あさのあつこ最新作の舞台は「結婚式」! すれ違う母娘の本当の想いとは?

あさのあつこ最新作の舞台は「結婚式」! すれ違う母娘の本当の想いとは?

『末ながく、お幸せに』(小学館刊)

日本における児童・少年少女文学の第一人者としても知られ、シリーズ1000万部のベストセラー『バッテリー』をはじめ数々のヒット小説を生み出している作家・あさのあつこさんの最新作が登場だ。

『末ながく、お幸せに』(あさのあつこ著、小学館刊)の舞台は、なんと「結婚式」。そして、結婚式での8人のスピーチを通して、母と娘の愛を描いていく、あまり例を見ない形式の小説だ。

■実の母に捨てられた娘の複雑な胸中とは…

瑛子が高校の同級生である瀬戸田真人と結婚し、この物語の主人公である瀬戸田萌恵が産まれる。しかし、瑛子は山末光弘という職人の男性と恋に落ち、萌恵が3歳のときに家を出て光弘のもとへ。つまり、母が娘を捨てたのだ。

その後、真人は瑛子の妹の良美と結婚。萌恵にとって叔母だった良美が母となる。しかし、後に萌恵は良美が実の母ではないことを知り、どこかちぐはぐな家族の中で、苦しみ、苛立ち、憤りを抱えてしまう。

また、複雑な家庭に育ったためか、「犠牲にしてまで貫くような愛って嫌です」という結婚観を抱き、「何か大切なものを捨てるような結婚はしません」という思いを持つ中で、夫・泰樹との結婚にのぞむ萌恵。

一方の良美は、自身の仕事も夢も犠牲にして、萌恵のために生きてきたつもりだった。しかし、「お母さんって、重いよ。お母さんといると息が詰まる」と、萌恵にぴしゃりと言い切られてしまう。

そんな中で開かれた結婚式――。
この物語では、主人公である萌恵の主観はほぼ語られない。
新婦伯母、新婦友人、新婦元上司、ウェディング・プランナー、新婦従兄、新郎友人、新郎父、新婦母の8人のお祝いスピーチから、萌恵の生い立ちから結婚への想い、心の傷、そして「瀬戸田萌恵」という人物像が浮かび上がる。

また、結婚式でスピーチをする人たちもそれぞれ心に傷を負っていたり、もやもやを抱えたりしながら、懸命に生きている姿が印象的だ。
新婦従兄の佐々木慶介は結婚について、次のように語る。

「人が幸せになることがどのくらい困難か、おれは知っている。一人で満足するだけならそう難くはないだろう。けれど、結婚して二人で幸せになることは、容易くはない。どちらかがどちらかに依存していても、束縛していても、駄目なのだ。
相手に幸せにしてもらうのではなく、相手を幸せにするのではなく、自分の幸せを自分で作り上げる。それができる者同士が結びあうこと。本物の結婚とはそういうものなのだろう」

そして、物語の最後に、萌恵から母・良美へ向けた手紙で、萌恵の母への本当の想いが明らかになる。

9月23日放送の「王様のブランチ」(TBS系)BOOKコーナーにあさのあつこさんが出演し、大きな話題を呼んだ本作。

家族とは、結婚とは、幸せとは。
人はなかなか分かり合えないが、それぞれに深い愛情を持ち、想っている母と娘の関係を通して、その答えが見えてくるのではないだろうか。
そして、結婚を控えた女性や、その母だけではなく、男性にも読んでほしい一作だ。

(新刊JP編集部)

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