際、コナンは、もちろん、ガラケーもスマホも持っていない。新一が蘭とのデート(?)中に突如姿を消してから一週間が経過した後、新一の行方を心配する蘭に、コナンは「ちょっと厄介な事件を頼まれちまったんだ…しばらく帰れそうにねーな…」と公衆電話から電話をかけている(単行本第1巻)。蘭もこの頃は(後々理由が明らかになるが)携帯電話を持っていなかったようで、家に帰るのが遅くなってしまった時は、公衆電話から父親に電話をかけているし(第5巻)、黒の組織の一員テキーラも携帯電話を持っていなかったのか、公衆電話で取引が完了した旨を仲間に伝えている(12巻)。

 だが、コナンの連載が始まった1994年当時、世の中に携帯電話が存在しなかったわけではない。身体が縮んでしまってから初めて黒の組織の男たちと新幹線のなかで鉢合わせした回では、彼らの取引相手と疑われる人たちは、それぞれ、とてつもなく分厚いPC、カセットテープを聞くウォークマン、そして、手のひらにはおさまりきらないほど大きい折り畳むこともてできない携帯を持っている(第4巻)。世の中では携帯電話はまだ一般化していなかったのかもしれない。

 コナンが蘭の自宅に転がり込んだことによって、毛利小五郎が名探偵となり、新聞紙上を最も賑わせている名探偵としてテレビ出演した回では、テレビ番組の司会者が「先日携帯電話を買ったんですよ!部屋で電話するのが怖くてね」と話し、小五郎が「携帯電話なんて盗聴してくれといわんばかりの代物だ!特にアナログはね!」とアドバイスを送っている。「最近、携帯電話を買ったなんて…芸能人のくせに、この人は今までどうやって生活してたんだ…?!」…イマドキの若者たちがこの話を読めば、こうやって違和感を覚えるのかもしれない。ちなみに、この話に登場する人物たちは、折り畳めないタイプと折り畳み式の2種類のガラケーを使用している。もし、今の時代、こんなガラケーで「先日携帯電話を買ったんですよ!」と言ったら、笑われてしまうかもしれない(11巻)。

 ガラケーですらまだ分厚く使い勝手の悪そうなものしか登場していないのだから、スマホなど影も形もない。蘭のクラスメイトで鈴木財閥のご令嬢・鈴木園子が初登場する回では、彼女の別荘の電話は、ダイヤル式固定電話(5巻)。今、「アナログっぽさが逆に良い〜」と若者の間で流行っている「使い捨てカメラ」(6巻・7巻)や「テープレコーダー」(62巻)が事件の中心となることもあるし、ポケットベルの友達「ベル友」を探す依頼が舞い込んでくることもある(26巻)。どれも今となっては、「なんでそんな古めかしいもの使うの?携帯電話使えば良いのに…」と疑問視されてもおかしくはないものばかりだ。

 しかし、こんな時代状況だからこそ、コナンの正体を知る数少ない人物のひとり・阿笠博士は、あらゆる発明を生み出してきたのだろう。発信器&超小型トランシーバー内蔵の「探偵バッチ」(6巻初登場)は今でも活用されるアイテムのひとつ。その他、「イヤリング型携帯電話」(14巻初登場)、お弁当箱に市販のファックスを取り付け、お手製の手料理を詰めた「お弁当型携帯ファックス」(7巻)などは、携帯電話の進化とともに、姿を消したようだが、今見ても面白い。

◆みんなガラケーばかりなのに…最初にスマホを使用したのは誰?

 その後、ガラケーが一般化するようになると、携帯電話が話の中心に躍り出てくるストーリーも増えてくる。たとえば、以前は公衆電話から電話をかける男も所属していた黒の組織だが、ガラケーのメール機能を活用し始めたらしく、そのプッシュ音を繋げると、「七つの子」の音楽となるような文字列が彼らのメールアドレスらしい(46巻)。46巻頃(2004年頃)から、主要登場人物たちも、ガラケーを愛用している様子が徐々に描かれ初めている。例えば、博士とコナンは、同じ機種のガラケーを使用し、コナンの正体がバレそうになった際には、博士の携帯を使ってその疑いを晴らすという手を使った(47巻)。「蘭に疑われた時に対処できるように、今後も、機種変更の際には、機種を合わせた方が良いのでは?」と余計な心配をしてしまうのは私だけだろうか。

