デートに家族旅行に この秋大注目の紅葉ロープウェイ

短かった夏が終わり、秋の行楽シーズンの到来です。

秋のレジャーといえば、海よりも山。山に行くなら、登山をする方もトレッキングをする方も、山ならではの乗り物に注目してみると楽しみが増えるかもしれません。

『絶景! 日本全国ロープウェイ・ゴンドラコンプリートガイド』(中島信著、扶桑社刊)は、国内で運行している“全て”のロープウェイ・ゴンドラを写真つきで網羅した、タイトル通りの「完全版」です。歯科医でもある著者の中島信さんは、全ての路線に四季それぞれ乗ったというマニア中のマニア。

今回はその中島さんに、紅葉の時期に乗るべきロープウェイ・ゴンドラや、驚くべき絶景が見られるもの、そしてちょっと変わったものなどをお聞きしました。秋のレジャー計画を立てる前に読んでおきたいインタビュー後編をお届けします!(記事中のロープウェイ・ゴンドラの写真はすべて著者撮影)

■手動で進むものも 全国の変わり種ロープウェイ――これまでに乗ったなかで、「変わり種」なロープウェイ・ゴンドラについても教えていただきたいです。

中島:奈良県の十津川村にある「野猿(やえん)」は人力ロープウェイとして知られています。ワイヤーに吊り下げられたやぐらに乗って、反対側からかかっているロープを手繰り寄せながら進みます。徳島県の奥祖谷渓谷にも同じようなものがあります。

中間地点あたりまではワイヤーのたわみもあって下りになるので自然に滑っていくのですが、後半はかなり力がいります。行くのなら大勢のグループで行って引っ張るのを手伝ってもらうほうがいいと思いますね。

あとは、今は運休中なのですが、こちらも奈良県の吉野ロープウェイは、ロープウェイには珍しく定期券があります。これは山の上に住む方など、観光ではなく「生活の足」として使う方がいるからで、それがあって太平洋戦争時の「金属類回収令」で鉄のケーブルを持っていかれずに済みました。戦時中に国内で唯一動き続けていたロープウェイです。

ちなみに吉野ロープウェイは現存する国内最古のロープウェイです。1929(昭和4)年に開業しています。

――他にはありますか?

中島:あとは千葉の鋸山ロープウェーですかね。ここは何が変わっているかというと、乗車券が昔ながらの「硬券」なんです。かつては鉄道でもこの硬券を使用していて、駅員さんが改札で一枚ずつパチパチ入鋏していたのを憶えている方もいると思いますが、鋸山ロープウェーでは今でもそれをやっています。

特別な切符というのではなく、全ての利用客に硬券を発行しているのはここだけです。

――これだけ奥の深い世界だと、マニア同士の交流も楽しそうですね。

中島:何かコミュニティがあるわけではないですけど、ロープウェイとかゴンドラ関係の友達はたくさんいますね。一緒に乗りにいくこともありますし。

昔は「どこどこに新しい搬器(ロープウェイやゴンドラなどの、人を乗せる部分)が入るよ」みたいな情報交換も楽しみだったのですが、今はもうネットで情報を得られますからね。

――やはり、既に乗ったことのあるロープウェイでも、新しい搬器が入るとまた行くんですか?

中島:それはもう、必ず行きます。今日も姫路市役所の方から「書写山ロープウェイ」の搬器が来年新しくなるという連絡をいただきまして。

――調べなくても向こうから連絡が来るという。

中島:鉄道ファンは多くの方がいますけれど、ロープウェイやゴンドラのファンは少ないです。物珍しさから大事にしてくれるのかもしれませんね(笑)

――確かに、鉄道ファンと比べるとマイナーな感じがします。

中島:珍しいですから、初めて行くところでは警戒されることもあります。国土交通省の調査か何かだと思われるみたいで。ただ、趣味でやっているというと親近感を持ってもらえて、運営会社の方と友達になれたりします。

運営会社側がこれからファンを開拓していこうと思っていることもあって、本当によくしてもらっていますね。

――これからファンを開拓していくとなると、経営状態が気になりますが、ロープウェイやゴンドラは事業として採算が取れているんですか?

中島:確かに経営が厳しいところもあります。ただ、10年くらい前と比べると混雑しているロープウェイ・ゴンドラが多いような気がします。海外からの旅行者も増えてきましたし、搬器を新しくする路線も目立ってきました。

路線数は徐々に減っているのですが、一時期よりは人が戻ってきたかなという感じはあります。スキー人口も回復傾向にありますし。

――中島さんは2010年にも国内のロープウェイとゴンドラを網羅した本を出しています。今回の本との違いを挙げるとしたらどんな点になりますか?

中島:前作は白黒の写真が多かったのですが、今回は全てカラー写真で、ロープウェイやゴンドラの雰囲気や景色の美しさを感じてもらえるのではないかと思っています。絶景という表題どおりの本に仕上がったと自負しています。

あとは、前回ロープウェイの方に重きを置いているようなところがあったのが、今回はゴンドラの方も公平に扱っていただいています。それと、読者の方からの「あまりにも情報を詰め込みすぎ」という声に応えて、あまりにもマニアックな部分は割愛しました。

前回の本よりもグレードアップしていると思っていただけたらうれしいですね。

――秋の行楽シーズンに入ります。少し早いですが、紅葉のきれいなロープウェイ・ゴンドラを教えていただけますか。

中島:一番は広島の宮島ロープウエーだと思っています。次いで香川の寒霞渓ロープウェイや、北海道の大雪山層雲峡・黒岳ロープウェイもとてもきれいな紅葉が楽しめます。

あとは中央アルプス駒ヶ岳ロープウェイや三重の御在所ロープウエイもおすすめです。いまでも紅葉の時期にはまだ早いということはなくて、北海道の大雪山などは8月の下旬から紅葉は始まっています。それぞれ紅葉する時期が違うので、長い期間紅葉を楽しんでいただきたいですね。

――最後になりますが、読者の方々にメッセージをお願いします。

中島:ロープウェイやゴンドラってこんなにおもしろい乗り物なんだ、と多くの方に知っていただきたいと思います。

鉄道ファンの方もそうですが、登山やトレッキングが趣味の方、旅行が好きな方、山頂までは無理だけれど美しい景観に感動したい方など、ロープウェイやゴンドラを好きになる要素のある方々はとても多いはずで、今回の本がそういう方々に届いてくれるなら非常にうれしいです。この分野が趣味として少しでも発展していけるよう、これからもがんばっていきたいと思います。

(新刊JP編集部)

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