最先端の茂山狂言は笑い満載! 兵庫公演観劇レポート

最先端の茂山狂言は笑い満載! 兵庫公演観劇レポート

前列左から茂山逸平、宗彦、後列左から茂、千五郎、千之丞

江戸時代から400年以上続く京都・大蔵流 茂山千五郎家。Cutting Edge KYOGEN(カッテイング・エッジ・キョウゲン)とは、千五郎家の中で心は若手な(実際は中堅どころの)千五郎、宗彦、茂、逸平、千之丞5名による狂言ユニットだ。1976年発足の「花形狂言会」(花形とは若手の意味)から、2006年に現メンバーで「HANAGATA」と改称、2020年に“最先端”を意味するCutting Edge KYOGENに改名して新スタートした。茂山千五郎家の狂言は、お豆腐のように親しみやすく気軽に味わえる“お豆腐狂言”がモットー。その“最先端”の公演『真夏の狂言大作戦2022』を兵庫県立芸術文化センターで観劇した。この公演を皮切りに、兵庫県の小野、高知、倉敷、岸和田、春日井、松本とツアーに出る。

何度も上演してきた劇場は、京都同様のホームグラウンド。「さぁ、笑わせてもらおか」と前のめりな観客で満席。幕開きはポップな音楽に乗って5人の素踊りから。解説に登場した逸平は「狂言ポラリーダンスです。いや、大した意味はありません、舞ってみただけ(笑)」。

お豆腐のようにどんな型にもはまる柔軟で自由な芸風が持ち味の彼らは、敷居が高いと思われがちな古典芸能の枠を軽々と越える。普段はこの会で上演しない古典作品も、今回はツアーでの狂言初心者向けにポピュラーな『棒縛』を上演。「ちゃんとした狂言はこれだけ(笑)」(逸平)。留守の間に酒を飲まないよう、主人が太郎冠者と次郎冠者を縛って出かけるが、何としてでも酒を飲みたいふたりは…というお話。古典の中に今どきな味わいもある楽しい茂山狂言だ。

15分休憩の後に3プログラム。「一応、狂言のルールに従って作っていますが、怒る人もいると思う(笑)。ツッコミどころ満載です」(逸平)。人気演目の第2弾『全力で小舞を作ってみた〜カルチャーセンター編パート2〜』は、宗彦と逸平兄弟が宗家と家元に扮して謡い舞う“MHK和の講座 小舞への誘い”。次の『IB争い』は、観光地の精や和食の精らが登場し、インバウンドに向けてPR合戦する新作狂言。かなりぶっ飛んでいて笑える。

『呼声・改』(よびこえ・かい)は、居留守を使う太郎冠者の家を主人と次郎冠者が訪れる古典『呼声』を現代風にアレンジ。一人暮らしの男の家に夜中に次々と訪問者が現れて…という人気新作狂言を、メンバー5名に助っ人2名の計7名でにぎやかに。「年1回、おっさんたちが遊んでる会です。ただ2時間、精一杯笑っていただけるように」(逸平)。まさに“きょうげんであそぼ”な2時間。狂言初心者も通も楽しめる舞台だ。

8月は高知、岡山、大阪、愛知、長野を巡演。チケット発売中。

取材・文:高橋晴代
撮影:飯島隆 提供:兵庫県立芸術文化センター

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