 その後もガラケー時代が続き、いつの間にか折り畳み式がメインとなり、携帯電話は、瞬く間に薄くなっていく。そのため、ガラケーなのかスマホなのか見づらい部分も多いのだが…コナンの中で初めてスマホが初登場したのは、初版が2009年発売の65巻目。なんと灰原哀が初めて、Android端末と見られるスマホを使用しているのだ。黒の組織の元メンバーで、コナンと同じく身体が幼児化してしまっている彼女は、科学者であり、リケジョでもある。コナンを始めとする他の主要キャラたちが、ガラケーを使用しているというのに、いち早くスマホに機種変していたのだから、電子機器にも興味があるのかもしれない。その後、コナンは、74巻で、ガラケーを使用した後、76巻になると、スマホに機種変更。どういうきっかけで変えたのかは不明だが、XPERIKANという機種を使っているらしい(77巻)。一方、灰原といえば、この頃、65巻で使用していたスマホから他のスマホに機種変しているようだから、情報感度がなんと高いことだろうか。

◆蘭がずっとガラケーを貫き通しているわけは?

 主要キャラたちは、違和感なく徐々に、スマホからガラケーに機種変更していくが、そのなかで、ずーっとガラケーを貫いているキャラクターがいる。それは、意外なことに、この物語のヒロインである毛利蘭だ。

 それは、蘭の携帯電話は、新一からのプレゼントであるからに違いない。かつて、携帯電話を2台持ちし、1台を恋人と2人だけの専用携帯として使っていた園子を羨ましがっていた蘭は、新一からホワイトデーのお礼として、ガラケーを贈られている(25巻)。

 元々、蘭は、新一がいなくなる少し前まで、親に買ってもらったばかりの携帯電話を持っていたらしい。だが、新一と遊園地デート(?)をする以前、2人で水族館に遊びに行った際に、蘭は新一のせいで、そのガラケーを溝に落としてしまった。そのお詫びとして、新一は、新一がコナン化するに至った、遊園地デートに誘う。そして、「オレがそのうち代わりのヤツを買ってやっから…」と携帯電話を買ってあげることを約束している(83巻・84巻)。そして、それがどうやら25巻の時にプレゼントされた携帯だったらしい。

 25巻でプレゼントされた携帯電話と、84巻に登場する携帯電話を見比べてみると、25巻の携帯電話は折り畳めないタイプのガラケーにも見える&「恋人同士専用の携帯電話」に憧れる蘭の姿から、恋人同士で使うことが流行していたウィルコムを思い出してしまうのだが…。細かいことは気にしないで置こう。

 83巻はその他にも問題がある。1巻目以前の出来事を描いているため、携帯電話に注目すると、時空のゆがみが垣間みられるのだ。新一は、水族館内にいる客全員の携帯電話やビデオカメラを回収して、館内で起きた事件の謎を解こうとするのだが、100台以上ある電話はほとんどがスマホであるようだ。…あれ…コナンが開始した当初はまだガラケーですら大衆化していなかったんじゃなかったっけ…。細かいことが気になるファンたちは「20年近く前なのに、スマホばかりなんて! 時空が歪んでいるじゃないか!」と困惑するに違いない。

 しかし、蘭は、新一と水族館に来たことを思い出し、「あれから1年もたっていないのに随分昔のことのよう…」と新一との思い出を回想しているのだから、半年前の出来事として捉えれば、まぁ仕方のないことなのかもしれない。(84巻)。本当は20年以上も経っているのだけれど…蘭がそう感じているのならば、「1年も経っていない」のだろう。

 蘭は、新一からもらった大切な携帯電話だからこそ、ガラケーから抜け出せない。おそらく壊れるまで使い続けることだろう。他のキャラも、それぞれのキャラに合わせたスマホを使用しているのが、面白い。iPhoneもいれば、Androidもいる。アナタの好きなキャラクターはどんな携帯電話を使っているだろうか。20年以上続く連載だからこそ、そんないつもとは違う楽しみ方もしてみるのも良いかもしれない。

文=アサトーミナミ

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