話題の1冊 著者インタビュー 赤坂英一 『すごい! 広島カープ』 PHP文庫 640円(本体価格)

 −−25年ぶりに広島カープが優勝しました。圧倒的な「強さ」の理由は何だったと思いますか?

 赤坂 26歳の同い年の3人が、シーズンを通して活躍できたことが一番大きいと思いますね。1番ショート田中、2番セカンド菊池、3番センター丸と打線でも守備でも要となる彼らがチームを引っ張り続けた。他チームの1〜3番がよく入れ替わる一方で、カープだけはしっかりと固定して戦ってたんです。また、4番の新井もシーズンの後半戦は自分の前を打つ3人に乗せられて打ちまくっていましたね。投手陣ではジョンソンと野村がメジャーに行った前田健太の穴を埋めてあり余る働きをした。リリーフ陣がしっかりしたことも重要な勝因の一つでしょう。昨季は後半で試合を引っ繰り返されるケースが多かったけど、今年は逆に逆転勝ちが増えたのも、投手陣の後ろが充実していたおかげですよ。

 −−選手のエピソードで想い出深いものを教えて下さい。

 赤坂 黒田投手の200勝達成には、本当にご苦労様でしたと言いたいですね。何も僕のインタビューに応じてもらったからではなくて、彼は普段から報道陣の取材に対して非常に丁寧で、律儀な対応をしてくれるんです。200勝達成前、なかなかあと一つ勝てなかったときも、記者の輪の中に立って『次に備えてしっかり準備していきたい』と堂々と話していた。簡単なようで、なかなかできることではないですね。

 −−ズバリ、MVPは誰になるでしょうか? また、来年のカープの展望は?

 赤坂 MVPは打点を稼ぎまくった4番・新井を推す声が多いでしょうが、僕は2番・菊池を推したいですね。3年連続でゴールデングラブ賞を受賞しているセカンドの守備は12球団随一と言っていい。それに加えて、今年は昨年以上に打撃の勝負強さが光った。その最たる例が、8月7日、本拠地での2位巨人との直接対決です。6-7とリードされた9回2死無走者、負ければ3.5ゲーム差に詰め寄られる絶体絶命の場面で同点ソロ本塁打を放った。その1発が新井の逆転サヨナラタイムリーを呼び込み、巨人に引導を渡したんです。MVPにふさわしい働きだったと思いますね。カープは野手や投手の中心選手が皆若いので、当分Aクラスの常連になるだろうと見ています。あとは、今年ブレイクした鈴木誠也が主砲になれるかどうか。ヤクルト・山田のスピード、DeNA・筒香のパワーを両方兼ね備えた選手ですからね。大きく育てばカープの将来も安泰です。
(聞き手:程原ケン)

赤坂英一(あかさか えいいち)
1963年広島県生まれ。法政大学文学部卒。日刊現代のスポーツ編集部で長年プロ野球取材を担当し、2006年に独立。スポーツを中心に人物ノンフィクションを多数執筆している。東京スポーツで毎週プロ野球コラムを連載中。

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