自分の「性」に苦しむ主人公たちの「心の闇」と「希望」を描く青春ラブストーリー登場

自分の「性」に苦しむ主人公たちの「心の闇」と「希望」を描く青春ラブストーリー登場

『Stay My Gold〜永遠の輝き〜』(幻冬舎刊)

「インターセックス」という言葉を知っているだろうか。
これは男女双方の肉体的な特徴を持っている「性」のことで、「両性具有」という言葉でも表現される。2016年リオオリンピック女子800メートル走で金メダルを獲得したキャスター・セメンヤ選手は、かつて性別疑惑をかけられた後に検査によってインターセックスであったことが報じられた(その後、IAAFによって検査結果は非公表とされている)。
ちなみに、インターセックスは実は珍しいものではなく、2000人に1人の割合で生まれるともいわれる。

そんなインターセックスを持つ主人公を据え、生きることに悩み苦しみ、そして人を愛することを覚えていく小説が登場した。
タイトルは『Stay My Gold〜永遠の輝き〜』(藤堂希望著、幻冬舎刊)だ。

■自分の性に「心の闇」を抱える少女たちは…

主人公の藤堂希望(のぞみ)は、体に2つの大きな特徴を持って生まれた。
一つは血液。希望の血液は「Rh null(アールエイチヌル)」と呼ばれ、どんな血液でも輸血できてしまう「奇跡の血液」だった。
もう一つは外見から男女の区別がつきにくい先天性の異常だ。正常な染色体は女性ならば「XX型」、男性ならば「XY型」を形成するが、希望の場合は「XX/XY型(モザイク型)」と判定されていた。

男性か女性か、どのように成長するか分からない。
悩んだ末に希望の両親は苦渋の決断をくだし、女の子として育てていくことにした。希望自身も自分は女の子だと思い込んでいた。少し人と違う部分があったとしても。

しかし、現実は残酷だった。
他の女の子が第二次性徴を迎える中で、希望には初潮がやってこない。そしてまわりの女の子との発育の違いはどんどん顕著になっていく。希望は再び染色体の検査をするのだが、結果は変わらず「XX/XY型(モザイク型)」、そして「男女の区別ははっきりしないが、男性に近い」という結論が出る。

自分の「性」に戸惑い、絶望する希望。そんな中で香月流風(ルカ)という少年と出会う。彼は性同一性障害として生まれ、男性から女性に変わる性適合手術を受けようとしていた。
希望にとって、流風はまさに運命の人だった。
自ら抱える「絶望」と「心の闇」を共有しあえる唯一の存在だったからだ。

手術を終え、デートをしながら幸せな時間を過ごす2人。
「希望には輝きがある。いつまでも希望は輝くよ、黄金のようにね」
そう言う流風に希望は「永遠の情熱」を感じていた。
しかし、そんな幸せな時間も、長くは続かなかった――。

■狂おしいくらいに切ない、美しい物語

本作は2つの章から成り、第1章は希望と流風の出会いの物語、そして第2章では希望の成長を描いた物語が繰り広げられる。

希望は自らの運命に抗い、悩み、苦しみながら人間として成長を続ける。男性でも女性でもない自分。奇跡の血液を持って生まれた自分。希望と流風、そして2章で核となる女の子・神崎青海とのやりとりは、ミュージカルを見ているかのような美しさに溢れ、耽美ささえ感じられる。

人は誰でも「心の闇」を抱えているものだが、それを一人で抱え込んでは苦しみが大きくなるばかりだ。
希望も闇を抱えているが、流風も青海もそれぞれ同じように闇を抱えている。そして、希望自身が2人の「希望」になり、希望はこの2人との出会いを通して自分の生きる意味を学んでいく。彼らの魂の交流は、読み手に強い印象を残すだろう。

狂おしいほどの切なさと、美しい愛の形がこの物語には詰まっている。

(新刊JP編集部)

関連記事(外部サイト)