LiLICoオススメ「肉食シネマ」 英雄から一転、容疑者に!? 一体何が? 『ハドソン川の奇跡』

 お仕事お疲れ様です。先日私は、来日したトム・ハンクスとアーロン・エッカートに会いました。トム・ハンクスは映画のプロモーションでテレビ『王様のブランチ』のスタジオに前にも来たことがあります。以前、『ポーラー・エクスプレス』と『ターミナル』の2作品のプロモーションを同時にやっていて、そのときは私と1日に4度も顔を合わせたんです。
 取材では私の顔を見るや、“君、どこにでもいるね!”と飽きられた(!?)ほど。今回も覚えてくださっていましたが、おかしかったのはひと通り質問が終わり、最後に「『王様のブランチ』にメッセージをお願いします」とお願いした瞬間。「なんだよ〜『王様のブランチ』か! やっとこのインタビューと真剣に向き合う気になったよ」と、インタビューが終わるときに初めて気が付いたみたい(笑)。でも、番組を憶えてくれてたことに感動しました。

 今回の彼の役どころは、オリジナルのタイトルにもなっている“SULLY(サリー)”。これは、ハドソン川に不着陸した旅客機US1549便の機長、チェスリー・サレンバーガーのニックネームです。
 2009年1月、ニューヨーク上空で、突然の旅客機のエンジン停止。そんな極限の状況の中、とっさの判断で155名の命を救ったあの出来事は、広く報道されたので覚えている方も多いと思います。それで、私たちが知っていることは、サリーはヒーローとして広く名前が広まったということ。
 ところが、その裏にはとんでもない皮肉な人間がおり、彼は容疑者となってしまうんです。これにはかなり驚きました!
 トムは実際にサリーと話をし、“何であのとき、あんな行動をしたのか”とか、“どんな意味があったのか”などを、本人に説明してもらったそうです。だからこそ彼の演技はリアリティーに満ち、監督クリント・イーストウッドの作品だけに、とても優しく、しなやかに描かれています。

 私が見て思ったこの映画のテーマは“思いやり”です。どれだけ人のことを思い、自分の仕事に誇りを持ち、“自分たちのやるべきことをやっただけ”と言えるその気持ちが大事か。エンドロールまで感動できます。96分という短い上映時間の中に、感動がギュッと詰まっています。
 この時期に見て欲しい、考え深い傑作です。

画像提供元:(C)2016 Warner Bros. All Rights Reserved

■『ハドソン川の奇跡』
監督/クリント・イーストウッド 出演/トム・ハンクス、アーロン・エッカート、ローラ・リニー他 配給/ワーナー・ブラザース映画 丸の内ピカデリー、新宿ピカデリー他 全国公開中

 2009年1月15日、極寒のニューヨーク上空850mで155名を乗せた航空機を突如襲った全エンジン停止事故。160万人が住む大都会の真上で70トンの機体は高速で墜落していく。近くの空港に着陸するよう管制室から指示がある中、機長サリーはそれを不可と判断し、ハドソン川への不時着を決断。航空史上誰も予想しえない絶望的な状況の中、見事に成功させ“全員生存”の偉業を成し遂げる。その偉業は「ハドソン川の奇跡」と呼ばれ、サリーは一躍英雄として称賛されるも、機長の“究極の決断”に思わぬ疑惑が掛けられ、一夜にして殺人未遂の罪に問われることに…。

LiLiCo:映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS「大様のブランチ」「水曜プレミア」、CX「ノンストップ」などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。

関連記事(外部サイト)