「ピッと凛々しく」セーラームーンが教えてくれた女の子の強さ

「ピッと凛々しく」セーラームーンが教えてくれた女の子の強さ

「ピッと凛々しく」セーラームーンが教えてくれた女の子の強さ

「子どものころにどんなアニメを見ていたか」って、大人になってからでも盛り上がる鉄板ネタだと思うのですが、私はやっぱり、このアニメを外すことはできません。

美少女戦士セーラームーン。

彼女たちとの出会いは、小学校入学を翌年に控えた1992年。勇ましく戦う彼女たちの姿をテレビで偶然目にした私は、すっかり心を奪われてしまったのです。

■他のアニメと一線を画す「少女漫画」のキャラクター

私がセーラームーンに出会うまでに見ていたのは、アンパンマンやドラえもん、サザエさんにちびまる子ちゃん、ジブリやディズニーなど、今でも愛されている代表的なアニメ作品でした。

そんな私の生活に彗星のごとく現れたのが、セーラームーン。

すらりと伸びる手足に長い髪、ぱっちりしたキラキラおめめ。中学生の女の子たちが元気に動きまわり、呪文を唱えて変身すれば、妖魔を倒す華麗な戦士に(変身シーンなんて、何度見ても飽きない!)。幼い私は衝撃を受けました。

こんなにすてきな世界があるんだ! もっと見たい! と、母にねだってコミックスを買い、カードやシールを集め、アニメブックを眺めてはその美しさにため息をつき、毎月セーラームーンが連載されている「なかよし」の発売日を待つようになりました。

同じくセーラームーンの虜(とりこ)になってしまった友達と毎日セーラームーンごっこをして、来る日も来る日もセーラームーンの絵を描き続け、黄色の色鉛筆だけがめちゃくちゃ短くなりました。

■細かすぎる設定と、強すぎる変身アイテムの中毒性

私は当時、なぜ、あんなにもセーラームーンに惹かれたのでしょうか。

セーラームーンはよくある「変身ヒロインもの」といえばそうなのですが、そこにはいろんなモチーフがちりばめられています。

彼女たちの設定に用いられている「星」というキーワード。セーラームーンは「月」の守護を受けた存在、仲間であるセーラーマーキュリーは水星、マーズは火星、ジュピターは木星、ヴィーナスは金星……と、それぞれが太陽系惑星の守護を受けています。

さらに星といえば「星座」。占いでは星座ごとに守護星があるという考え方も多く、セーラームーンのキャラクターたちもそれぞれの星が守護する星座の時期に生まれています(例えばうさぎちゃんは6月30日生まれのかに座で、かに座は月の守護を受けているとされる)。セーラームーンに魅せられた少女たちは自分が何座なのか、どのキャラクターと同じ星なのか……と探求したものです。

ちなみに私はさそり座なので、冥王星が守護星……ということになるのですが、やっぱり幼心に「メインの5人の星がよかった、もっといえば推しのセーラージュピター(木星)がよかった」と、自分の誕生日を呪わしく思ったりもしました。

それから忘れてはいけないのが、セーラー戦士たちが使うさまざまな武器やアイテム。変身ペンやコンパクトには色とりどりの石が散りばめられ、テレビの画面からでもそのきらめきが伝わってきて、おもちゃとして発売されるたびに「欲しい!」と熱望したものでした。

我が家ではあまりキャラクターもののおもちゃは買ってもらえなかったのですが、どうしても欲しくてお願いし続け、セーラームーンの武器である「ムーンスティック」だけは買ってもらうことができました。ボタンを押すとスティックが光ってメロディが流れるという簡単なつくりで、なんなら流れる音はスピーカーのクオリティ的にちょっと割れてたりもしたのですが、それでも思い入れの強いおもちゃのひとつです。

■歩いてきた道のそばに、いつもセーラームーンがいる

思えば、私が星や占い、宝石好きになったのは、セーラームーンの影響が大きいのかもしれません。人の誕生日を聞いては「○○座だな」「誕生石は▲▲だな」と思ったり、宝石を見ては「セーラーマーズの色だな」と思ったり。

もちろん同世代でも「セーラームーンなんて見なかった」という人もいるだろうし、「見てたけどそうは思わなかった」という人もいるかもしれないのですが、セーラームーンにはすてきな恋や素晴らしい友達、キラキラしたもの、かわいいもの……そんな、小さな女の子が「私もいつか出会うかも」と夢見ていた憧れが全て詰まっていたんじゃないかなと思うんです。

セーラームーンに「乙女のポリシー」というエンディング曲があります。サビで歌われる「コワイものなんかないよね ときめく方がいいよね 大きな夢があるよね だからピッと凛々しく」。これがすごくエンパワーメントな歌詞でした。

普段は泣き虫なうさぎちゃんが、セーラームーンとして恐ろしい敵にも立ち向かっていく強さと、愛する人たちを守る凛々しさ。子どもながらにイヤなことがあったとき、「ピッと凛々しく」と自分を励ましたシーンがどれほどあったか数え切れません。

今は私も大人になり、セーラームーンの絵は描かなくなったし、彼女たちの決め台詞もいくつかは忘れてしまいました。

それでも毎日を過ごす中で、ふと「セーラームーン」という作品を目にしたり、セーラームーンに登場した星やモチーフを目にしたりした瞬間に、毎日を彩っていた「うさぎちゃんたち」の存在を鮮明に思い出すことがあります(麻布十番になんて行ったらもう、やばい)。

やっぱり「セーラームーン」は私にとって、もはや好きとか嫌いというレベルではなく、とても大きな、私の人生に寄り添ってきてくれた作品なんだろうなと、大人になった今、そんな風に感じています。

(文:藤堂真衣、イラスト:谷口菜津子)

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