松岡広大×山崎大輝新ペアが新風を吹き込む ミュージカル『スリル・ミー』開幕

松岡広大×山崎大輝新ペアが新風を吹き込む ミュージカル『スリル・ミー』開幕

TM2021 左:私役 松岡広大 右:彼役 山崎大輝 撮影:田中亜紀

アメリカのシカゴで実際に起こった殺人事件を題材にしたミュージカル『スリル・ミー』が東京芸術劇場ウエストで上演中だ。

舞台は、監獄の仮釈放審議委員会。収監者である「私」の5回目の審議が始まり、34年前、19歳の「私」と幼なじみの「彼」が犯した罪が静かに語られていく。舞台上にあるのは、1台のピアノと少しばかりの小道具。ヒリヒリとした緊張感と美しいピアノの旋律が流れるなか、明かされる真実。たった2人の俳優が、100分間、ノンストップで展開する衝撃作だ。

2005年にニューヨークのオフ・ブロードウェイで初演されて以降、世界中で上演されている本作。日本版初演は、11年に栗山民也が演出を手掛け、田代万里生×新納慎也、松下洸平×柿澤勇人のペアで上演。その後、キャストを替えて再演を重ねてきた。今回は、日本初演10周年を記念した公演で、初演以来のタッグである田代×新納ペア、18〜19年公演で初登場して大反響だった成河×福士誠治ペア、そして、オーディションで選ばれて、初めて本作に挑戦する松岡広大×山崎大輝ペアの3組が出演する。

松岡×山崎ペアのゲネプロ(総通し舞台稽古)を見た。ニーチェの信奉者で、自らを“超人”として犯罪を犯すことに快感を得る「彼」を山崎が、「彼」を愛していた「私」を松岡が演じた。実年齢が23歳の松岡と25歳の山崎が、等身大に演じる「私」と「彼」は、いい意味で若さを味方につけた。若さゆえの狂気や暴走っぷりが感じられて、妙な説得力があった。本作に出演してきた歴代の俳優陣と比べると、舞台のキャリアが浅いため、きっとプレッシャーに感じた部分もあっただろうが、周囲に流されることなく、「私」と「彼」の物語に新風を吹き込んだと感じた。

初日の幕が開き、松岡は「個人的には本当に色々とまだまだだな、と思うこともありますが、本日出来る限りのことをお客様に向けて、そして『彼』に向けて存分に演じられたらと思います。これからも慢心せず、慢心していきたいと思います」とコメント。山崎は「今までで一番緊張する作品でした。今回、やれる限りのことは出来ましたが、もっと詰めていくことはたくさんあるので、今作ったものをさらに突き詰めていきたいと思います。ここから約1ヶ月以上ありますが、どのような風に僕たちのペアが進んでいくのか、ぜひ皆さま気にしてくださると嬉しいなと思います」と話している。

それぞれのペアで全く印象が異なる三者三様の『スリル・ミー』。東京公演は5月2日まで。5月4、5日は群馬・高崎芸術劇場スタジオシアター。5月15、16日は愛知・ウインクあいち大ホール。5月19〜23日は大阪・サンケイホールブリーゼで上演予定。ぜひお見逃しなく。

取材・文:五月女菜穂